0歳でもインフルエンザワクチンは打てる？ 打つ意味はある？
0歳でもインフルエンザワクチンは打てる？ 何回打つの？
厚生労働省の定めでは、インフルエンザワクチンは「生後6か月以上」から接種可能となっています。つまり、0歳でも生後6か月を過ぎていればワクチンを打てます。また、生後6か月〜12歳までは2回の接種が基本です。
0歳がインフルエンザワクチンを打っても効果はある？
日本小児科学会の見解では、1歳未満の乳児におけるインフルエンザワクチンの有効性について、現時点で明確な評価が確立されていないとしています。生後6か月から接種自体は可能ですが、この時期はまだ免疫システムが発達途中で、ワクチンに対する反応が十分でない可能性があるとも述べています。そのため、感染予防を目的に接種しても発症を完全に防げるわけではなく、実際に感染する可能性があります。
しかし、0歳時にワクチンを接種すると「プライミング効果」により、次シーズンのワクチン効果が高まることが報告されています。ただ、この効果は個人差があり、お子さんの健康状態や生活環境を考慮する必要もあります。かかりつけ医に相談し、接種をするかどうかをご検討くださいね。
園に通っていない0歳にもインフルエンザワクチン接種は必要？
「まだ園にも通っていないし、家にいるだけなのに本当に接種が必要？」と考えるママパパも多いのではないでしょうか。0歳児で接種をするケースと見送るケースには、次のような傾向があるようです。
接種をするケース
・こども園入園が決定している
ママの職場復帰に伴い、すでにこども園入園が決まっている赤ちゃんもいるのではないでしょうか。一般的にインフルエンザワクチンは接種してから免疫がつくまで約2週間、予防効果は3～5か月持続します。集団生活が始まると感染リスクが高くなるため、入園前にワクチンを受けておくと安心です。
・冬に人の集まる場所へ行く予定がある場合
年末年始の帰省、旅行、親戚との集まりなど、外出のご予定が多い場合はワクチンを受けておくことでリスクを減らすことができます。
見送るケース
・兄姉は園や学校に通っているが、赤ちゃんは自宅保育している場合
自宅保育中で集団行動しておらず、感染リスクが高くない場合はワクチンを見送る方も多いでしょう。しかし、保護者や兄姉が手洗い・うがいをしっかりし、ワクチンを受けるなど、家庭内にウイルスを持ち込まない工夫が大切です。ただ、基礎疾患がある子や早産だった子、ぜんそくなど呼吸器系が弱い子は、主治医に相談のうえ接種を検討するのもよいと思います。
・アレルギーや体調面不安がある場合
アレルギーや過去の予防接種で異常がみられた場合などは、医師と相談のうえ慎重な判断をおすすめします。
かかりつけ小児科医にも聞いてみた
我が家にも0歳の子どもがいるため、かかりつけ医に「こども園に通っていない赤ちゃんでもインフルエンザワクチンを接種した方がよいか」と質問したところ、先生はこの様に回答されました。
「集団行動をしていないなら、無理に接種を勧めていませんよ。兄姉の送り迎えに同伴する程度であれば、感染リスクは高くないと考えます。
ただ、家庭内で感染源となる可能性がある家族（園児や学校に通う子ども、大人）が接種しておくことはとても大切です」
つまり、0歳児本人よりもまず「家族全体で感染を防ぐ」という視点が大切だと感じました。
話題の“鼻ワクチン”とは？ 注射との違いは？
最近、病院やクリニックで「鼻から吸うタイプのインフルエンザワクチン」を見かけた方もいるのではないでしょうか。これは「経鼻インフルエンザワクチン（フルミスト®）」と呼ばれるもので、注射ではなくスプレーで鼻に噴霧するタイプのワクチンです。
接種できる年齢は？ 0歳でも接種できる？
実は、この経鼻ワクチンが接種できるのは2歳〜と制限があります。つまり、0歳・1歳の赤ちゃんは対象外です。また、ぜんそくのある子や免疫が弱っている子は接種できないこともあるので医師への相談をおすすめします。赤ちゃんにはまだ使えませんが、注射が苦手な幼児や小学生には人気が出ているようで、我が家のかかりつけクリニックでは10月時点で予約受付が終了していました。
注射型との効果・副反応の違い
従来の注射型（不活化ワクチン）は、ウイルスを無害化した成分を使って体の中で免疫をつくるもの。一方で、鼻ワクチンは「弱毒化された生きたウイルス（生ワクチン）」を使うため、鼻や喉など感染の入り口で免疫をつくるのが特徴です。そのため、注射よりも「感染を防ぐ効果が高い」と言われていますが、発熱や鼻水などの軽い副反応が出ることもあるようです。
経鼻型のメリット・デメリットまとめ
メリット
- 痛くない
鼻にシュッと噴霧するだけなので、注射が苦手な子どもでも受けやすいです。 - 鼻や喉の“入り口の免疫”が働きやすいと考えられている
インフルウイルスが侵入する場所で免疫がつきやすい特性があります。 - 注射嫌いの子も受けやすい
さっと鼻に噴霧するだけで済むので、注射型と比べて嫌がる子どもを抑えこむなどの負担が減る可能性があります。
デメリット
- 接種できる年齢が限られる
日本では「2歳以上19歳未満」が対象です。2歳未満は安全性が確保されておらず現在は適応外です。 - 副反応として鼻水・鼻づまりが出やすい
接種後に軽い風邪のような症状が出ることがあるようです。 - 費用が高め
医療機関によりますが、注射より1,000〜3,000円ほど高いことが多いです。
0歳の赤ちゃんを守るための選択肢
インフルエンザワクチンの効果がはっきりしていない0歳の赤ちゃんを守るためには、まず周りの大人が手洗い・うがいなどの基本的な感染対策を続けることが大切です。
また、私自身はインフルエンザ脳症などの合併症を考えると、ワクチンを受けて赤ちゃんを守るという選択も有効だと感じています。とはいえ、考え方は家庭ごとに異なるもの。家族やかかりつけ医と相談して、安心できる方法を選んでくださいね。
参考文献：
・厚生労働省 小児に対するインフルエンザワクチンについて
・日本小児科学会 乳幼児（６歳未満）に対するインフルエンザワクチン接種について
・Influenza vaccine immunogenicity in 6- to 23-month-old children: are identical antigens necessary for priming?
・松平小児科コラム
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この記事をかいたのは…
看護師としてがん専門病院に3年間従事後、「好きなことを好きなだけしてみたい！」と思い立ち、海外留学の後世界一周へ。帰国後はトラベルライターとして活動。現在は、結婚・出産を経て、看護師兼webライターとして働く複業ママ。