五味太郎×祖父江慎ギャラリートーク」
ゲストはブックデザイナーの祖父江慎さん。2026年3月5日に小学館から刊行される、五味太郎著『そういうことなんだ』新装版のアートディレクションを担当しています。
五味太郎さんと祖父江慎さんのタッグは、4歳から100歳の体験・体感型MOOK「ぺぱぷんたす」002号以来。打ち合わせでも、読んでいる本の話から、現在の印刷業界、海外の出版事情まで、話が縦横無尽に広がっていく、息の合うお二人。今回のトークは、まず二人がこれまでつくってきた本の話から始まりました。
祖父江慎(以下敬称略)
「五味さんの全著作が並んだ展示を見ましたけど、普通ではないですよね。いつも新しいことをやってますよね。最初にびっくりしたのは『ことば』という絵本ですね。1970年代に出された。本屋で見て、あれは驚きましたね」

五味太郎(以下敬称略)
「ちょっとよかったよね、あれは。なんかね、そのままじゃつまんないなって思うところがあって。祖父江さんの仕事も見てると、やっぱり変だよね(笑)。普通じゃいやだ、みたいな。ガキの頃からそう?」
祖父江「うーん。わりと普通にやってるつもりで進むと、普通じゃなくなるんですよ」
五味「人の話聞いてないしね」
祖父江「よーし!聞くぞ!!!(笑)」
五味「天才なんだよね、俺たち。人の話なんか関係ないっていうね(笑)。今回、僕が30年ぐらい前に出した本のリメイクを、祖父江さんがやってくださることになったんだよね」
祖父江「小学館の編集者から“デザインやりませんか?”って聞かれて、“うん!やるやる〜!”って」
五味「うれしいね」

祖父江「じゃー、ちょっとだけ、お見せしちゃう?」
と、できたてほやほやのデザインを取り出す祖父江さん。
ここから話題は、『そういうことなんだ』の制作の裏側へ。
五味「実はね、今回、自分の文章に新たに自分でイラスト描くみたいなことになって、すごく難しかった。今までは、絵を描きながら文章を書いてって、同時にやってたの。でも今回は、先に祖父江さんが文字を組んでくれたところに絵を付けていくわけだから。文章を読み返したら、なんかくだらないこと言ってるな〜って思ってたりね(笑)。簡単だと思ってたのに、これは難しいぞって」
祖父江「自分が二人いるみたいになっちゃったのかな」
五味
「今回のやり方を“難しい”と感じたことで、翻って、ずっと(絵と文章すべてを)同時進行でやってきたんだなってわかったんだよ。客観的に見て。それで俺はやっぱり、絵本なんだな、それが面白いんだなって思った。でも今回は、新鮮な気持ちを味わうことができて楽しかったな。で、デザインの方はどう?」
祖父江「デザインって、人の作品にやるものだから、直したくても直せないじゃない? 自分のものなら文字数変えてバランス取ったりできるけど、そんなことしたら怒られちゃうじゃない?(笑)」
五味「祖父江さんの仕事は全部見てるわけじゃないけど、装丁家というより評論家みたいな気がする」
祖父江「いやいや。あ、でも“味わい好き”なんですよ。理解するより味わうほうが好きだから」
五味「いやな性格だよね(笑)。素材を装丁していく中で、この作品がどうなのか、評論している感じがするんだよ」
祖父江「あるかもしれない。今回もね、(五味さんは)絵本を描いている人だけど、内容は大人じゃないですか」
五味「だから新聞的なデザインを提案してくれたの?」
祖父江「そう。絵本的なものではないし、これは昔に書いたものだから、あまり直したくないてっいうのもあって。だったらドキュメンタリーだなって…。それで新聞」

五味「新聞っぽくいきますって言って、ガーっと文字を組んできてくれて。俺も色々意見を言ったけど、何も聞いてくれない(笑)。無視(笑)」
祖父江「無視はしてないですよ。そうでもないの。変えようとしても、元に戻っちゃうんですよ。今回もカバーに金箔って言ったら、それはない、銀だろって(五味さんに)言われたけど、でもまた戻っちゃってね。新聞に金箔ってかっこいいじゃんって思って」
=続く=
この後も、この本のデザインについてや、秘密、こだわりなど、さらに話は深く進んでいきました。そして、五味さん、祖父江さんそれぞれの“アイディアが生まれる経緯”や“大事にしていること”、“色、形、身体性の話”など、興味深い話題が次々生まれ、自由に広がっていきます。
文字では伝えきれないニュアンスや間、笑いは、ぜひ配信でお聞きください。
本づくりの裏側と、二人の思考の行き来を、たっぷり味わえる時間です。
【五味太郎ギャラリートーク】次号予告

荒俣 宏さんをお招きしてのスペシャルトーク
開催日時:2026年1月9日(金) 18:00~20:00予定
ゲスト:荒俣 宏さん (作家・博物学者)
ゲストプロフィール
荒俣 宏|あらたま ひろし
1965年慶應義塾大学法学部を卒業。日魯漁業株式会社に入社、十年余りのサラリーマン生活を経て、独立。初めて書いた小説『帝都物語』がシリーズ500万部のベストセラーになる。『世界大博物図鑑』第二巻魚類編でサントリー学芸賞受賞。著作は300冊を超える。
申込期間 ※先着順
2026年1月2日(金) 11:00 〜 2026年1月8日(木) 19:00まで
※会場参加(チケットレス)の購入ページURLは、申込期間の開始とともに公開いたします。
【ライブ&アーカイブ配信について】詳しくはこちら
(※配信開始は1月13日を予定しています。配信終了は2026年5月末日。アーカイブ配信は、内容を一部カットする場合がございます。)
五味太郎 絵本出版年代記展 「ON THE TABLE」

会期|2025年12月12日(金) ~ 2026年2月2日(月)
※12月30日(火)~1月6日(火) 休館
会場|LURF GALLERY 1・2F
時間|11:00 – 19:00
住所|150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1
料金|入場バッジ ¥1,500(会場販売のみ)
※会期中バッジご提示で何回でもご入場可能
※未就学児は入場無料
※1Fの展示は入場無料
『そういうことなんだ』五味太郎著
2026年3月5日発売
※本記事は、12月26日開催のトークイベントを再構成したものです。