目次
夫婦関係がうまくいかない人は「夫婦の時間」を取っていますか?
――じママさんはどうして「夫婦関係」についての活動を始められたのでしょうか?
2020年、コロナ禍で1歳半の息子の子育てが孤独に感じて、SNSで発信を始めたのがきっかけです。
当初はママたちが家の中で子どもと楽しめる、おうち遊びの投稿をしていたんですが、子育ての発信をしていると悩みを送ってくれる方がたくさんいたんです。イヤイヤがひどくてとか、偏食で…とか。みなさん些細な悩みを誰にも言えなくて、赤の他人である私に相談してくれるんです。
そのとき「これって旦那さんに相談していますか?」と聞くと「聞いてくれないんです」とか「それで喧嘩になっちゃって…」という答えが返ってくるので、みなさん夫婦関係に悩んでいるんだなと思いました。
私と夫は、結婚当初から「夫婦としてのあり方」を何度も議論しながら関係を確立してきました。夫婦でたくさん話をしてきたから、コロナの時期も2人で乗り越えていると感じていて。だから、子育てに悩んでいるママたちも、夫婦関係を良くしたらうまくいくのではと思い、夫婦のことを発信するようになりました。

――子育て中だからこそ、夫婦関係がこじれやすいということはあるのでしょうか。
あると思います。子どもが生まれる前は、夫婦の時間が多かったと思うんです。ところが子どもができると、子どもが話の中心になる。夫婦がどうとか、お互いの考え方とかを話し合う暇がなくなっていませんか?
――子どもが生まれてから本当に時間がないです。夜も疲れていて、寝落ちしてしまったり…
子どもが寝ないこともあるし、お互い残業があることもある。だから、夫婦で向き合う時間をあえて取る人たちも少なくなってしまい、お互いの思っていることや考えていることが分からなくなっていざこざが起きるんですね。
つまり、子どもがいることが原因ではなくて、単純にやることが増えて、夫婦の時間や会話量が減っているからこじれるのです。
「夫婦の目標」を立てるとうまく回りだす!
――じママさんがおっしゃっている「夫婦ONE TEAM思考」はどのような考え方なんでしょうか。
夫と「どうしたら夫婦がうまくいくんだろう」「どうしてみんな話がこじれるんだろう」という話をして最終的に行きついたのが、「2人の目標がないからじゃない?」ということでした。
2人が頑張りたいことや、こうしていきたいという家族像の軸があれば、それをもとに判断基準や話し合いができるはずです。でも、目指すところが一致していないから、話し合いがうまくいかないし、歩み寄ることもできない。
「夫婦ONE TEAM思考」は、お互いが共通の目標を持ち、その目標を心の底から納得していること。夫が決めたから、私が決めたから、ではなく、2人で「そうなりたいよね」と心の底から合意していることが、夫婦ワンチームへの道です。
――目標設定って難しいですね。子どもとどう関わっていくかとか…ですか?
お子さんがいる方はつい「子ども」という言葉が出てきてしまいますが、夫婦の目標は2人の目標なんですよ。
子どもの育て方って、2人とも経験値が違うから全然違ってくると思うんです。まず大切にしてほしいのは、夫婦として2人がどうありたいか、なんですよね。

――なるほど。確かに子育てをしていると、どうしても子どもが第一になってしまって、夫婦になかなか意識が向かないということがありますよね。
そうなんです。だから、夫婦の軸となる目標を決めて、「私たち夫婦って将来どういう夫婦像でいたいんだろう」と考えてみてください。そうすると、なりたい家族像が見えてきて、頑張らなきゃいけない仕事の量とか、お給料とか、目標に向かってやらなければいけないことも分かってくる。
それがあって初めて「じゃあ子どもにどれくらいお金をかけられるのか」とか、「自分たちがこういう生活をしたいなら、子どもの学校はこういうところが合ってるよね」など、小さなことも決められます。
――たとえばどのような目標にしたらいいのでしょうか?
身近な目標でいうと、「毎日10分会話する」でもいいと思います。また、2人で達成したいと思える目標として「家を建てる」や「来年ハワイ旅行に行くお金を貯める」とかでもいい。
どんなに小さくても、「これに向かって一緒に頑張ろう」というものが決められればいいと思います。同じゴールに向かっていると判断軸ができ、子育てや日常の些細なことに関しても歩み寄れて、口論にもなりづらくなります。
多くの夫婦を見てきたじママさんに訊く! パターン別お悩み解決法
――夫婦間でもめることはいろいろあると思うんですが、ここからはパターン別にアドバイスをお願いします。
パターン1.家事・お金・実家との距離感…お互いの常識が違う問題

まず「自分にとっての当たり前は、当たり前じゃない」ということを自分が理解することだと思います。
タオルの畳み方ひとつでも人によって違うし、洗い物はどこまでやったら終わったと考えるのか、年末年始は帰省するといった実家に関する考え方も、育ってきた家庭によって違うことを理解するところから始める。
私が大事にしているのが「共通言語化」です。たとえば「片付けをした」という一言の意味合いを、具体的に擦り合わせることが大事です。人によってどこまでが「片付けをした」なのかが違うんですよ。
また、「高い・安い」という感覚も、女性にとっては5,000円のシャンプーでも普通かもしれないけど、男性からしたらびっくりする値段だったりするじゃないですか。
「一般的にはこうだよ」とか「でも自分はそう思ってないよ」という事実を、まず知ること。その上で「じゃあ、自分たちはシャンプー1個にいくらまでかけられるだろう」と落とし込むのが、大切なんです。
自分の考えが当たり前と思わずに、夫婦で価値観や当たり前を一緒に照らし合わせていく。そうすると、1つ1つの違いがだんだん合ってきます。
パターン2.やっているのに相手から見ると足りていない!? 家事・育児の「やってるつもり」問題

これも先ほどと同じですね。ただ、この問題がひとつもなくなることはないと思うんですよ。毎回、新しい問題が出てくるじゃないですか。その繰り返しなんですけど、多くの人はそれを「めんどくさい」という理由で、理解してもらうための取り組みをしなさすぎていると思います。解決するためには、具体的に「これをやってほしい」と伝えることです。
「やってって言ったじゃん」とか「やってないよね」とかは、我が家もあります。でも、「あなたを責めてるわけじゃないよ」「2人にとってこうした方がいいと思うから言ってるんだよ」というスタンスで伝えると、「じゃあ直そうかな」となるし、お互いイライラしなくなります。
――たとえば、洗い物のときに鍋のフタを洗ってほしいと何度言っても、相手は洗わなくていいと思っているようで洗ってくれないのですが。
完璧にやってほしい人もいるし、価値観の問題ですよね。命の危険に関わることだったら、しっかり伝えなきゃいけない。でも、洗い物のちょっとしたことって、そこまで重要かというと、そうでもない場合もある。それが譲れるものなのか、譲れないものなのか、自分の中で判断することも大事かもしれません。「私とあなたでは基準が違う」と理解して、自分でやるか、もしくは話をして擦り合わせる。
うちも、歯ブラシを使った後に所定の場所に戻してほしいのに、夫は洗面台に置くんです。言っても直らないから、気になる私が戻す。いちいち怒っていたら疲れちゃうし、他人と結婚した以上、全部のことを共感できるわけじゃないですよね。
ただ、鍋のフタを洗う洗わないの違いと、お金を散財するかどうかみたいな違いは、問題の大きさが全然違います。家事のちょっとしたごちゃごちゃに労力を割くよりも、お金の使い方や子どもの育て方など、大きなところの歩み寄りに時間を使った方がいいですよね。
パターン3.声をかけるまで何もしてくれない! パートナーの指示待ち問題

気が付く方ばかりが家事をすることになり、相手は言わないとやってくれない、ということは起こりがちですよね。でも言ったらやってくれるならそれでいいんじゃないかなと、私は思っています。言ってもやってくれない人が一番大変じゃないですか。もちろん、自分ごととしてやってほしいって気持ちはあると思うんですけど、それも目標設定によると思っていて。
夫婦で目標を設定したときに、妻も働かなきゃいけない、夫も働かなきゃいけない。それが二人の目標をかなえるために必要なタスクだったら、それを基に家事育児は分担するべきです。目標がないと、できる人がやればいいって思いがちですよね。
昔の考えで、料理や家事は女性がするのが当たり前と思っている人もいると思うんですが、まず「うちの家庭はこういうタスク分担をしていかないと回らないよね」という話し合いをしてみてください。
パターン4.叱る・甘やかす基準が違ってイライラ…子どもへの関わり方・しつけの温度差問題

これも、子どものいないところで役割をちゃんと話し合う必要がありますね。
私の話で言うと、子どもが赤ちゃんだったとき、お昼寝を絶対させたかったので、いつもお昼寝できるように1日のスケジュールを組んでいたんですね。ご飯を食べる時間も大体決まっているので、その後に寝かせる時間がほしい。だから、車で外出する日なら、車に乗っている時間がちょうどお昼寝に充てられるように設定したい、という感じです。でも、夫から「お昼寝をちょっとスキップしてもよくない?」とか、「俺はこっち行きたいんだけど」と言われることがあって。
そのときは、子どもの睡眠はリズムが決まっていて、安定するとこういうメリットがあって、子どもにとってもあなたにとってもメリットがある、という話を丁寧にしました。
また、お菓子をたくさんあげてほしくないな、という場面もありますよね。そういうときも、今食べさせると夕飯を食べられなくなるなど、どうしてそうしたいのか、どうして夫婦が同じしつけをするべきなのか、何事も提案して話し合うことです。そこを共有しないと、子どもも混乱してしまいます。
今日からできることは、自分を振り返ることと、子どもを早く寝かせること
――話し合うことの大切さを痛感しました。今日から実践してみたいけれどパートナーは話し合いができないタイプで…という方も多いと思うんです。まず何からしたらいいですか。
そういう場合は、まず自分を変えることからです。相手を変えようとするアプローチの前に、「大好きで結婚したのに、なぜ言えないんだろう」「いつからそうなったんだろう」と自ら振り返って考えてみることがすごく大事です。
自己分析をしていくと、「子育てのときに、あの話ができていなかったかも」とか、「仕事が辛いって言っていたときに話を聞かなかったから、仕事の話をしてくれなくなったのかも」とか、自分の中の課題が分かってきます。

また、子どもの寝る時間が遅くて会話の時間が取れないという方は、最初にやるべきことは子どもを早く寝かせること。子どもを早く寝かせると、夫婦で会話をする時間が作れます。子どもも睡眠時間をたっぷりとることで癇癪がおさまったり、風邪をひきにくくなったりというメリットも。
夫婦の問題は、いろいろなことが関係しているので、関係をよくするのは簡単じゃないんですよね。ただ、根本の問題に「時間がない」ということが隠れている方は多いので、まず時間を作る努力をするのは有効かと思います。
パートナーが最優先! 子どもとの関係もおのずとうまくいく
――最後に、じママさんが夫婦関係で大切にされていることを教えてください。
夫を一番に考えることです。子ども優先じゃなくて、夫が優先。相手もそうしてくれています。やっぱり夫婦がうまくいっていないと、子どもとの関係もうまくいかないんですね。
子育てやキャリアに悩んでいる人も、夫婦関係を改善していくと、その先の道が開けていく。一番面倒な作業だけど、一番身近で、無料でできる(笑)。
何より、夫婦は当事者が2人だけ。2人が合意すれば最強です。誰かの承認も協力もいりません。家にいる2人がタッグを組めば、何でもできる。今からでも全然遅くありません。チームになれたら、すごくワクワクする100年ライフが待っていますよ!
こちらの記事もおすすめ
じママさんの書籍
夫婦こそ、人生を好転させるための最強のチーム!
3000人以上の悩みに答えてわかった、
戦略的メソッド「夫婦ワンチーム思考」を実践すれば
家庭・仕事・子育て・お金…すべてが好転。
SNS総フォロワー数26.5万人、多くの子育て世代と
コミュニケーションをとり、オンラインサロンでは
夫婦関係のアドバイスをしている山本久美子さん(じママ)による
令和の新しい夫婦関係についての提言です。
取材・文/酒井千佳