「テレビから離れない息子、宿題をする時間が無くなりパニックになるのをどうしたら…」母親の問いに児童精神科医・佐々木正美先生のアンサーは

2017年に逝去した医師である佐々木正美先生のメッセージは、いまも多くのママたちに支持され、SNSでも広がりをみせています。今回著書「この子はこの子のままでいいと思える本」から、子育て中の多くの保護者が抱える悩みと、先生からの言葉をHugKum編集部でピックアップしご紹介します。

テレビのほかに、楽しいことはありますか? ひとりぼっちで勉強させるのではなく1日30分でいいから「家族いっしょ」の時間を

【質問】テレビが大好きで宿題をしません (小1男の子・3才女の子のお母さんより)

長男は小学校に通うようになってから、いろんなことをめんどうくさがるようになりました。宿題になかなか手をつけず、わたしから「そろそろやったら?」と言われると「わかってる!」と答えるのですが、結局、いつまでもやらないので時間がなくなり、パニックになって暴れるのです。

調子がいいときは、時間配分を自分で考えてスムーズに進むのですが、そういう日はめったにありません。テレビが大好きで、ほうっておくと一日ずっと見てしまいます。朝1つ、夜1~2つ、曜日ごとに見る番組を決めさせ、1日1時間以内に抑えるようにしています。

ただ、娘の見る番組は違うので娘が見ていると、息子はそれもいっしょに見てしまい、結局は時間がなくなって宿題ができず暴れる……という、いつものパターン。息子はもっとわたしに甘えたいのだと思うのですが、下の子がわたしを独占したがるので、息子と2人の時間がつくれません。

勉強は「好きではないけどイヤでもない」という程度の気持ちにしてあげましょう

小学1年生の子なんて、たいていそんなものですよ。宿題が楽しくてサッサと片づけてしまう子なんて、そんなに多くはありません。この時期は、「好きではないけどイヤでもない」くらいの気持ちで宿題ができるようにしてあげることが大事なのです。

「そろそろやったら」なんて言うだけでは、なかなか始めないでしょうね。大きな声を出してしかりつけてやらせる、というのもまちがいです。お母さんが隣に座って、勉強を見てあげるのがいちばんいいのです。お母さんは隣にいるだけで、家計簿をつけたり手紙を書いたりするのでもかまいません。妹さんもいっしょに並び、お絵描きをさせましょう。テーブルを3人で囲んで「みんなで勉強しよう」と言えば、「イヤではない」くらいの気持ちで宿題にとりかかれるものです。

「親が手伝ってあげたら、自分でやろうという気持ちが育たないのでは?」と言う人もいますが、わたしはそうは思いません。妹はテレビを見ているのに、自分だけお母さんにガミガミ言われ、ひとりで机に向かわなくてはならない状況を考えてごらんなさい。「小学生になんてならなきゃよかった」「勉強なんて嫌い」という気持ちになってしまいます。勉強はつまらないもの、がまんしてやらなくてはいけないものだと思い込むでしょう。

大事なことは、「勉強がイヤではない」という気持ちを育てることです。それさえできれば、時期がきたらひとりでも勉強します。中学生や高校生になれば、親が手伝おうにも手伝えませんから、せいぜいそれまでの話です。
テレビの見すぎも心配していらっしゃいますが、これも同様の方法で解決できますよ。
つまり、テレビを消して、みんなでボードゲームやトランプをするのです。わが家ではよく、家族みんなでトランプをしましたよ。絵本もたくさん読んであげました。テレビを規制したことはありませんでしたが、誰もテレビを見たいとは言わないのです。お母さんやお父さんといっしょに遊ぶことのほうがずっと楽しいからです。

小学生になれば本くらい自分で読めますが、「テレビを見てないで本でも読みなさい」と言ってもダメなんです。でも「本を読んであげるから、こっちに来ない?」と言えば、喜んでやってくるでしょう。下の子もいっしょに楽しめる本を読んであげてください。

家事も仕事もいったん全部やめて家族で過ごす時間を楽しむ

下の子は、お母さんをひとり占めしたがるそうですね。でも、「3人で勉強だよ」「3人で本を読もう」と言えば、「お兄ちゃんだけ向こうに行って」と言うことはないでしょう。そのうち、お母さんと2人っきりよりも、家族みんなで楽しい時間をもつほうがうれしいと思うはずです。ママだけではなく、お兄ちゃんと遊ぶことの楽しさにも気づくかもしれませんよ。

ただ、一つだけ大事なことがあります。それは、お母さんがイヤがりながらやらないということです。心から家族の時間を楽しんでください。食器を片づけなくちゃ、おふろに入れなくちゃ……いろいろあるでしょうけれど、それらを全部あと回しにして、その時間を楽しんでください。楽しさは、その場にいるみんなが「楽しい」と思わないとつくられないものです。

お兄ちゃんは小学校に入ったばかりで、心が不安定になっているのだと思います。お母さんや妹、そしてときにはそこにお父さんも加わって、家族で楽しい時間を分かち合えるようになったら、イライラや不安定な気持ちも少しずつ治まってきます。心が落ち着いてくるのです。1日たった30分でかまいません。その時間は、親が体を使って、心を配って、子どもに「勉強は楽しい」「テレビよりおもしろいことがある」と気づかせてください。日本の家族は、どこかに出かけるとき以外、家族いっしょに何かをすることがほとんどないのだそうです。家の中では、みんな別々のことをするのですね。もちろんそんな時間も必要なのですが、ほんの短い時間でも、家族いっしょに何かを楽しんでください。親にとってもいい思い出になります。

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「いい子だから、かわいがるのではありません。かわいがるから、いい子になるのです」。人間関係が失われ、孤独な親が増えたこの時代に、幸せな親子を増やしていきたい……。2017年に逝去された、児童精神科医・佐々木正美先生がいちばん伝えたかったことを、お母さんたちの悩み相談に答えながら届けます。

構成/HugKum編集部

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