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一般的なサマーキャンプとの違いは「親子参加」と「リアルな生産現場」
――「ポケマルおやこ地方留学」の特徴や強みは、どのあたりにありますか?
木勢さん:今回は3つほど紹介したいと思います。まず一つ目は、サービス名称にもある通り「親子」で参加いただくという点です。多くのサマーキャンプが子どもだけを送り出す形式が多い中で、私たちのプログラムは原則として小学生のお子さんとその保護者の方にペアで参加していただきます。朝晩は保護者の方と宿泊施設で過ごし、日中、お子さんがアクティビティに参加しに行く形です。
また、「おやこ」とひらがなで表記しているように、血縁のつながりに制限は設けていません。おじいちゃんおばあちゃんとお孫さんでの参加も大歓迎ですし、滞在の途中でパパとママが交代したり、合流したりといった柔軟な対応も可能です。ご家族のさまざまな働き方や生活スタイルに寄り添えるようになっています。
――それはとてもユニークですね。
木勢さん:二つ目の大きな特徴は、体験する「場所」です。私たちは「ポケットマルシェ」という、生産者さんがオンラインで農産物や海産物を販売できるプラットフォームを10年間運営してきました。日本全国に9,100人以上の登録生産者さんがいて、自治体のカバー率でいうと9割以上にのぼります。
――北は北海道から南は沖縄まで、津々浦々にいらっしゃるんですね。
木勢さん:はい。その生産者さんたちのネットワークを活かし、子どもたちをリアルな生産現場へお連れします。管理された観光農園での収穫体験とは違い、生産者さんの日々の「日常」にお邪魔できる。いわば、1次産業に特化した、よりリアルな社会科見学や職業体験のような要素があるのが強みです。

木勢さん:そして三つ目は「期間」です。夏休みの期間中、6泊7日という少し長めの設定になっています。親御さんのスケジュール調整の負担を減らすため、どの日程・地域でも「日曜日チェックイン、土曜日チェックアウト」で固定しています。
そうすると平日の活動日が中5日間生まれるので、その中で山へ行ったり、海へ行ったり、畑へ行ったりと、地域ごとの特色ある体験を日替わりで楽しめるようにプログラムを組んでいます。
「生き物が食べ物になる瞬間を、生産者さんと一緒に体験する」
――1次産業の生産者さんと深いつながりがあるからこそできる、本当に特別な体験ですね。具体的にはどのようなプログラムがあるのでしょうか。
木勢さん:私たちがどの地域のプログラムでも大切にしているのは、「生き物が食べ物になる瞬間を生産者さんと一緒に体験する」ということです。普段私たちが口にする「いただきます」の背景には、生産現場があります。つまり、命をいただいているわけです。
魚がピチピチと跳ねている姿、動物が動いている瞬間、そしてその命をいただく瞬間をしっかりと見届け、みんなでおいしく食べる。この一連の流れを体験することに重きを置いています。

――かなり衝撃的な体験もありそうですね。
木勢さん:はい。例えば、ハンターさんと一緒に鹿猟に同行する体験があります。朝3時くらいに子どもたちを起こして猟場へ向かい、鹿を探すところから始めます。ハンターさんが銃を撃つ瞬間も間近で見ることになります。
ショックで泣いてしまう子もいます。ですが、ハンターさんは「スーパーに並んでいるお肉も、こうして命を絶って食べ物になっているんだよ」と伝えてくれます。子どもたちは、かわいそうという感情だけでなく、「食べる」ことの本当の意味を、頭ではなく体で、五感で理解していくんです。
親御さんの方が「キャー」となってしまうこともありますが、子どもたちは意外とすっと現実を受け止めているように感じますね。


親はリモートワークも可能。でも、いつのまにか子どもと一緒に夢中に
――親子での参加が原則とのことですが、滞在中の親の過ごし方も気になります。
木勢さん:日中の体験アクティビティは私たちがお子さんたちをお預かりしますので、親御さんはWi-Fi環境が整った滞在先でリモートワークをしていただくことも可能です。実際に、プログラムが始まった2022年のコロナ禍当初は、リモートワークをされる方が多くいらっしゃいました。
ただ、最近は休暇を取って、まるっと家族旅行として参加される方も増えています。また、「大人が子どものアクティビティに参加することもご相談可能です」とお伝えしているのですが、このニーズが非常に多いんです。
――大人も楽しそうですね。例えば漁に出るという経験は、なかなかありません。
木勢さん:そうなんです。大人自身も、食べ物の背景を実はよく知らないわけですから。子どもに教えてもらうこともあれば、一緒に体験して感動を分かち合うこともできる。それもこのプログラムの醍醐味だと思います。

――子どもだけで参加する場合、親と離れることに不安を感じるお子さんもいるかと思います。
木勢さん:特に人見知りのお子さんだと心配ですよね。ただ、夜には必ず会えますし、その日あったことをたくさんお土産話として報告できる。子どもの成長を間近で見届けられるのも、親子参加ならではの良さです。
また、不安を少しでも和らげるために、出発の3〜4週間前には参加者全員でのオンライン顔合わせ会を実施しています。事前に顔を知っているだけでも、当日の安心感はかなり違うようです。
体験内容の安全性についても、運営体制(子ども4名につき大人1名を原則配置など)を敷いて運営しています。その上で、お子さんにもルールを守って体験参加をいただくようお願いしています。
「トマト嫌いが食べられるように。都会に帰りたがらない子も」
――実際に参加したお子さんたちに、何か変化や成長は見られますか?
木勢さん:それは非常に多く感じます。親御さんからのフィードバックでいちばん分かりやすいのは、食に関する変化ですね。「普段ご飯を一杯も食べない子が、おかわりを3杯もしたのは初めて見ました」とか、「トマトが苦手だったのに食べられるようになった」「刺身なんて今までまったく口にしなかったのに、バクバク食べていた」といった声は本当によく聞きます。
参加した方からの感想で「帰ってからも絶対にまた行きたい! とずっと言い続けていて、子どもにとっても、普段都会で暮らしていたら得られない経験がたくさんできたのだろうと思います」というものもありました。
生産現場は自然にあふれた場所ですし、活動量も普段とは比べものになりません。生産者さんは、私たちにとっては「自然の通訳者」のような存在です。風の匂いや海の色から天気を予測したり、自然と共に生きる知恵をたくさん持っています。子どもたちは、そんな生産者さんたちが発する言葉をすごくよく覚えて帰ってきます。

――親も知らない世界を、子どもが先に体験してくるわけですね。
木勢さん:まさに。自分で拾ってきた石や木の枝を、宝物のように誇らしげに親御さんに見せている姿を何度も見てきました。自分が先にできた、知ることができたという高揚感が、大きな自信につながっているのだと思います。
「第2、第3のふるさとを作ってもらいたい」
――最後に、今年の参加を検討しているご家庭へメッセージをお願いします。
木勢さん:私たちの会社のミッションは「都市と地方をかき混ぜる」ことです。このプログラムを通じて、参加してくれたご家族にとって、その土地が「第2、第3のふるさと」のような存在になってくれたらうれしいなという思いで運営しています。
お連れする場所は、観光ガイドブックには載っていないような場所ばかりです。でも、そこには日本の幅広さ、見たことのない景色が広がっています。6泊7日という期間は、覚悟を持ってスケジュールを調整しないと難しいかもしれません。ですが、一度参加いただければ、その面白さにきっと気づいていただけるはずです。
せっかく現地に行くのだからと、プログラムの前後にご家族での旅行を計画される方も多いです。この夏、普段の生活がより豊かになるような新しい出会いと発見の旅に、ぜひ出てみてください。

――お話を伺って、7日間で得られることはとても多いと感じました。夏休みの自由研究にもなりそうです。親子で実りの夏を送りたいですね!
■「ポケマルおやこ地方留学」について詳しくはこちら>>
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お話を伺ったのは
ポケマルおやこ地方留学が産声を上げた2022年夏から一貫して担当。計10季の催行とトータル500家族を越える方々を地方へとご案内してきました。子どもたちからは「しょーしょー」と呼ばれている。
文・構成/HugKum編集部