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大きすぎる網を買うほど虫が大好きな娘さん。中学生にして学会で発表することも
――中村さんのSNS投稿にて、現在高校1年生の娘さんの大きな虫捕り網が話題になりました。娘さんはいつ、どんなきっかけで虫が好きになりましたか?
中村さん 庭に、娘がお腹にいるとわかったときに記念樹として植えたレモンの木があり、そこに毎年すごい数のナミアゲハが来て卵を産み付けていたので、それを小学生のときに育ててみたことがスタートです。
――では特に好きなのはチョウなのでしょうか。
中村さん 成長する段階で劇的な変化を遂げる、完全変態する昆虫が特に好きなようです。低学年のころにはナミアゲハが羽化して成虫になるまでの成長を絵本にしました。寄生された青虫を解剖したり、女王アリの観察をしたり、カラスアゲハを標本にすることもしています。
――現在は学会で発表することもあるそうですね。
中村さん 毎年、ナミアゲハはサナギポケットを作ってあげて生育しているのですが、中学3年生で参加した学会(日本再生医療学会総会、中高生セッションの部)では照度を変えて成長度合いが変わるかどうかの実験を発表しました。照度の調整や100匹分の計測、顔の観察、フンの回収が大変で、毎日2時間くらいかけてやっていましたね。
その最中、娘が学校行事で家を2週間空けることになり、娘に代わって私が事前に練習もしたり、渡されたマニュアルを見たりしながら、手伝ったこともありました。研究助手に名前を書いてほしいくらい(笑)。でも、その地道な実験が、学会の場で銀賞をいただくという結果に結びついたと思います。
子どもをここまで夢中にさせるものを知りたい! 今では昆虫食やフンのお茶にも挑戦!
――子どもの好きなことに寄り添う原動力はどんなことでしょうか。
中村さん 娘はこのように昆虫が好きですが、息子は野球が大好きです。この子たちをこんなに夢中にさせるものってなんなんだろうと、純粋にその好奇心の源を見てみたいという思いです。

親が一方的に与えてもこんな風にむやみに好きにはならないんですよね。私は普段意識していることがありまして。例えば子どもが「時計の仕組みってどうなっているんだろう?」というようなちょっとした一言を漏らしたら、それをキャッチし、100円ショップで時計を買ってきて一緒に分解したこともあります。これは、子どもの好奇心が芽生えたそのときに、その疑問に対する熱が冷めないうちになるべく早く取り掛かるのがポイントです。
自分の畑じゃないことなら夫や第三者を頼るなど、いろいろな人の力を借りて子どもの興味、世界を広げてあげられたらと思っています。そこは大事にしたいところですね。
――なるほど! 母親がすべてを担わなくてもいいのですね。中村さんご自身はもともと虫はお好きでしたか?
中村さん 全然好きじゃなかったですが、今は可愛いです。昆虫食も一緒に取り組んでいて、飼っていた青虫を茹でて食べたり、セミを捕まえてきて揚げたり、フンのお茶を作って飲んだり。お茶は中国茶のようでした。私もやったことがなかったので、一緒に学べることが楽しいですね。息子が好きな野球も、もともと全然知らない分野でしたが、今では詳しくなりました。自分発信ではなかなかできないことを体験できています。

「大丈夫だよ。何回でもやり直せるから」という声掛けが今につながっている
――先ほど学会のお話がありましたが、娘さんは人前で話すことは得意ですか?
中村さん 緊張しない子で、今まで緊張したことがないと言うんです。私自身はすごく緊張するので、この間なぜ緊張しないのか聞いてみたら「何回でもやり直せるから」と言っていました。
”自己肯定感おばけ”のような子で、失敗したらどうしようとは思わないようです。振り返ってみると、小さいころから一緒にやっていたお菓子作りや実験などの場でも「大丈夫だよ。何回でもやり直せるから」という声掛けはしてきたので、そこが今につながっているのかなと思います。
「キユーピー3分クッキング」の親子クッキング回に一緒に出演したときも、緊張する私の横で、生放送ではなく収録ということもあり、「やり直せるから」と緊張せずに参加していました。学会発表の場でも周囲が発表前に熱心に練習しているなか普通に過ごしていて、本番では原稿も見ず、「自分なら大丈夫」という思いで、自分の言葉で堂々と話をしていました。
――「失敗したらダメ」という思いがないんですね。その都度「すごいじゃん!」と持ち上げられすぎてもガチガチになるかもしれませんね。
中村さん そう言われてみると、あまり褒めてこなかったかもしれません。「よかったよ」とは言いますが、私も本人も浮かれすぎないようにしていました。それよりも、命に係わること以外は受け入れようと、子どもの思いを否定せず肯定することを意識し、私自身も楽しむようにしていました。やることがいつも斜め上なので、褒めるよりはそちらを大切にしていましたね。
――だから娘さんは好きなこと、やりたいことを自由にやれているのですね。
中村さん 東京で少し雪が降った日、積雪量が少ないのにどうしても雪だるまを作りたいと、「冷やしたレジャーシートを庭に敷けば積もるのでは?」と考えて、レジャーシートを冷凍庫に入れて実践。ちゃんと雪だるまを作れたこともありました。
常に昆虫などがいないか探しながら歩いているので、学校帰りに制服のまま街路樹に木登りするほどで、トノサマバッタやアオダイショウ、マムシを捕まえて帰ってきたこともあります。小さいころはいつまでも外にいるような子で、一緒にセミの羽化を観察したり、親も楽しかったです。

”好き”はすごい! 好きなことを極めることでほかのことも頑張る力に
――好きなことに夢中になっている日々だと思いますが、悩んでいる方が多いスマホやYouTubeの視聴頻度で困っていることはないですか?
中村さん YouTubeでは生き物の捕食シーンとかそういうのを見ているようで、スマホの見過ぎなどで困っていることはないですね。
また、好きなこと以外では、もともと英語が苦手だったんですが、「海外の論文を読みたい」「海外で生き物を見たい」と思ったようで、好きなことからつながって好きな教科になったようです。中1のころは英語を心配していましたが、そこはあまり焦らなくていいのかなと。好きなことを極めることでおのずと、ほかの教科を頑張ることにつながることになるのかなと。”好き”はすごいですよね。
――娘さんのこれからも楽しみですね!
中村さん 今月(7月)コスタリカに行くんです。普段から環境保護のボランティアに取り組んでいるのですが、世界の高校生対象のボランティアに応募して、アジア人で1人参加することになりました。1人で海外に行くのは初めてなので、トランジットもありますし、「大丈夫?」と聞くと、相変わらず「大丈夫、なんとかなる」と。あの大きな網を持って行きたいようですが、荷物検査で問題ないかなと心配しています(笑)。
褒めるのではなく受け入れることが自己肯定感の醸成につながっていく
小さいころに好きでも、成長するにつれて興味がほかのことに移る子が多いなか、一途に虫を好きで、没頭している様子がとても印象的な娘さん。そのそばには、子どもの”好き”をまるっと受け入れ、一緒に楽しんでくれるお母さんの姿がありました。昆虫食やフンのお茶など、お母さんの得意分野でサポートしてくれるのもユニーク。子どもの思いを肯定し背中を押してくれる愛情が、娘さんが好きなことを思い切りできることにつながり、世界にまで目が向いているのだと感じたお話でした。
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この記事を書いたのは
子育てや教育、エンタメにまつわる方々への人物インタビューを多く取材・執筆。大人はもちろん、子どもたちから話を聞くのも好きです。3兄弟を育てる母でもあり、同じように子育てに向き合っている方たちが共感できたり、悩みや困りごとに寄り添えるような記事を発信しています。
