赤ちゃんの成長に必要な栄養を考えて作られた粉ミルクには、たくさんの種類があります。メーカーごとに特色があり「どれを買えばいいかわからない」と迷ってしまう人もいるでしょう。おすすめの粉ミルクや種類について紹介します。
目次
そもそも粉ミルクってどんなもの?
粉ミルクとは、赤ちゃんの成長に必要な成分がたくさん入っている粉末状のミルクのことです。「乳児用調製粉乳」とも呼ばれ、通常はお湯に溶かして調理します。赤ちゃんの安全面を考えて、国内の工場では厳しい品質・衛生管理や検査が行われています。
粉ミルクの成分は?
粉ミルクは主に牛乳から作られていますが、ほかにも、炭水化物・ビタミン・ミネラルなどたくさんの成分が入っています。
粉ミルクに含まれる成分や分量は「乳児用調製粉乳たる表示の許可基準」という法律で定められており、赤ちゃんに必要な栄養素がしっかりと入っているものが販売を認められる仕組みです。
上記の基準以外に加えて、DHAやアラキドン酸などの「母乳に含まれている成分」が入っている商品もあります。
メーカーによって配合成分が異なるため、成分が知りたい場合は商品の裏に書いてある「栄養成分表示」をチェックしましょう。
赤ちゃんに合わせた粉ミルクを選んで
粉ミルクは主に3種類に分けられます。
生後間もない赤ちゃんが飲む「育児用ミルク」と離乳食が進んだ9カ月以降から飲める「フォローアップミルク」、アレルギーや疾患がある場合に飲む「特殊ミルク」です。
育児用の粉ミルクは、母乳の代わりとなるエネルギー源になります。フォローアップミルクは離乳食で不足しやすい「カルシウム」や「ビタミン」などの栄養素を補うものです。
特殊ミルクは牛乳ではなく大豆を使ったものや、アレルギー関連の成分を除去したものがあります。アレルギー対応のミルクに関しては、子どもによってアレルギーの成分が異なるため、医師と相談してから利用しましょう。
粉ミルクの作り方と注意点
続いては、粉ミルクの作り方や注意点を紹介します。赤ちゃんに合った調乳グッズやミルクの温度をおさえておきましょう。
調乳グッズをそろえよう
調乳に必要な哺乳瓶は、保温機能が高い「ガラス製」か持ち運びに便利な軽量の「プラスチック製」が主流です。サイズは120~240ml前後とさまざまあるため、月齢に合ったものを選びましょう。
生後間もない時期は120~160ml前後の哺乳瓶で十分ですが、生後5カ月ぐらいになると赤ちゃんのミルクを飲む量が200~220mlに増えます。赤ちゃんの成長に合わせて、量を調節しましょう。
「ミルクの飲みが悪い」と感じたら、乳首の素材を変えてみるのも手です。乳首の感触に近い「天然ゴム」や硬めながらゴムの匂いがしない「シリコンゴム」、天然ゴムとシリコンゴムの中間のような「インプレンゴム」の3種類を試してはいかがでしょうか?
調乳するときは毎回丁寧な消毒を
生後間もなくの赤ちゃんは、免疫力がほとんどない状態です。調乳グッズは、使用前に熱湯消毒や電子レンジでの「熱殺菌」を徹底しましょう。哺乳瓶や乳首は、素材によって消毒時間が変わります。
調乳グッズ洗浄用のブラシから、髄膜炎や腸炎の発生に関係しているとされる「サカザキ菌」が哺乳瓶に付着するケースもあるため、清掃用品の消毒も必要です。
赤ちゃんの免疫力は、月齢が高くなるにつれて上がってきます。「生後6カ月」を目安に、赤ちゃんの状態を見て消毒を卒業しましょう。少しずつ、細菌と戦う抵抗力を養っていきます。病院や乳児健診などでやめるタイミングを聞いてもOKです。
調乳前にはしっかりと手を洗い、調乳グッズを消毒します。温めたミルクは雑菌が繁殖しやすいため、作り置きはせずに「赤ちゃんが飲む分」だけその都度作りましょう。
ミルクの作り方と温度をおさらい
粉ミルクで1回分のミルクを作る際は、付属のスプーンに山盛りにするのではなく「すりきりで1杯」が正解です。
沸騰させたお湯が70℃ぐらいに冷めたら、哺乳瓶の目盛りに合わせて適量を注ぎます。一度に全部ではなく「哺乳瓶の2/3あたりまで入れる」のがコツです。
哺乳瓶に乳首とカバーを取り付けたら、ミルクがダマにならないように、哺乳瓶をやさしく回します。残りの1/3のお湯を入れて、さらに回して溶かしましょう。
粉ミルクが溶けたら、冷水に当てて冷まします。哺乳瓶を持てるくらいミルクが冷めてきたら、皮膚の薄い「手首の内側」などに垂らして温度を確認しましょう。「人肌(40℃以下)」になったら完成です。
長年愛される有名メーカーの育児用粉ミルク
粉ミルクは多種多様にあり、選ぶときに迷ってしまうこともあるでしょう。数ある粉ミルクの中から、長年愛され続けている有名メーカーの育児用の粉ミルクを三つご紹介します。
雪印メグミルク ぴゅあ
「雪印メグミルク」の「ぴゅあ」は、母乳の研究によって生まれた育児用の粉ミルクです。
たんぱく質の組成を調節して、ガセイン(乳たんぱく質)の比率やラクトアドヘリンの量を母乳に近づけています。
母乳に含まれているDHA・ビタミン・ミネラル・オリゴ糖など、赤ちゃんの成長に欠かせない成分が豊富です。粉自体も溶けやすく、味もクセがないでしょう。
まさに粉ミルクの代表と呼べるようなロングセラー商品として、多くの家庭で親しまれています。
森永乳業 E赤ちゃん
消化にやさしいペプチドが含まれている育児用の粉ミルクです。ミルクに含まれるたんぱく質の成分を細かく切ることによって、赤ちゃんが消化しやすい状態へ導きます。
一般的な粉ミルクは母乳よりも消化に時間がかかりますが「森永乳業」の「E赤ちゃん」なら、たんぱく質を分解する際の負担量が母乳とほぼ同じです。
母乳に近い「ペプチドミルク」として、多くの家庭で重宝されています。消化腸内環境を整える3種類のオリゴ糖や、悪い菌から赤ちゃんを守ってくれるラクトフェリンも配合です。
明治 ほほえみ
「明治」が販売している「ほほえみ」の、キューブ型の固形粉ミルクです。スプーンで量を量る手間がなく、袋からキューブを取り出してお湯を入れるだけでミルクが完成します。
ひと粒40mlですが、袋の中で割って微調整も可能です。個包装で持ち運びやすく、旅行やレジャー施設のお供としても使えるでしょう。
同社が40年以上続けている赤ちゃんの母乳による発育調査の結果を、製品の改良に反映させています。
栄養を補うフォローアップ粉ミルク
続いて、離乳食と併用されているフォローアップ粉ミルクの中から、おすすめの商品を三つご紹介します。
森永 チルミル 大缶
「森永 チルミル 大缶」は、離乳食が始まっている9カ月~3歳ごろまで長く利用できるフォローアップミルクです。
離乳食で不足しがちな鉄分やカルシウムのほか、3種類のオリゴ糖も入っており、栄養満点かつ消化にもよい商品になっています。水にも溶けるため、手早くミルクを作りたいときにも大助かりです。
砂糖不使用の自然な甘さを追及しており、離乳食のお供にもぴったりです。
和光堂 フォローアップミルク ぐんぐん
「和光堂」の「フォローアップミルク ぐんぐん」は、鉄分やカルシウムなどの栄養素を強化したフォローアップミルクです。
2016年9月以降、健やかな成長に欠かせないカルシウムとDHAを強化した商品を提供しています。脳や神経の発達に大切なリン脂質や、赤ちゃんの発育に必要な16種類のビタミン配合です。
クセのない味わいで非常に溶けやすく、離乳食に混ぜて調理してもよいでしょう。
明治 ステップ らくらくキューブ
明治の「ステップ らくらくキューブ」は、赤ちゃんの発育に欠かせないカルシウムやミネラルの成分が詰まったキューブ型のフォローアップミルクです。
スプーンで計量する必要がなく、忙しいママにもぴったりな商品でしょう。
子ども用のプラスチックコップ2杯分(約400ml)のミルクを飲めば、赤ちゃんが1日に必要なカルシウム量を満たすことが可能です。
離乳食があまり進んでいない赤ちゃんは、試してみてはいかがでしょうか?
アレルギー対応の粉ミルクにも注目
赤ちゃんの中には、牛乳や卵などのアレルギーを持っている子もいます。ここでは、アレルギーを持つ赤ちゃん向けの粉ミルクを三つご紹介します。
明治 ミルフィーHP
明治の「ミルフィーHP」は、アレルギーのある赤ちゃん用のペプチドミルクです。乳糖を使っていないだけでなく、ミルクアレルギーの原因になる「乳清たんぱく質」を酵素分解しています。
牛乳をはじめ、大豆や卵などのアレルギーの赤ちゃんも飲めるでしょう。名前の「HP」は「Hydrolyzed Protein(ハイドロライズドプロテイン)」の略で、分解されたたんぱく質のことです。
炭水化物・脂質・ビタミンがバランスよく入っているうえに風味がよく、アレルギー用の粉ミルクの中でも人気の高い商品として知られています。
森永乳業 森永ニュー MA-1 大缶
医師から「ミルクアレルギー」と診断された赤ちゃん向けの粉ミルクが、森永乳業の「森永ニュー MA-1 大缶」です。
乳清たんぱく質消化物は含まれず、乳たんぱく質のガセインも酵素分解して、アレルギー性の低いたんぱく質消化物にしています。
大豆や卵などの成分も除去してあり、大豆アレルギーや卵アレルギーの赤ちゃんでもOKです。アレルギー用のミルクで不足しがちなビオチンやカルニチンが配合されています。
「普通の育児用ミルクを飲むと下痢をしてしまう」「牛乳を飲むと湿疹が出る」といった子どものいるママは、医師からのアレルギー診断の後に使用を検討してはいかがでしょうか。
明治 エレメンタルフォーミュラ スティックパック
明治の「エレメンタルフォーミュラ スティックパック」は、ミルクアレルギー用の粉ミルクです。炭水化物・ビタミン・ミネラルのほか、アレルギー性の低い「精製アミノ酸」が使用されています。
何週間も下痢が続く「難治性下痢症」や、乳糖に含まれるガラクトースの代謝がうまくできない「ガラクトース血症」などの赤ちゃんでも、飲めるように作られています。
持ち運びやすいスティックタイプで、外出先や災害用としても重宝するでしょう。
赤ちゃんの好みや体質に合わせた粉ミルクを
粉ミルクはたくさん種類がありますが、赤ちゃんの好みや体質に合わせて選ぶことが大切です。月齢の小さい赤ちゃんは抵抗力が弱いため、正しい作り方と消毒方法を知っておく必要もあります。
月齢や成長速度を考慮に入れて、お子さんにぴったりのミルクを見つけましょう。
構成/HugKum編集部