「フォローアップミルク」はいつまで?卒乳しても続けるメリットや料理レシピを管理栄養士が解説

離乳食や幼児食にも活用できるフォローアップミルク

ミルクには新生児用ミルクとフォローアップミルクがあるのは、ほとんどのママがご存知のこと。ところで、フォローアップミルクをいつまで飲ませる予定ですか?もしくは飲ませていましたか?実は飲んだ方がいいと推奨される時期と実際に飲ませている期間とにズレがあることが、アサヒグループ食品株式会社の調査でわかりました。実際はいつまで飲ませた方がいいのでしょう?その理由も専門家に伺いました。

離乳食では補いきれない栄養が摂れるフォローアップミルク

フォローアップミルクは、牛乳や離乳食では不足する栄養を補うミルクとして、生後9カ月頃になると新生児用ミルクから切り替えた方がいいと言われます。子育て経験者であれば、それはほぼ常識だといえ、20〜40代の子育て中、もしくは子育て経験のある女性を対象にした調査でも、85.1%の人が、正しい認識を持っていることがわかりました。

フォローアップミルクの必要性を感じているママは少ない!?

しかし、子育て中や子育て経験はあるが、フォローアップミルクをあげたことがない女性250人に絞ってアンケートを取ると、フォローアップミルクのことを「よく知っている」と回答した人は14.8%。「なんとなく知っている」人が54.8%で、「よくわからない」という声が多いことがわかります。

調査では対象のうち半数が「フォローアップミルクをあげたことがない」とのことでしたが、赤ちゃんを母乳で育てているママは、わざわざフォローアップミルクを買って飲ませることはあまりしません。さらに完全母乳の赤ちゃんは、哺乳びんを嫌がるケースも多いので、生後9カ月になったからと、フォローアップミルクへ切り替える人はまずいないでしょう。ミルクを使う必要がなかったのだから、商品のことを調べることも知ることもなかったという実情が伺えます。

「フォローアップミルク」をやめた時期の最多は「1歳頃」

調査では、フォローアップミルクをあげるのをやめた時期についても調べています。回答で一番多かったのは「1歳頃」(1歳頃・1歳3カ月頃・1歳6カ月頃)がダントツで、合わせると6割の人が1歳頃にやめています。逆に3歳まで続けた人は5%にも満たない状況です。

フォローアップミルクをあげるのをやめたきっかけは、子どもが飲まなくなったなどの「実体験」(27.2%)がもっとも多く、「ママ友からの口コミ」(16.4%)、「家族から言われた」(10.8%)が続きます。

1歳になったら、ミルクから牛乳に切り替える人が多い

離乳食が進んで、赤ちゃんが1歳になると、母乳やミルクを卒業して、牛乳を飲ませているママがほとんど。ミルクがゆやグラタンなどの離乳食や幼児食を作るときにも、牛乳で作った方がお湯で溶く手間もないし、大人のものと一緒に作れて楽。いつも冷蔵庫に入っている牛乳なら買い物しなくていいメリットもあります。栄養面でも離乳食が進んでいれば、牛乳に切り替えてもう大丈夫と思うママが多いようです。調査でも、1歳でやめたママがほとんどなので、ママ友や家族から「もうやめていいんじゃない」と言われることが多いのもうなずけます。

管理栄養士が解説!フォローアップミルクを飲ませるメリット

ところで、フォローアップミルクの缶のパッケージを見ると、「満9カ月頃から3歳頃まで」との表示があります。もう牛乳が飲めるようになっている子にも、フォローアップミルクを飲ませた方がいいのでしょうか? 母乳で育ててきた子も、卒乳後にフォローアップミルクを飲ませた方がいいのでしょうか?

離乳食や育脳レシピ開発でご活躍の管理栄養士の小山浩子さんに伺ってみました。

「牛乳は1歳頃から飲み物として与えることができるといわれています。ですが、この時期、牛乳だけでは、体と脳の発育に必要なカルシウムや鉄分などのミネラルが不足しがちになります。

そこで、力強い味方になってくれるのがフォローアップミルク。牛乳よりも栄養が強化され、牛乳には含まれていないDHAが配合されているものもあります。DHAは主に魚介からしか摂れませんが、フォローアップミルクがあれば、お魚メニューのない日も安心です。

飲むだけでなく、料理にも使ってみよう!

離乳食を卒業し、幼児食になってからもフォローアップミルクを調理に使うとよいでしょう。スープやシチュー、カレーなどに加えると、栄養バランスが整うだけでなく。コクが出て味もよくなります」

とのことでした。牛乳だけでは不足する栄養があるということですね。先の調査では、ママたちが子どもに不足していると感じる栄養素に、「鉄」(64.6%)、「カルシウム」(57.6%)、「DHA」(40.8%)などが上がりました。どんどん体が大きくなる乳幼児期には、多量の鉄とカルシウムが必要ですが、「国民健康・栄養調査」によると、摂取推奨量を満たしていない子どもたちが多いこともわかっています。

栄養不足の悩みはフォローアップミルクの活用で解消!

先の小山浩子さんの本、『かしこい子どもに育つ!「育脳離乳食」』(小学館)には「脳は3歳までに80%成長します」とあります。この時期の赤ちゃんは体がどんどん大きくなるのはもちろん、脳も大きく成長している時期。脳の発達のためにも、栄養価がしっかり摂れているかは気になるところです。

離乳食に関する悩みの調査では、「献立を考えるのが大変」(55.0%)、「用意をするのに手間がかかる」(50.6%)に次いで、「栄養価が不足しているような気がする」(38.4%)という声が多くあがりました。好き嫌いがあったりして、作ったものを全て食べてくれないことも多い離乳食や幼児食。その中で子どもに栄養価が足りているのかを心配するやさしいママたちが多いことがわかります。

そんなママたちの悩みを解消するにも「フォローアップミルク」を離乳食や幼児食に使うといいですね。料理が美味しくなり、不足しがちな栄養を補ってもらえるのならママも安心です。

 

【フォローアップミルクに関する調査概要】
調査期間:2018年11月30日(金)〜2018年12月2日(日)
対象人数:500人(フォローアップミルクをあげたことがある方250名、あげたことがない方250名)
対象情報:20〜40代の子育て中/もしくは子育て経験のある女性
調査方法:インターネット調査

記事監修

小山浩子|管理栄養士

大手食品メーカーを経て2003年にフリーに。料理教室の講師やメニュー開発、特に育脳レシピを数多く手がける。2014年『目からウロコのおいしい減塩「乳和食」』(主婦の友社)で、グルマン世界料理大賞を受賞。著書に『子どもの脳は「朝ごはん」で決まる!』『かしこい子どもに育つ! 育脳離乳食』(小学館)など多数。最新著書は『やる気と集中力を養う3~6歳ごはん』(池田書店)。公式ホームページ


構成/江頭惠子 写真/山本彩乃

 

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