子どもの「りんご病」の原因や対処法、予防法などを小児科医の金井正樹先生にお聞きしました。
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Q:子どもが通う園で「りんご病」が流行しているようで心配です。りんご病の症状や原因、予防法を教えてください。
A:ほおなどに発疹が出ますが軽症の場合がほとんど
りんご病は、幼児~小学生くらいの子どもに多い感染症です。ほおがりんごのように赤くなるのが特徴ですが、感染しても症状が現れないまま治ってしまうこともあります。症状が出なくても、感染すると免疫ができるため、2回以上かかることはありません。
りんご病ってどんな病気?
りんご病は、正式な病名を「伝染性紅斑」といいます。「ヒトパルボウイルス」というウイルスに感染することで発症します。
ウイルスに感染すると、7~10日ほど後に、発熱など軽いかぜのような症状が見られます。そして感染から14~18日ほどたってから、両方のほおが赤くなり、続いて、おもに腕や足にレース状の赤い発疹が現れます。
病院ではどんな治療をする?
発疹に気づいたら、早めに病院へ。りんご病は軽い場合がほとんどで、病院での治療はとくに必要ありません。それでも受診が必要なのは、症状が溶連菌感染症の初期やじんましんなどと似ているためです。溶連菌感染症やじんましんの場合、一定期間、抗菌薬やアレルギー薬を飲む必要があります。適切な治療を行うため、病院できちんと診断を受けることが大切です。
家庭で気をつけることは?
元気があるなら、普段通りにすごして構いません。微熱がある場合は、家で静かに過ごしましょう。発疹にかゆみがある場合、病院で塗り薬が処方されることがあります。薬は必要に応じて、医師の指示通りに使います。
発疹はいつ消える?
ほおや腕、足の発疹は、1週間ほどで自然に治り、あとが残ることもありません。ただし治ってからしばらくは、日光を浴びることや、気温や入浴による温度変化などの刺激で発疹が現れることもあります。とくにケアをしなくても発疹は自然に消え、だんだんと刺激を受けても出なくなっていきます。
予防のためにできることは?
りんご病のウイルスは、だ液などに含まれています。感染した人がくしゃみやせきをすると、だ液が飛び散ります。それを吸い込んだり、だ液に触れた手で口や鼻に触れたりすることで、人から人へうつります。
ただし、ウイルスがもっとも強い感染力をもっているのは、ほおなどに発疹が出る前の時期です。りんご病であることがわかったときには、すでに人にうつす可能性がほとんどなくなっています。そのため、体調が悪くなければ登園しても構いません。
予防に有効なのは、手洗いとうがいです。また、くしゃみやせきが出るときは周りにうつさないよう、マスクをつけるようにしましょう。
りんご病には大人もかかる?
これまでにかかったことがなければ、大人でもりんご病になる可能性があります。大人の場合、発疹に加えて関節の痛みやこわばりなどの症状も見られます。妊娠中に感染すると、胎児が重度の貧血になったり、「胎児水腫(赤ちゃんの体がむくむ病気)」によって流産や死産の原因となることもあるので、地域で流行しているときなどには十分な注意が必要です。
記事監修
東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。
『めばえ』2019年12月号 イラスト/小泉直子 構成/野口久美子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。