小児科医が解説!アレルギーの場合、離乳食はいつからどう進める?病院での検査や症状も

脂漏性湿疹は「アトピー素因」。離乳食の進め方にも注意を

Q:生後6ヶ月です。生後2〜3ヶ月の頃から頭に苔のようなものがついていて、小児科にかかったら、脂漏性湿疹だと言われました。

A:乳幼児の脂漏性湿疹もアトピー素因を持つ子に現れる症状ですので、それを念頭に置き、離乳や治療に気をつけましょう。

生後2〜3ヶ月から、乳児湿疹のある子と同様にアレルギー体質を持っている子に出てくるのが脂漏性湿疹です。決して皮脂が多いのではなく、このような湿疹が出る子は「アトピー素因」を持っているのだと思ってください。

離乳食を食べてアレルギー 症状が出るのはいつから?

アレルギーの疑いがある場合、離乳は慎重に

生後6ヶ月で離乳が始まった頃だと思いますが、「食物アレルギーからくる乳児アトピー性皮膚炎」を併発する可能性がありますので、卵、ミルク、小麦などの原因になりやすい食品は食べ始めを少し遅くして、代替食品(小魚、大豆製品、野菜、肉など)を食べさせながら、米食を主食として離乳していくのがよいでしょう。

離乳食のアレルギーについて、受診はするべき?

症状が出たら2〜3ヶ月おいて血液検査を

離乳を進める時点で原因食物に感作されて、だんだん乳児アトピー性皮膚炎が出てくる子もいますので、症状が出たら再度2〜3ヶ月おいて血液検査をしてみましょう。しかし、この場合は感作されていても軽症のことが多く、離乳が順調に進んでいくならば、必要以上に神経質にならないほうがよいでしょう。

アレルギーの疑いがあるとき、離乳食の進め方や3大アレルゲンの扱いは?

小麦、ミルク、卵の順に様子をみて

小麦は生後8ヶ月から、ミルクは1歳から、卵は1歳半から開始する目安で、耳かき1杯程度の量から少しずつ増やしていきましょう。生後8ヶ月で血液検査をして食物アレルギーがないとわかれば、小さじ1杯程度の量から増やしていって大丈夫です。

乳児湿疹と診断された場合の対処法は?

乳児湿疹の場合も、軽いタイプのステロイド軟膏を薄く塗って湿疹を抑えますが、脂漏性湿疹の場合も同じく、薄いタイプのステロイド軟膏やローションで湿疹がおさまります。しかし頭部なので、必ずしもしっかりと抑えなくてもよいでしょう。頭部は髪の毛が多くなってくると軟膏でべたつくので、ローションタイプのものがよく用いられます。

 

離乳食でアレルギー 症状が出た場合の対処法は?受診、検査はどうすればいいの?

Q:生後9ヶ月です。離乳食を食べるようになってから顔や体にカサカサした湿疹が出てきています。

食物アレルギーによる乳児のアトピー性皮膚炎は、 卵、ミルク、小麦が原因の75%です。まずは除去から始めて、減感作に進みましょう。

これは、食物アレルギーによる乳児のアトピー性皮膚炎です。卵が原因のものが4割ですが、小麦やミルクなど他の食物アレルギーを併発していることも多いので、乳児の四大食物アレルギー(卵、乳、小麦、大豆)は血液検査でチェックしておくとよいでしょう。

皮膚炎がひどい時は一度、原因食品(アレルゲン)を除去して下さい。同時に、弱いステロイド軟膏を薄く塗って皮膚炎を鎮めましょう。食物アレルギーが原因のアトピー性皮膚炎は、原因食品を除去するだけで、かなり湿疹がきれいになります。

離乳食が原因のアレルギーの場合、病院にはかかるべき?

血液検査後、専門医の始動を受けるのが理想

食物アレルギーの血液検査をして、軽症の場合は、卵なら1歳半、ミルクは1歳から、小麦は生後8〜10ヶ月頃から耳かき1杯程度の量から減感作療法を始めることができます。重症の場合は半年から1年遅らせて耳かき1杯程度の量から始めます。耳かき2〜3杯の量で反応が出現する場合はさらに6ヶ月おいて、再度始めてみて下さい。しかし、このような減感作療法はその都度、アレルギー専門医の指導を受けながらおこなう必要があります。

離乳食のアレルギー検査はどんな頻度で受けるといい?

基本は6ヶ月。症状により頻度を減らして

私のクリニックでは半年遅らせる度に血液検査をしますし、減感作進行中も必ず6ヶ月ごとに血液検査をすることを基本としていますが、順調に進み問題がない時は、血液検査の間隔を延ばして不必要な採血はしないようにしています。園や学校へ生活管理指導表を提出する春に備えて、2〜3月の血液検査をするお子さんが多いです。

小学生になったときのアレルギーチェックは?

小学生になりますと、「食物アレルギーによるアトピー性皮膚炎」はほとんど治っていて、アレルギー性鼻炎・結膜炎や気管支喘息に対する生活管理指導表の記入依頼が多くなります。小学生まで食物アレルギーが残っているお子さんは、重症であったり、エピペンⓇの使用を指導されたりしているお子さんが多いというのが実状です。

 

 

お話を伺ったのは
藤川 万規子先生
あゆみクリニック院長

 

本の中にはアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど、ママが気になるアレルギーへのお悩みがQ&A形式でたくさん掲載されています。
出典:『即、役立つ 治療とケア 治せる!楽になる! 子どもアレルギー診察室』

 

 

再構成/HugKum編集部

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