『毎日かあさん』『ぼくんち』『女の子ものがたり』など、ユーモアと愛情あふれるまなざしで読者を魅了する漫画家・西原理恵子さん。
小学生限定の新人公募文学賞「12歳の文学賞」では、審査員もつとめています。
西原さんの作品にも描かれている子ども時代やお子さんについてのインタビューが、小学館の学習雑誌『小学一年生』サイトで2回にわたり掲載されています。
●学校は半分くらい行けばいい 『毎日かあさん』で人気の漫画家・西原理恵子さん
●「親の仕事」は子どもが16歳で終わり 『毎日かあさん』の人気漫画家・西原理恵子さん
現在19歳の息子さんと17歳の娘さんをもつ西原さんからは、お手本にしたい子育ての姿勢を学んでいきましょう。
■忘れずにテストを持って帰ってくるだけで“100点”
お子さんの小学生時代について西原さんは、「息子のほうがいろいろ大変でした」と振り返ります。
「1年生の時は、まずテストというのを理解してないんです。“先生が○とか×とかつけてさ、点がついてる紙”って聞いても、“そんなのないよ”って。授業参観の日に息子の机を強制捜査したら出てくる出てくる、くっしゃくしゃのテストが(笑)」
じつはご自身も「1年生から勉強に乗り遅れ、居残りさせられた」という苦い記憶があるのだそう。
そんなこともあってか、息子さんのことは「そのうち忘れずにテストを持って帰ってくるようになったので、私としてはそれで100点かなと(笑)」と語っています。
親というものは、ついほかの子と比べてしまいます。でも、その子自身の以前と比べて成長を認めることが大事だということを、西原さんの子育てから教えられますね。
■学校のストレスをわかってあげること
一方、娘さんはというと「人間関係が難しいみたいで、小学生の時から疲れてた」のだそう。また西原さんも子ども時代、「みんなと集団行動ができなくて、女子グループに入り忘れる」という経験をもつそうで、ご自身と重なるぶん、娘さんの不安やストレスを理解できたようです。
「学校は、そこまで無理していくことないなって」と、子どもの精神的なケアを大事にする西原さん。
さらに、「他にゆっくりやりたいこと見つけて、それこそもっと大きくなってから、大学で自分のやりたい勉強だけすればいいんじゃないかな。まあ、小学1年生のみなさんは、そのくらいの気持ちでのんびりと行ってみてはどうでしょうか」とアドバイスをくださいました。
1年生から、勉強も人間関係も完璧じゃなくていい――。西原さんはママたちにも子どもたちにも「そんなに焦らなくていいよ」といってくれているように感じます。
■成長した2人は「美しい帆を張った状態」
2人のお子さんはまだ10代でありながら、気持ちはすでに自立しているようです。
「もう自分が死んでも多分絶対大丈夫、2人はなんとかやっていける子たちだなって」と西原さん。というのも、「2人とももう大人で、自分の思ったことをやり始め、自分の世界がある。美しい帆を張った状態」なのだそうです。
「今は嬉しいばっかりですね、このひきこもる時代にどんどん外に出て行ってくれるっていうのは。すごくいいことなんで。いい子に育ったな、親の仕事は終わったなって」としみじみ。
子どものペースに寄り添った西原さんがいたからこそ、お子さんはいま自分の世界を見つけられたのかもしれません。親は、ともすると自分の価値観やペースを押しつけてしまいがち。そんなときは西原さんのアドバイスを思い出すとよいかもしれませんね。
(ライター/菅原裕佳子)
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