医者に向いている人の特徴
肉体的にも精神的にもタフであること
医者に向いている人は、まず肉体的にも精神的にもタフである必要があります。頭の良さも必要になります。尽きない向学心も必要なはず。ただ、それはどの仕事でも一緒かもしれません。医者になるために最も必要な点は、医者としての倫理観、命に対する責任感、患者の人権に対する尊重とも言われています。
禁忌肢とは
どうして医者になる人には、倫理観が必要なのか。例えば、現実問題として医者になるために医師国家試験にすら、「禁忌肢」が紛れていて、その選択肢を選んだ人は、無条件に不合格になる制度があります。
例えば、「その選択をすれば患者が死ぬかもしれない」といった選択肢が幾つか潜んでいて、その「トラップ」に一定数以上引っかかると、無条件で不合格になるという制度が医師国家試験に用意されているのですね。
この禁忌肢問題については、毎年受験生や予備校の間でも、テスト後に振り返りが行われ、騒がれます。患者の命を預かる医療従事者として、高い倫理観、命に対する責任感、患者の人権尊重が仕事に求められる、その1つの証拠と言えますよね。
どのくらいの勉強量が必要?
今まで、医学部に進学した後の道のりについてまとめてきましたが、そもそも医学部に進むためには、どの程度の勉強量が求められるのでしょうか。
医学部合格を目指すまで
もちろんこの場合、きちんと集中して、効率良く学びを深めている状態を勉強と呼びますが、医学系の大学進学専門予備校である東京医進学院のホームページによれば、トータルで必要な勉強時間は最低でも5000時間だとされています。
<この数字の根拠は、医学部に現役合格した人の生活パターンから割り出した時間です。これを一日に換算すると、およそ4~5時間の勉強時間となります>(東京医進学院のホームページより引用)
実際、現役で医学部に入った人たちの勉強時間は、全体トップの42%が4~6時間だったといいます。もちろんこれは、学校のある平日の話。休日になると、全体トップの37%が10~12時間、勉強していると分かります。
もちろん、この時間もだらだらと勉強しているのではなく、質の高い状態で過ごさなければ学力は上がりません。ちなみに本格的に勉強を始める時期は、高校2年生の夏という人が多いようです。それまでの蓄積がないこどもの場合は、もう少し早めのスタートを切った方が、いいと考えられます。
医学部を卒業するまで
医学部に入ってからは、どの程度の勉強時間が待っているのでしょうか? 日本の一般的な大学生の場合、ほとんど勉強をせずに、アルバイトばかり、サークル活動ばかりという印象があるかもしれませんが、医学部生の場合はさすがに異なるようです。
ただ、医学部進学予備校メビオが運営する医学部受験応援サイトによれば、一般教養の多い1年生のころは、医学部の学生でも、他の学部生と同じく授業と並行してアルバイトやサークル活動、部活を楽しむ時間はあるみたいですね。
本当に忙しくなる時期は、2~3年生の前期、基礎医学を学び始めるころ。夜中や休日まで実習をして毎日が終わる生活がスタートします。4年生になると、コンピューター上で行う基礎医学と臨床医学のテストがあり、5~6年生になると病院実習が始まるため、勉強量も多く、早朝や夜の診療カンファレンスへの参加なども始まります。
医師国家試験の勉強
6年生の後期になると、卒業論文がない代わりに、国家試験への対策が始まります。一人で勉強を深めたり、グループをつくって勉強会をしたり、朝から深夜まで、勉強付けの毎日を送ると言います。こう考えると、大学に入るまではもちろん、入ってからも学び続け、一人前の医者を目指す必要があるのですね。
医学部に入るためにも、医者になるためにも、医者になってからも、勉強は続く
以上、医者になるための大まかな道のりをまとめましたが、いかがでしたでしょうか? 医学部に入るためにはもちろん、医学部に入ってからも、授業、実習、医師国家試験のために勉強をし、医者になってからも臨床研修などで学び続けなければいけません。
医学に限らず、どの分野に進んでも学びは多かれ少なかれ一生続きますが、少なくとも医学の世界では学ばなければすぐに生き残れなくなる、その過酷さは際立っていると言えますね。
構成・文/坂本正敬
【参考】
※ 医者になるための国家試験は簡単なのか?~今年の合格率は91.5%だった~ – 中山祐次郎(Yahoo!)
※ 私立、国公立別医学部受験勉強時間まとめ – 東京医進学院
※ 医学部って楽しいの?世間では勉強漬けと思われている学生生活を調査 – 医学部受験リサーチ