韓国の傑作ドラマをリメイクして好評を博した坂口健太郎の主演ドラマが、オリジナルストーリーにて映画化された『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』が、4月2日(金)より全国公開となりました。
2018年に放送された連ドラ「シグナル 長期未解決事件捜査班」の原作は、サブスクで話題となった韓国ドラマ「愛の不時着」などで知られるスタジオドラゴンと、韓国の制作会社ASTORYが共同で手掛け、韓国で数々の賞を受賞した人気ドラマです。
刑事ドラマとしては鉄板要素といえる“未解決事件”もので、タイムパラドックスを扱った緻密なストーリーが話題となった本作は、2人の刑事たちの時空を超えたバディぶりも話題に。放送後は「GYAO Awards 2018」を受賞し「テレビ見逃し部門」においては、年間最もユーザーに支持されたテレビ番組にも選ばれました。
坂口さん演じる“現在”を生きる刑事・三枝健人が、ある無線機を通じて、“過去”を生きる熱血刑事・大山剛志(北村一輝)と交信し、お互いに協力し合って未解決事件を解き明かしていくという本シリーズ。劇場版は、政界を巻き込む脅威のバイオテロを扱った壮大な映画となっていますし、坂口さんが満身創痍でアクションに挑んでいる点にも注目していただきたいです。
坂口健太郎が肉弾戦で決死のアクションにトライ!
「シグナル 長期未解決事件捜査班」は、坂口さんにとっては、初の単独主演ドラマでしたが、映画版では、本格的なアクションにも挑戦しています。通常はドラマを映画化する時は、同じ監督がそのまま映画監督も兼任することが多いのですが、今回は骨太なアクション映画に定評がある「相棒」シリーズの橋本一監督にメガホンが託されました。
この方、「探偵はBARにいる」シリーズの監督でもありますが、同作の主演を務めた大泉洋さんがよく「かなりの無茶振りをされる」とぼやいていました(笑)。もちろん、アクションを撮る監督において、その表現は賛辞の裏返しでもありますが、確かに今回のアクションはハンパなくて、坂口さんも大いに鍛えられたようです。
なんと今回、橋本監督が掲げたテーマが「坂口健太郎をボロボロにする」だったそうで。物語的にも、三枝はある事件の犯人にされ、警察に追われる “逃亡者”となる展開ですが、坂口さんはすさまじいアクションをこなしていて、見ていて心配になるほど、傷だらけのズタボロ状態に。でもその心意気が映像にも反映され、思わず息を呑みます。
「諦めなければ未来は変わる」という普遍的なメッセージ
「ターミネーター」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズなど、時空を超えるタイムリープものやタイムトラベルものの秀作はたくさんありますが、「シグナル 長期未解決事件捜査班」では、主人公の三枝が未来に行くわけではありません。あくまでも過去を変えるのは大山刑事であり、三枝から聞いた未来の結果に基づき、その事件を未然に防ごうと動きます。
当然、時間軸を遡り、過去の出来事を改変したことで、予想外の未来となりますが、そこに生じる矛盾など、タイムパラドックスさえも、次の伏線へつながげる要素となる、絶妙なストーリーテリングが最高です。無線機がいつつながるのかわからないという設定もミソで、終始ドキドキハラハラする展開に。
そんな本作を、家族で観たい映画としておすすめする理由は、諦めなければ希望はある、未来は変えられる、というドラマから一貫して掲げてきた普遍的なメッセージの強さです。一見、ただの理想論として、流れてしまいそうな言葉ですが、映画を観終わったあとには、心にリフレインし、胸が熱くなります。
どんな状況でも決して諦めない心を持つことの大切さ。その希望を表す言葉は、コロナ禍で今を生きる私たちに、特別な感情をかきたてます。ドラマを観てなくても、十分楽しめるストーリーになっていますので、ぜひ劇場でごらんください。
監督:橋本一 出演:坂口健太郎、北村一輝、吉瀬美智子、木村祐一、池田鉄洋、青野楓、杉本哲太、奈緒、田中哲司、鹿賀丈史、伊原剛志…ほか
公式HP: https://signal-movie2021.jp/
文/山崎伸子
©2021「劇場版シグナル」製作委員会