「オーガニックな食生活」「スローライフ」が家族の健康にいいことはわかっていても、それは時間と気持ちに余裕がある人たちだけができること――。そんな諦めに、在り方ライフデザインweb magazine『arila!』を手掛ける塚本サイコさんは、「忙しいパパママにこそ、オーガニックをすすめたい」「オーガニックな食は、最高の時短料理」と提言しています。
その塚本サイコさんが主宰する、在り方ライフデザインweb magazine『arila!』メンバーのママたちのオーガニック実践例をご紹介します。「これなら我が家でもできそう」そんな実例が見つかるかもしれません。
目次
実践その1「旬野菜からはじめる、オーガニックライフ」
こぶな農園/小鮒ちふみさんの場合
食べることが大好きな私は、病を抱えてから東洋的養生を実践していました。そして、311の震災を機に農家になりました。
そんなわが家で、一番大切にしているのは旬です。養生では自然のリズムに合わせることが大切ですが、野菜も私たちと同じように自然のリズムにのって生きています。季節や風土に合った野菜はスクスク育ち、食べてみると、おいしい! いきいきしていて、生命力にあふれています。
食いしん坊の私は、おいしくてカラダにもいい野菜が食べたくて、旬を追いかけていくうちに、野菜がどこから来て、どう私たちの命に変わっていくのかを考えるようになりました。
生活自体は私が子ども時代と比べると格段に便利になり、共働きでも買い出しや調理の選択肢が増えたように思います。しかし、その反面で「旬=流通している時期」が一般化してしまい、本当の旬が見えにくくなっていると気づきました。
もし、今、外出する機会が減っていて、季節の移ろいなど自然のリズムを受取りにくくなっているとしたら、八百屋さんやスーパーで旬の野菜を探してみてください。できるだけ近くで採れた野菜がよいですが、住まいが東京なら関東圏でよいと思います。農家が直売しているお店へ行くのも手です。お気に入りの旬野菜を手に入れたら、お散歩がてら公園や道端の草木や花を眺めて、「この野菜が旬のときは、こんな花が咲いているな」と、季節の目印にしてみてください。
おいしくて、栄養豊富、季節の養生にもよい! 子育て中の皆さんにオススメしたいことは、「旬野菜を食べる」こと。夏なら夏、冬なら冬を乗り越えるカラダ作りに役立ちます。
ちなみに里山にあるわが家では、シャクナゲが咲き始めると私の大好きなスナップエンドウやニンジンの収穫がはじまります。特にスナップエンドウの旬は短く2~3週間だけ、この時ばかりはせっせと畑担当の夫を手伝います。
お気に入りの旬野菜が台所へ、それだけで食卓はにぎやかに朗らかに。子どもたちもお手伝いを楽しんでくれています。
小鮒ちふみさん
こぶな農園 | おへそ共室主宰。北京中医薬大学日本校卒・国際中医薬膳師・医学気功整体師。20代で病を得て心の在り方が体に影響及ぼすことに気づく。様々な養生法を学び実践するなか、震災を機に農業の道へ。農園運営やカフェ立上げを経て栃木県那珂川町に移住、夫と共に「こぶな農園」をひらく。現在、野菜・風土・養生をテーマに農産物をいかしたメニューの開発や監修、メディアへのレシピ提供を行っている。http://kobuna-farm.com
実践その2「緩いスタンスでオーガニックへチェンジ中」
【mimoza舎】主宰/末田千鶴さんの場合
我が家は、幼稚園の年長、小学四年生の二人の娘がいます。長女は小さな頃からアトピー。そして二人とも種類は異なりますが、乳製品・卵・くるみ・エビなどの食物アレルギーがあります。そのため、小さな頃から食事には気を遣う環境でした。
なるべく体に優しいものを選びたい。とはいえわが家では、すべてをオーガニック野菜にするには、金銭的にも難しいのが現状です。なので、スーパーで普通の野菜も買うけれど、なるべくオーガニックを選ぶという、緩いスタンスで取り入れています。
時にはちょっと奮発して、素材を生かす贅沢を味わってみたり、オーガニックではないお野菜との違いを体感したりすることも。普通の野菜より値段が高いこともありますが、皮も葉っぱも捨てずに安心して使えることや、薬や肥料に頼らず育ったお野菜は栄養もたっぷりなことを考えると、安心感や心も体も満たされる感じはやっぱり良いなと思います。
また、直売で農家さんから購入することもあり、野菜への思いを聞けたりすると、有難さも倍増。農家さんを応援することで、少しずつでもオーガニックが広まることを願っています。
子どもたちにとっても、オーガニック食材は、とてもいい食育になるようです。例えば、葉つきの人参のヘタの部分を水に浸けておくと葉が元気よく伸びていくので、そんな姿を観察してみたり、枝付きの枝豆を取る手伝いをしたり。子どもと一緒に食べるだけではない、台所から身近に体感できる食育を実践しています。
末田千鶴さん
循環する暮らしをデザインする【mimoza舎】主宰。日々の雑貨・小物デザイン&製作。腸キッチン学アドバイザー。自身や子どものアトピーやアレルギーをきっかけに、食のこと・体のことに関心を持ち、東洋医学や腸キッチン学を学ぶ。「人が豊かに暮らすには?」を探求する中で、「土」や「日々の暮らし」の大切さに気づく。キーワードは『台所』と『五感』。日々の暮らしでできることをモットーに、コツコツと”自身の心と体、そして土を育む暮らし” の種を蒔く。https://ameblo.jp/chizukanonmona/
実践その3「オーガニックライフは、大いなる手抜き(笑)」
Ayurvedic House Polaaris オーナーセラピスト /さえぐさ さちよさんの場合
私は子どもと遊ぶのが苦手。でも、子どもを授かってみると、案外かわいくて、どうやって育てたらいいのかと戸惑いました。しかも、ワンオペ育児だったのです。
まず、食事に関しては、上質な調味料でシンプルに味付けることを心掛けました。それと、品数を沢山は作らず、あまり便利なものは使わず、素材を一から調理するところを、子どもに見せるようにしていました。例えば、ごまは煎るところから、お魚は自分でさばいていました(今は鮮魚コーナーでさばいてもらっています)。
私が暮らしている東京・高尾は、農家さんも沢山いらっしゃって、オーガニックな野菜が手に入りやすいので、新鮮でおいしいお野菜を無理なく取り入れられる環境というのも、助かりました。
食べ物だけでなく、家の中や着るものも、できるかぎり天然のものにしていました。カビが生えて朽ちてしまうことも、肌に優しいことも、天然であることのありのままを感じてもらいたいなと思ったからです。
子どもが通っていた幼稚園も、シルクや天然素材でできたおもちゃが置いてある、第二の生活の場のような園でしたので、そういう素材に触れて育った子どもたちは、シルクが大好き。今、上の子は今年16歳、下の子は今年13歳になります。年頃なので流行りのものやカッコよさで服を選びますが、当時は肌触りの良いものが一番のお気に入りでした。心地よさを知るというのは何か後々良いことがある気がします。
オーガニックな素材にはとても力があると思っています。新鮮な季節の食材を美味しく食べて育ったら、病気が少ないかな、とか、大きくなってから健康で自分のやりたいことにがんばれるかな、っていう、長い目で見たら大いなる手抜き(笑)でもあるかと思います。
さえぐさ さちよさん
アーユルヴェーダトリートメント&コミュニティのサロンAyurvedic House Polaarisオーナー。 吉祥寺・高尾にて「アーユルヴェーダ薬草オイルケア」の施術を行ないつつ、カウンセリング、セラピスト養成講座、パンチャカルマツアー、ワークショップ等も行う。眠っている体幹部を柔らかく使いこなし、自ら元気を作り出すメソッド「立腰体操」 、運命学「魂の遺伝子コード」などで生命の輝きをサポート。https://www.a-h-polaaris.com
オーガニックな食生活で、体も心も美しく!
太陽のエネルギーと豊かな土壌の恵みをたっぷり受けて育った新鮮なオーガニック素材は、おいしくて栄養満点。一度、その味を体と心が知ってしまったら、後戻りはできなくなるかも!?
難しく考えず、できることから少しずつ日々の暮らしに取り入れてみてください。家族が元気になるだけでなく、ママの美しさにも磨きがかかるはずです。
オーガニックライフをエンジョイしている先輩ママたちに続いて、さっそく今日の夕食からオーガニックな食生活を始めてみませんか?
構成・文/神﨑典子