兄弟育児、日々発見があり子ども達のかわいさに癒やされつつも、大変な面もありますよね。1学年差の年子や、2〜3歳差の兄弟も多い中、年齢差のあるきょうだいを育てているママ・パパもいます。
年が離れているからこそのメリットやデメリット、子育てで気をつけたいポイントがあります。今回は、0〜12歳のお子さんを育てるママ・パパを対象にアンケートを実施し見えてきた実情をご紹介します!
※こちらの記事では、「兄弟」と表記していますが「姉妹」「兄妹」「姉弟」のきょうだい構成も含んでいます。
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年の離れた兄弟は育てやすい?
兄弟間の年齢が離れていると、実際の子育てはどのようなスタイルになるのでしょうか。一般的に、手がかかる乳幼児期が重なり大変と言われる年子育児や年齢差が近いきょうだい育児に対し、「年の差兄弟は育てやすいのかな?」と思う方も多いでしょう。
ここでは、実際に年の離れた兄弟を育てるママ・パパ聞いた気になる“年の差兄弟育児”の体験談をご紹介します。
年の離れた兄弟を持つママパパの体験談
どんな子育てにおいても良い面・大変な面さまざまありますが、年の離れた兄弟の子育てでも同様です。年齢が離れているため手がかかる時期はひとりひとりしっかり向き合えるのは、親としても子としてもメリットかもしれません。
しかし、年齢差が近い兄弟に比べ、子育て期間が長期に渡るため体力的にも精神的にも参ってしまう面もあるそう。
「手がかからないことも多く楽な部分もあるが、子育てが長い期間になるので精神的に辛いところもある。」(30代・東京都・子ども2人)
「二人とも一人っ子みたいにゆっくり子育て出来たなと思う。上の子は小学一年生まで一人っ子だったし、下の子も上の子が学校に行っている間まで、二人で過ごしたし」(40代・埼玉県・子ども2人)
「年が離れているけれど、わりとよく一緒に遊ぶうちの子供たちは、年の近い兄弟がするようなケンカはなく、上の子が我慢したりする事が多いかもしれないです。 しかし、下の子のピンチに助けてくれる頼もしさがあります。自分が経験してきた苦労を話す時に、下の子が素直に聞き参考にしている姿を見ると、年の離れた兄弟もいいものだと感じます。」(40代・神奈川県・子ども2人)
年の離れた兄弟のメリット
兄弟間の年齢が離れていると、下の子が赤ちゃん期でも上の子がしっかりしている時期なので少し余裕のある育児ができたり、上の子が頼りになったりとさまざまな良い面があります。
ここでは、実際に年の離れた兄弟を育てるママ・パパから寄せられた、”年の差兄弟育児”のメリットをご紹介します。
下の子の面倒を見てくれる
年齢が離れていると、上の子が下の子に対し「自分より幼い」「小さくてかわいい」と感じやすいのでしょう。
年が近いとライバルのような関係になることもありますが、年齢差があるとかわいがる気持ちが強くなり、進んでお世話をしてくれたり遊んでくれることもあるようです。
「上の子が、下の子と遊んでくれること。」(40代・神奈川県・子ども2人)
「親の代わりに面倒を見てくれて助かった。」(50代・大阪府・子ども2人)
精神的な余裕ができる
上の子の育児が少し落ち着いてきた頃に、妊娠・出産・乳幼児期を迎えるため余裕を持って向き合いやすくなります。これまで経験したことを活かせますし、なにより「久しぶりの赤ちゃんに癒やされる」という声も多いです。
子育ての大変な時期を抜けた頃にやってくる赤ちゃんに、家族みんながメロメロになるというのはあるあるですよね。
「子育てが懐かしく楽に感じるし、新生児が可愛すぎる」(30代・神奈川県・子ども2人)
「上の子の経験をいかせる」(40代・山口県・子ども2人)
喧嘩をしない
年齢差があると、兄弟間で夢中になる遊びや興味関心のある事柄も大きく異なります。兄弟間で同じおもちゃを取り合う、遊びの中で些細な揉め事が起きることも少ないのが、“年の差兄弟育児”の大きなメリットです。
「喧嘩をしないから楽です」(40代・千葉県・子ども2人)
「年齢差があると、趣味趣向や考え方が大きく異なるので、まず小さな揉め事は起こらず手間いらずです。」(30代・東京都・子ども3人)
兄弟同士が尊重しあえる
下の子にとっては、お兄ちゃんお姉ちゃんがすごく大人に見えて憧れの存在になり、上の子にとっては目に入れても痛くない弟や妹、という関係性になりやすいのが年の差兄弟。
ママ・パパを取り合ったり、おもちゃを取り合ったりとライバル関係にならずに、兄弟同士がお互いを尊重しあえる関係になるのは親としてもうれしいですね。
「お互いがライバルではなく尊重しあえる関係になれるところ。 (30代・東京都・子ども2人)
上の子がしっかりする
成長していく中で、酸いも甘いも噛み分けるようになった上の子にとって、これから色々な経験をしていく下の子は心配もありつつ見守りたい存在になるでしょう。ときには、親目線で下の子を気にかけてくれることも。
親からの言葉では伝わらないことも、お兄ちゃんお姉ちゃんに言われると素直に聞いてくれた、という話もよく聞きます。下の子の成長を間近に見ることで、上の子自身も自然としっかりしていくのかもしれません。
「子供同士で仲良くできる。上の子がしっかりする。」(30代・岩手県・子ども4人)
「普段はお互いに気にしていないが、何気ないときに上の子どもが下の子どもに対して気にしてくれてたり、悪いことは注意してくれる。親が怒るより効果がある」(40代・大阪府・子ども2人)
お金がかかるタイミングがずれる
兄弟育児での気がかりは、子育てにかかるお金についてではないでしょうか。特に教育資金は、兄弟構成が大きく影響します。将来的に中学・高校・大学受験を考えている場合、入学と卒業の時期が重なる年齢差だと一度に大きなお金が必要になるというデメリットも。
年齢差が離れていると、お金がかかるタイミングがずれるため余裕のある資金計画を立てられるというメリットがあります。しかし、出産のタイミングによっては下の子の大学入学時と親の退職時期が重なってしまう、なんてこともあるので貯蓄は大切ですね。
「お金がかかるタイミングがずれている」(40代・北海道・子ども3人)
それぞれをしっかり育てられる
年子や2歳差兄弟の場合によく言われるのが、一番手がかかる時期が重なるため、ひとりひとりに注げる力がどうしても少なくなってしまうということ。ママ・パパとしては、兄弟みんな平等に育てたい気持ちがあるものの、物理的に難しい面がありますよね。
年齢差があると手がかかる時期がずれることが多いので、それぞれにしっかりと向き合えるというメリットがあります。抱っこの時期は「待っててね」と我慢させずに抱っこができるなど、乳幼児期のスキンシップがたっぷり取れるのは親子にとってうれしいことです。
上の子が学童期から思春期を迎える時期と下の子の乳幼児期が重なる場合は、対話をする時間を取るように心がけ、ちょっとした変化に気付けるように気をつけたいですね。
「一人一人に時間をかけて接することができる」(30代・大阪府・子ども2人)
年の離れた兄弟のデメリット
反対に、兄弟の年齢が離れているがゆえの困りごとやデメリットはあるのでしょうか。アンケート結果を元に、ご紹介します。
遊びや学びに差が生まれる
年齢差により興味や好みが異なることは、兄弟喧嘩になりにくいメリットがある反面、同じことを一緒にできなかったり個別対応が必要になったりとデメリットにもなるようです。
できること・できないことの差も大きいため、一緒にレジャーを楽しめないことは悩みのひとつ。また、勉強面でもそれぞれに対応するためのコストや労力がかかります。一方で、差が生まれるからこそ上の子が下の子に勉強を教えてくれる、できないことを助けてくれる、という面もあります。
「遊びや学びの差があるので個別に対応しなきにればならない」(30代・福岡県・子ども2人)
「同じことを楽しめない事が多い。遊園地行っても上の子と下の子が乗りたいものが違う、身長制限で乗れる乗り物が違う。映画館に行っても見たい映画が違う。下の子に字幕は無理だし」(40代・埼玉県・子ども2人)
育児グッズを買い直す
せっかく揃えてもあっという間に使わなくなってしまうのが、赤ちゃん期の育児グッズや、ベビー服。兄弟育児の中で、上手に使い回している家庭も多いでしょう。
育児グッズは日々アップデートされています。2〜3年の間にも便利な機能が追加されたり、新製品が出たりと進化続けていますよね。そのため、年の差兄弟だと上の子のときに使っていたものが不便に感じ、新しいものを買い直すという場面も。
そもそも、上の子のときに使っていた育児グッズはすでに処分済だった、という家庭もあります。その場合は、一からすべて買い直さなければいけないので、コストがかかってしまうのでデメリットとも言えるでしょう。
「色々な子育て用品をもう一度買い直さなければいけないところ」(50代・千葉県・子ども2人)
平等に接することができない
“年の差兄弟育児”における大きな悩みは、兄弟を平等に見ることができないことではないでしょうか。上の子がちょうど思春期や反抗期、生意気盛りの時期に、下の子がかわいい盛りの乳幼児期だと、どうしても下の子がよりかわいく見えてしまいます。
また、兄弟間の年齢差が開くほど、子どもというよりも孫のような存在になってしまいがち。下の子ばかり、過度にかわいがりすぎてしまうと、口にはしなくても上の子が寂しく感じることもあるでしょう。
ママ・パパも人間なので、その時々で気持ちが動いてしまいますが、なるべく子どもたち自身が差を感じないように気をつけたいですね。上の子と距離を感じてしまったときは、幼い頃の写真や思い出を見返すとまた向き合うきっかけになるかもしれません。
「一番したの子ばかり可愛がってしまう」(40代・神奈川県・子ども3人)
「必要以上にかわいがってしまう。」(40代・埼玉県・子ども3人)
子育ての期間が長くなる
年の差兄弟を育てていると、いつまでも子育て期間が終わらず時々疲れてしまうママ・パパも多いです。上の子の時に知り合ったママ友が、子育てを一段落し自分の時間を楽しんでいる中、自分はまだ必死になって乳幼児を育てている……という状況も少なくありません。
のびのび自分の時間を楽しめるのは随分先のように感じますが、その分子どもたちと過ごす濃密な時間を長く楽しめます。何にも代えられない、かけがえのない時間となるでしょう。
「子育ての期間がずっと続く」(50代・神奈川県・子ども3人)
「育児期間が長い」(40代・福岡県・子ども2人)
よくも悪くもドライな関係になる
年齢差があることでお互いを尊重し合える反面、置かれている状況や共通の話題も異なるため、それぞれが独立した存在になってしまうそう。
年の近い兄弟のように些細な喧嘩は起こりにくい状況ですが、兄弟特有の一体感は育ちにくいのかもしれません。
「歳が離れているので良くも悪くもドライな関係になる」(30代・神奈川県・子ども2人)
「年齢差がありすぎると、一体感や連帯感に欠け、ちょっとした他人のような感覚に陥り、有事の時にやや不安になる。」(30代・東京都・子ども3人)
生活リズムが違う
年の差兄弟は生活リズムも異なります。幼児のリズム、小学生のリズム、中学生以降のリズムと時間の流れが違うので、それぞれに対応しなくてはならないので、ママ・パパにとって負担となる部分も。
学校行事や、受験など滞りなく対応していくためには、スケジュール調整や共有などさまざまな工夫が必要となるでしょう。また、下の子は寝て欲しいのに上の子が遊んでいるとそれにつられてしまう、など兄弟の影響がデメリットとして出てしまう面もあります。
「生活リズムが違ってきたり、下の子が上の子の影響をうけてませてしまう。」(40代・神奈川県・子ども2人)
「生活時間が違いすぎる」(30代・北海道・子ども2人)
年の差兄弟あるある
年の差兄弟ならではの「あるある話」、ありますよね。ここでは、自身が年の差兄弟と育ったママ・パパに聞いた体験談をご紹介します。
参観日に兄・姉が来る
保護者参加の授業参観日や学校行事、なんらかの理由で親が参加できない場合に、年の差のあるお兄ちゃんやお姉ちゃんがいると、代わりに見にくることがあったそう。
「参観に兄弟が来る。」(40代・東京都・子ども2人)
弟や妹を保育園に送っていく
授業参観の話にも似ていますが、弟や妹の送迎をしたことがある年の離れたお兄ちゃん、お姉ちゃんは多いのではないでしょうか。現在は、セキュリティー強化もあり保護者以外の送迎は禁止されている園も多いですが、ママ・パパ世代ではあるあるな出来事でした。
「保育園に送っていったことがある」(40代・神奈川県・子ども1人)
弟や妹がひいきされる
年の差兄弟に限らず、弟や妹がいる方は多かれ少なかれ感じたことがあるであろう下の子びいき。年が離れていると、なおさらお兄ちゃん、お姉ちゃん扱いをされ我慢する機会も多くなりがちです。どんなに弟・妹をかわいいと思っていても、寂しくなってしまいますよね。
「下の子が泣いたら上の子が悪い。 欲しいものが被ったら、下の子がもらえる。」(30代・東京都・子ども1人)
長女がお世話係になる
上の子が自分でなんでもできるようになっていると、ついつい「オムツ替えておいて〜」「お風呂入れてあげて〜」とお世話をお願いしてしまいがちですよね。
特に年の差兄弟がいる長女はお母さん代わりになることが多く、気づいたら下の子のお世話係になっていたなんてことも。
「長女はお世話係になる。」(30代・東京都・子ども2人)
弟や妹がとても可愛い
自我も記憶もある時期に生まれた兄弟は、とてもかわいいですよね。生まれたての姿から成長していく過程を見ていくので、弟や妹だけど、自分の子どものような感覚になるお兄ちゃん、お姉ちゃんもいるでしょう。
大人になってからも、いつまでも弟や妹がかわいくて仕方ないという年の差兄弟も多いですよね。
「弟が小さい頃に世話を焼きたがった。 友達に弟を自慢したりした。」(30代・北海道・子ども2人)
「可愛かった」(50代・東京都・子ども1人)
大人になると話さなくなる
年の差兄弟のデメリットにもありましたが、生活リズムや環境が異なるためそれぞれ独立した存在になりがちの年の差兄弟。大人になって自立した生活を送っていくと、より一層疎遠になってしまう方もいるようです。
「弟とはある程度歳を取ると話さなくなる」 (20代・埼玉県・子ども1人)
年の離れた子育てのポイント
ここまで、“年の差兄弟育児”におけるメリット・デメリットやあるある話をご紹介しました。そこからは、年の差兄弟が持つさまざまな特徴が見えてきます。
育てやすいと感じる面もあれば、難しい面もある“年の差兄弟育児”。どんなことに気を付けたら良いのでしょうか。3つの子育てポイントをご紹介します。
1:上の子も同じエネルギー量で接する
年齢が離れていると、どうしてもいつまでも幼く見える下の子にばかり手をかけがちです。「もう上の子はしっかりしてるから」と思っていても、心のなかでは寂しかったり不安だったり、頑張っているからこそ甘えたいときがあります。しかし、幼い兄弟がいると、なかなか声に出して表しにくいことも。
特に、学童期以降の子ども達は「目を離すな、心を離すな」という言葉があるように、より一層気を配る必要があります。学校生活や社会生活の中で大変な思いをすることもあるでしょう。
口数が少なくなっても向き合って話す機会を作ったり、小さな信号に気づけるように注意したり、上の子にも同等のエネルギー量で接していけるといいですね。また、下の子のお世話や家事を手伝ってくれた時は、思いっきり感謝を伝えましょう!
2:長期間にわたる子育て、ママ・パパの息抜きを大切に
“年の差兄弟育児”は、とにかく子育てにかかる時間が長くなります。年齢差が近い兄弟の場合、子どもたちがある程度の年齢に達すると一気に楽になり、ママ・パパ自身の視野が広がり新たなことに取り組むことも多いです。
しかし、年の差兄弟の場合は一段落したら、また次が始まり……となかなか終わりが見えない面も。長期間の子育ては、疲労を感じてしまう時もあるでしょう。
子育てにおいて、ママ・パパの心が健康であることはとても重要です。さまざまな制度を利用したり、頼れる人の力を借りたり、子育ての合間の息抜きを大切にしながら子ども達が成長する姿を支えていきたいですね。
3:家族時間を作るように心がける
デメリットやあるある話にも話題に挙がっていましたが、兄弟間の年の差があると兄弟の一体感が生まれにくく、距離が離れてしまうこともあるようです。
生活リズムの違いや、できること・できないことの違い、興味関心の違いなど、兄弟間でギャップが生まれやすいですが、年齢差が離れていても一緒になって楽しめることや盛り上がれる話題はあります。
上の子が大きくなればなるほど、上の子だけ生活リズムがどんどん変わり一緒に過ごす時間が少なくなりがちですが、「週に1回、ご飯はみんなで食べる」「月に1回家族で遊びに行く」など家族時間を作るようにすると、何かしらの距離ができても家族や兄弟同士がきちんとつながっていられるかもしれません。
なにかイベントごとを作らなくても、それぞれ対話の時間を持てると良いですね。
年の差兄弟育児はメリットがたくさん!それぞれとのつながりを大切に
“年の差兄弟育児”には、メリットがたくさんあること、デメリット解消につながる子育てのポイントについて知ることができました。年齢差があるからこそ、お互いを尊重し合える兄弟は素敵な関係性です。
上の子にも下の子にも同じエネルギー量で向き合うことを心がけ、“年の差兄弟育児”を楽しめると良いですね。
構成・文/秋音ゆう