子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴47年、常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。
担任の先生が変わってから、登園を拒むように…
幼稚園の年中クラスになって、担任がベテランの先生に変わりました。それ以来、娘の様子がおかしくて…。登園前になるとぐずったり、泣いて「幼稚園に行きたくない」と言うようになりました。私は「少し時間が経てば慣れるかな?」と思っていたのですが、慣れる様子がありません。
幼稚園に行くことを拒むのに、幼稚園では先生に怒られないように、やるべきことは真面目にこなしているようです。先日「今日、先生に怒られなくてよかった。でも、ほかのお友達が怒られていると、ドキドキして嫌な気持ちになるんだ~。幼稚園、楽しくないから行きたくないの」と話してくれました。転園したほうがいいのでしょうか。(4歳の女の子のママ)
ベテラン先生は、子どもが緊張しがち。即、転園を考えず、まずは担任、園長に相談を
娘さんは、今、頑張っているのだと思います。よく怒られる子はそんなに響いていないのに、ちゃんとしたまじめな子は見ているだけで緊張してしまうのです。
そして、自分は怒られないようにしようと頑張るのです。子どもは若い先生が好きです。ベテランは親の信頼は厚いですが、子どもには隙がなさすぎて緊張してしまいがちです。でも、だんだんベテランの先生の人柄が見えてきますから、だいじょうぶです。
お母さんは転園したほうがいいのか悩んでいるようですが、嫌なことがあったら転園というのはこれから先のことを考えてもいいとは思えません。
どこにいたって毎日ハッピーとはいきません。私達だってそうですよね。
子どもは大人が思う以上に柔軟です
すでに世の中で生きていくための練習がはじまっているのです。まずは担任の先生や園長先生に相談してください。年少クラスのときは、幼稚園が楽しかった訳ですから!
担任の先生もまさか自分の言動が原因で、子どもをこれほど追い込んでいるとは気づいていないかも知れません。怒り方を和らげたり、誉めることも多くしてくれるかもしれません。日を重ねるに従って、「この先生は、こういう人なんだ」と子どもも受け止めるようになります。お母さんを受け止めるようにね。子どもは、大人が思う以上に賢くて柔軟です。そのうち嫌なことがあったり、怖かったときは、聞かない、逃げるなんてこともできるようになっていきます。
教えてくれたのは
保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて36年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。
イラスト/海谷泰水