予防接種にアレルギー、1・2・3歳児の健康 キホンを小児科の先生に聞きました!

子どもの健康を守るには、どんな知識をもち、どんな心がまえをしておけばよいのでしょうか? 本当に大切なことを、小児科の先生に教えていただきました。ベビブ世代の予防接種と知っておきたい病気をまとめた表もご活用ください!

お話をうかがったのは

稲見 誠 先生

いなみ小児科院長。地域医療と育児支援に取り組み、病児保育施設「ハグルーム」、親子の交流のためのひろばも併設する。

病気をしながら子どもは強くなります

赤ちゃんがお母さんの体からもら った免疫は、生後3~4か月ころになると低下すると言われています。この月齢を過ぎると、子どもは病気にかかりやすくなるので、おうちの方としては心配かもしれません。ですが、病気にかかることは、子どもが自分で新たな免疫を獲得して丈夫な体に育っていくために必要なプロセスでもあります。「病気をさせてはいけない」と考えるのではなく、適切なケアをして重症化するのを防ぐことを心がけましょう。

 

「いつもと違う」のサインをキャッチして

子どもの健康管理では、日ごろから「元気よく遊べているか」「食欲はあるか」に気を配り、「いつもと違う」と感じたら全身の様子を観察することが大切です。体に触れてみると、熱や発疹、お腹の張りといった症状に気づきやすくなります。寒暖の差が激しい春と秋は体調を崩しやすいので、上着を用意するなど、その日の気候に合わせた服装を。バランスのよい食事と十分な睡眠、感染症の流行時期には人ごみを避けることも病気の予防につながります。

 

Q:小児科で受診するときに心がけるとよいことは?

A:かかりつけ医をもちましょう

気になる症状が見られたときに、体質やこれまでにかかった病気など「わが子のことをよく知っている」医師に相談できるのは心強いものです。病気によっては治療に時間がかかるケースもありますが、話をよく聞いてくれる医師を見つけたら、その病院をかかりつけにして、なんでも相談できる関係を築いていきましょう。専門医の診療が必要な場合も、まずはかかりつけ医に相談すれば、適切な受診先を紹介してもらえます。

A:症状・機嫌・食欲を医師に伝えて

「いつから、どんな症状が出ているか」のほかに、「機嫌はよいか(遊ぶ元気があるか)」「食欲はあるか」という点も医師に伝えると、診断の手がかりになります。薬の処方にあたっては、体重やアレルギーの有無を聞かれることが多いため、パパや祖父母などに通院をお願いする場合は事前に伝えておきましょう。小児科は子どもの全身を総合的にみるところなので、目・耳・皮膚のトラブルも原則としてまずは小児科へ。

 

Q:予防接種はなぜ受ける必要があるの?

A:命にかかわる病気をワクチンで防げます

ベビブ世代の子どもは免疫力・体力ともに低いため、病気にかかると重症化して命にかかわることもあります。予防接種には、それらの病気から体を守る効果があるので、忘れずに受けましょう。複数のワクチンを同時に接種することも可能です。副反応を気にされる方もいるかもしれませんが、予防接種を受けずに病気が重症化して髄膜炎や脳炎などを起こすほうが深刻な結果につながるリスクが高いと言えます。

A:疑問があるときは医師によく相談を

ワクチンはそれぞれ対象年齢や接種回数が定められています。どの予防接種をどの順番で受けるかは、かかりつけ医によく相談して決めましょう。不安なことや疑問点については、スケジュールを相談するタイミングで医師に質問して、十分な説明を受けておくと安心です。保育園などで集団生活を送る場合は感染症にかかる確率が高くなるので、定期接種のほかに任意接種のものも含めて受けておくとよいでしょう。

 

対象年齢になったら早めの接種を!

免疫力の低いベビブ世代の子どもが重い病気にかかるのを防ぐため、予防接種は受けられる月齢・年齢になったらできるだけ早く受けましょう(次ページ参照)。ワクチンによっては、乳幼児期に接種すれば高い効果が得られるものの、大人になってから接種したのではあまり効果がないものも。ワクチンは複数回の接種により免疫力を高めるので、決められた回数をきちんと受けることも大切。

Q:育児書やネットにはいろいろなことが書かれていて迷います…。

A:参考にしても鵜呑みにはしないで

育児書は「一般的な子育ての方法」が書かれているものであり、百人いれば百通りの育ち方がありますから、すべてがわが子に当てはまるとは限りません。大切なのは、目の前にいるわが子のペースを大切にすること。「育児書の通りにしなければ」と考えるのではなく、あくまでも参考にする程度にしましょう。病気になったときの対処法のほか、発達や健康に関すること、育児の方法などで悩んだときも、わが子の体質や個性をよく知るかかりつけ医に相談することをおすすめします。

A:ネットの民間療法は必ず医師に相談を

インターネットの記事には、医師会や自治体のサイトなど信頼できる情報もありますが、根拠のない情報もあふれています。検索するときのキーワードの入れ方によっては、医学的に根拠のある解説よりも自分と同じ心配を抱えている人の意見ばかりが出てくることもあるので注意が必要です。医師の診断に疑問があるときは、ネットで調べるのではなく、セカンドオピニオンを求めましょう。民間療法の中には効果のないものや有害なものもあるため、使用にあたっては必ず医師に相談を。

 

Q:アレルギーにはどう対応すればよいですか?

A:生活の質が高まるよう症状のコントロールを

アレルギーは、ウイルスや細菌などから体を守る免疫の働きが、本来なら無害であるはずの物質にも過剰に反応することにより起こります。アレルギーを起こす原因としては、1歳ごろまでは食物が多く、その後はハウスダストやダニ、カビ、動物の毛、花粉などが挙げられ、アトピ ー性皮膚炎、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎・結膜炎(花粉症)などのさまざまな症状を引き起こします。
アレルギーの治療は長期にわたるケースも多いですが、医師の指導のもとで薬を適切に用いれば、かゆみや息苦しさといった不快な症状を取り除くことができます。適切な診断・投薬を受け、症状をコントロールすることで、子どもの「生活の質」を高めていきましょう。

ぜんそく・アレルギー性鼻炎(花粉症)

薬を適切に使いながら原因となる物質を避ける工夫を

2~3歳ごろからは、春と秋を中心に胸がゼーゼーして息苦しくなるぜんそくやアレルギー性鼻炎の症状が見られることもあります。ぜんそくは、気道の炎症をおさえて発作が起こりにくくする薬を用いて長期的なコントロールをすることが重要です。ハウスダストやダニが原因である場合が多いので、「部屋をこまめに掃除する」「防ダニ効果のある寝具を使う」など、原因となる物質を減らすことも心がけましょう。症状が落ち着いているときは過保護にせず、外遊びなどで元気な体づくりを。

食物アレルギー

自己判断で除去せず小児科を受診して

両親に食物アレルギーがある場合でも、必ずしも子どもに食物アレルギーが出るとは限りません。アレルギーがなくても血液検査では陽性になるケースもあり、正確な診断をするには医師の付き添いのもとで実際にその食物を食べて反応を調べる「食物経口負荷試験」を受ける必要があります。1歳ごろまでに食物アレルギーと診断されても、成長とともに食べられるようになるケースが多いので、おうちの方の自己判断で除去食にするのではなく、小児科で適切な検査を受けましょう。

アトピー性皮膚炎

かゆみをおさえるには日々のスキンケアが大切

顔や首のまわりなどに湿疹ができるアトピー性皮膚炎は、かゆみが強いと精神的なストレスも大きいので、かゆみを解消することが重要です。症状をおさえるために有効なステロイド軟こうは、医師の指示に従って正しく使用すれば副作用の心配はありません。医師の診断によりアレルギーの原因(特定の食物など)が判明した場合はそれを避け、汗をかいたらシャワーを浴びるなど、肌を清潔に保ちましょう。皮膚の乾燥を防ぐには、シャワーや入浴の後に保湿剤を塗るのが効果的です。

Q:健診で気になることがあると言われたときは?

A:自治体の窓口やサポートを活用して

1歳6か月と3歳の健診では、運動面での発達や手指の動き、周囲への関心などから心の発達を見ます。なんらかの指摘を受けた場合は、今後どう対応すればよいのか、医師や保健師からよく説明を聞きましょう。発達の度合いに極端なばらつきがある場合は、早めに治療や教育(療育)を受けることが将来のためにも重要です。自治体による継続的なサポートが受けられる場合もあるので、積極的に活用しましょう。

A:ひとりで抱え込まずどんなことでも相談を

健診は育児相談の場でもあるので、気になることはその場で相談しましょう。知能や言語の発達を見る3歳の健診では、コミュニケーションや社会性の面で子どもが抱えている特性もある程度は見えてきます。発達に特性をもつ子どもの教育(療育)に詳しい専門スタッフに相談すれば、どんなかかわり方をすればよいかのアドバイスをしてもらえるので、必要に応じて相談先の窓口を紹介してもらうとよいでしょう。

 

コラム

発達障害って?

発達障害とは、子どもの発達のプロセスで見られる、行動や認知の偏り・遅れといった障害のことをさします。大きな特徴としては集団生活になじみにくいことが挙げられ、対人関係が苦手で特定の物事へのこだわりが強い「自閉症スペクトラム」、気が散りやすく落ち着きがない「ADHD(注意欠陥多動性障害)」、学習の一部が困難な「LD(学習障害)」などがあります。幼児期には、「言葉が遅い」「視線が合わない」といった様子が見られることも。これらの特性は生まれつきのもので、おうちの方の育て方によって生じるものではありません。

発達障害の可能性があると言われたら?

自治体の窓口に相談するほか、カウンセラー(臨床心理士)がいる小児科に行くと、より正確な診断が得られます。早い段階から専門的な支援を受けることができれば、子どもは無理のない方法で社会の基本的なルールを習得できます。おうちの方も「言葉よりも絵のほうが伝わりやすい」といった、それぞれの子の特性に応じたかかわり方を学ぶことで、子どもとの意思疎通がしやすくなるはずです。おうちの方だけで対処しようとすると、一般的なしつけ方が通用せずに悩みが深まることも多いので、なるべく早い段階で専門家に相談しましょう。

子どもへのかかわり方で大切なことは?

怒られてばかりいると自尊心をもてなくなってしまうため、子どもの特性やコミュニケーションをとるときの注意点などは園や学校の先生とも共有し、トラブルを防ぐとともに必要なサポートが得られるようにしておきましょう。周囲が本人の特性を理解してかかわることで、「自分は家族・クラスの一員として大切な存在なのだ」という自尊心を育むことができます。

 

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