鉄フライパンの手入れ方法は? 正しく覚えて上手に使いこなそう

プロも愛用する「鉄フライパン」。使いこなすのが難しいイメージを持つ人も多いとは思いますが、食材の味を生かした料理が作れ、長く使える機能的なアイテムです。調理のコツや手入れのポイントについて詳しく解説します。

鉄フライパンの魅力

鉄はフライパンや鍋など、調理器具の素材としてよく利用されています。鉄フライパンならではのメリットを見ていきましょう。

料理がおいしく仕上がる

鉄フライパンの魅力の一つは、使うことで料理の仕上がりに差が出ること。

鉄フライパンには、温まるのは遅いものの冷めにくいという特性があります。熱の伝わり方が穏やかなので、食材の表面だけではなく、全体をじっくりと焼くことができるのです。

表面に細かな穴が開いていることで油がなじみやすく、中までしっかり火が通り、素材の味を生かしたおいしい料理ができるでしょう。

耐久性が高く長期間使える

鉄フライパンは耐久性に優れているため、洗う際にある程度強くこすっても問題ありません。焦げ付いたら磨いて汚れを落とせる上に、丈夫な素材なので正しく使えば長持ちするのがメリットです。

新品の鉄フライパンはまだ油がなじんでいないため、さびやすくなっています。湿気の多い場所に置いていると全体がさびついてしまう場合もありますが、一度さびても手入れをすれば再び使用することが可能です。

長く使うほどに油が鉄になじみ、どんどん焦げ付きにくくなります。大切に使えば一生ものになるため、数年ごとに買い換えるのが面倒だと感じる人にもおすすめです。

そのままテーブルに出しても、おしゃれ!

使う前の手入れ方法

鉄フライパンでおいしい料理を作るためには、正しい使い方を理解することが重要です。調理前に必要な準備について説明します。

空焼き・油慣らし

市販の鉄フライパンは、さびを防ぐクリア塗装が施されているものがほとんどです。新品を買ったら、まずは「空焼き」をして塗装を焼き切りましょう。

強火で全体を熱すると、煙が出てきます。換気扇を回して10~15分ほど熱し、冷ましてから焼けた塗装を洗剤で落としましょう。中には空焼きをしなくてよい製品もあるため、事前に説明書を確認することが大切です。

また、油なじみをよくするためには「油慣らし」が欠かせません。

鉄フライパンを温めて水分を飛ばし、油を多めに引いてネギなどの野菜くずを炒めます。キッチンペーパーや布に油を染みこませて、側面や外側にも油を行き渡らせましょう。

油慣らしには、新品ではなく使い古した油を使うのがおすすめです。深型の場合は、半分ほどの深さまでたっぷりと油を入れましょう。

シリコン塗装品は最初の手入れが不要

鉄フライパンの中には、表面にシリコン樹脂が塗装されているものもあります。人体に害を及ぼすことはなく、調理するうちに自然と落ちていくため空焼きを行う必要がありません。

焦げ付きにくくなっているため、使い始めに油慣らしをしなくてもスムーズに調理ができます。

購入してすぐに使えるのがシリコン塗装のメリットですが、やがて塗装が剥がれてくるとさびやすくなるため、使用後には薄く油を塗るようにしましょう。

調理前の油返しで油をなじませる

「油返し」とは、実際に調理に取りかかる前に鉄フライパンに油をなじませておく作業のことです。じっくり中火で加熱してから大さじ3杯程度の油を加え、弱火にして全体に油をなじませます。

煙が出始めたら、油がしっかりと温まったサインです。一度火を止めてオイルポットなどの容器に油を戻し、再び必要な量の油を加えて調理をスタートさせましょう。

油返しを行うことで、鉄フライパンの表面に油膜が作られ、食材が焦げ付きにくくなります。予熱にもなるため、食材に火が通りやすくなるのもメリットです。

調理後の手入れ方法

鉄フライパンを長持ちさせるためには、調理後の手入れも重要です。覚えておきたい手入れの方法を解説します。

洗剤は使わずたわしなどでこする

「洗剤を使わないと汚れを落とせない」と思う人もいるかもしれませんが、鉄フライパンはお湯を使って洗うのが基本的な手入れ方法です。

洗剤で洗うと表面になじんだ油まで一緒に落ちてしまうため、なるべく使わないように気を付けましょう。

鉄は丈夫な素材なので、たわしで強くこすっても傷つきにくいのが特徴です。油が気になる場合は、使用済みの油をオイルポットなどに戻したり、キッチンペーパーなどで拭き取ったりしてから洗うとよいでしょう。

しつこい油汚れを落としたい場合には、中性洗剤を使います。ただし、洗剤を使った後は再び空焼きをして、油慣らしを行う必要があります。

重曹水で焦げ付きを落とす

多少の焦げ付きはたわしでこすれば落とせますが、磨いてもなかなか落ちないひどい焦げ付きがあるなら「重曹」を利用するのがおすすめです。

アルカリ性の重曹を使うことで酸性の焦げが中和され、剥がれやすくなります。

汚れが浸る分量の水を入れ、大さじ1杯程度の重曹を加えて中火で加熱しましょう。水が沸騰してきたら、そのまましばらく沸騰させて焦げを浮かせます。10分程度を目安に火を止め、フライパンが冷めたらたわしやスポンジでこすって汚れを落とします。

重曹の代わりに「セスキ炭酸ソーダ」を使うのも効果的です。最後に再び火にかけて、水分をしっかりと飛ばしましょう。

焦げが落ちない場合は焼き切りで再生

焦げ付き汚れが表面にこびりついていたり、さびついたりしている状態でも、再び使えるようになるのが鉄フライパンのメリットです。

鉄フライパンを再生させるには、汚れを焼き切る作業が必要になります。コンロを使って強火で空焼きし、汚れが炭化するまで熱します。煙が出ることもありますが、外側までしっかりと焼きましょう。

空焼きで汚れを焼き切ったら、金属のへらやスクレーパーで汚れをこそげ落とします。粉がぽろぽろと落ちてくるため、新聞紙などを敷いてから作業するとよいでしょう。

仕上げに、紙やすりやメラミンスポンジを使って全体を磨きます。鉄の色が見えてきたら、磨き終わりの目安です。焼き切りをした後は新品のような状態になるため、再び空焼きと油慣らしを行いましょう。

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鉄フライパンについての疑問を解消

鉄製のフライパンで調理するときのポイントや、IH調理器での使用法など、気になる疑問をチェックしていきましょう。

焦げ付きを防ぐ調理時のコツ

鉄フライパンの焦げ付きを防ぐためには、食材を入れる前に予熱を行うことが重要です。鉄フライパンは温まるまでに時間がかかるため、一部分だけが加熱されることがないように全体を均一に温めましょう。

中火で数分予熱し、大さじ1杯程度の油を全体になじませてから食材を入れると焦げ付きを防げます。食材が冷たい場合も焦げ付きの原因になるため、冷蔵庫から出したばかりのものを入れないように注意が必要です。

使い始めは表面に油がなじんでおらず、食材がこびりつきやすくなっています。予熱や油返しを丁寧に行ってから調理するのがポイントです。

IHで使う場合に気を付けること

IH調理器を利用している家庭の場合は、鉄フライパンがIHに対応しているかどうかを確認する必要があります。中には、ガスコンロ専用のフライパンもあるため、表示をよく見て選びましょう。

IH調理ではヒーターと接している部分だけが温まるため、焼きムラができやすくなります。フライパンを中央に置くようにするのと、ヒーターからはみ出さないサイズを選ぶことがポイントです。

均一に火を通したいなら、底板に厚みのある鉄フライパンを使うことで焼きムラを防止できます。強火での調理は変形の危険性があるため、IHを使うときは火加減を中火以下にするように心掛けましょう。

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使うほどに魅力が増す鉄フライパン

鉄フライパンは、料理をおいしく作れるのはもちろん、半永久的に使用できることから、プロの料理人からも支持されています。鉄は耐久性に優れているので、表面や外側にも傷が付きにくいのが特徴です。

使う前の準備や使用後の手入れを正しく知っておけば、焦げ付きも少なくスムーズに調理が行えます。使いこんでいくほど油がなじみ、より扱いやすくなる点も魅力でしょう。

汚れが付いたときの対処法をしっかりと理解し、毎日の調理に鉄フライパンを使用しておいしい料理を作りましょう。

 

文・構成/HugKum編集部

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