目次
松本潤主演の人気ドラマを映画化した『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』
2016年、2018年に放送されて人気を呼んだ松本潤主演の人気ドラマが、『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』として映画化され、12月30日に全国公開されました。本作は観終わったあと、非常に感慨深い余韻をかみしめられる、シリーズ集大成の作品に仕上がっています。
公開日前日の29日にはスペシャルドラマ『99.9-刑事専門弁護士- 完全新作SP新たな出会い篇〜映画公開前夜祭〜』も放送されましたが、これを観た連ドラファンのファミリーは、映画への期待度がさらにアップしたのでは。
タイトルの「99.9」とは、日本の刑事裁判における有罪率の%を表しますが、松本さん演じる深山大翔(みやま ひろと)ら個性派弁護士たちが、これまで99.9%逆転不可能な刑事事件に挑んできました。三代目ヒロインとして杉咲花演じる新米弁護士・河野穂乃果を迎えた映画版は、深山たちが15年前に起きた毒物ワイン事件の弁護にあたっていきます。
これまでドラマシリーズでヒロインを務めた榮倉奈々や木村文乃をはじめ、お馴染みの人気キャストたちが再登場するのもうれしい限り。また、映画はドラマ未見の方でも、最後に明かされる0.1%の事実に驚愕する極上のミステリーをめいっぱい堪能できると思います。
まずはドラマ振り返り映像をさくっと観てスタンバイ!
『99.9-刑事専門弁護士– 』シリーズがここまで熱狂的に支持されたのは、やはり松本さんをはじめ、豪華キャスト陣が演じたアンサンブル演技の魅力と、0.1%の可能性を信じて事実を暴いていく大逆転劇の痛快さでしょうか。
映画ももちろん期待を裏切らないクオリティで、木村ひさし監督が、見ごたえのあるサスペンスにコミカルな要素を交え、ドラマ同様にとびきりのエンターテイメント作品に仕上げています。
ついては映画を観る前に「ドラマ振り返り特別映像」を観ておきましょう。
松本さん演じる深山は、いつも飄々としていて、人を食ったようなマイペースな弁護士ですが、オヤジギャグが大好きというおちゃめな一面もあります。民事事件ではなく刑事事件ばかりを扱う理由は、父親が殺人容疑の罪で逮捕されたという暗い過去を背負っているから。
深山は独特のアプローチ方法で、仲間である斑目法律事務所の弁護士たちの助けを借りて、事件の真相を突き止めていきます。そのチームプレイも本作の醍醐味ですが、映画版でもそこが大いに発揮されています。
キーマンとなる三代目ヒロイン・杉咲花と松本潤の掛け合いが最高
『99.9-刑事専門弁護士– 』シリーズの名物といえば、松本潤と香川照之による舌戦✕オヤジャグの愉快な掛け合いと、深山とヒロインとの凸凹バディです。香川さん演じる佐田篤弘は、今や斑目法律事務所の所長となっていますが、安定感ある暑苦しさが最高です。また、注目すべき点は、スペシャルドラマでシリーズ初参戦となった杉咲花です。
深山の相方となるヒロインといえば、SEASON Iで榮倉奈々が演じた向上心のかたまりで努力型の立花彩乃や、SEASON IIで木村文乃が演じた元裁判官というエリートの尾崎舞子がそれぞれ好評を博してきました。三代目ヒロインは、この2人のキャラと被らない、かつ深山と絶妙なコンビを組まなければいけないという重責の役どころです。
この重いバトンを受けとった杉咲さん演じる穂乃果は、深山とある因縁を持って斑目法律事務所に入所してきた新米弁護士です。杉咲さんは、朝ドラ『おちょやん』でお茶の間の人気者となりましたが、本作でも肝のすわった穂乃果役で、ハイテンションな熱演を魅せています。
完成報告会見では、松本さん、香川さん、杉咲さんでこんなやりとりがありました。
杉咲さんが「現場で監督が言葉やジェスチャーを足していくので、その場で対応していくのが大変でしたが、新たに足したものが本当に面白いんです」と言うと、松本さんも「最初の2人のシーンで、振り切った芝居する杉咲さんがすごかったです」と絶賛していました。
また、杉咲さんと『MOZU』シリーズで親子役を演じていた香川さんも「監督のSEASON Iでの榮倉奈々さんの仕上げっぷり、SEASON Ⅱでの木村文乃さんの仕上げっぷりが大匙1だとしたら、杉咲さんは大匙3です」と称えていました。確かに杉咲さんの入魂の演技が、映画版に風を吹き込んだことは間違いなしです。
一筋縄ではいかないミステリーがシリーズの真骨頂!
これまでドラマシリーズが2本、公開前夜に放送されたスペシャルドラマが1本、そしてそれに続く映画が公開されるという流れですが、やはり『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』が、シリーズのテーマを一番色濃く伝えている集大成的な作品になった気がします。
本シリーズは人気の高いリーガルもののなかでも、刑事事件専門の弁護士たちにスポットを当てた作品ですが、特筆すべき点は冤罪について深堀りして描いてきた点でしょうか。主人公である深山のバックグラウンドにおいてもそこが語られました。深山が弁護対象者の有罪・無罪よりも、事実を追求しようとするのはそういった背景があるからかと。
冤罪といえば、実際に起きた足利事件や名張毒ぶどう酒事件などはよく知られているところです。人の人生を狂わせる冤罪は本当にあってはならないことですが、本シリーズには、その分野で必死に闘っている弁護士たちへのリスペクトの念がきちんと盛り込まれていて、よい多くの感動を生み出してきました。
特にこれまでのシリーズの流れを受けての 映画版には、その揺るぎないテーマと制作陣の志の高さが感じとられ、一層深い余韻を受けます。そこは松本さん演じる深山が多くを語らずとも、その表情が多くの大切なメッセージを物語っている気がしました。
完成報告会見で松本さんは「手応えは99.9というところです。自信をもってお届けできます。いい意味でドラマの雰囲気を残しつつ、映画館で観ても楽しめる作品になっています」とアピールし「まだ公開されていないので、観客の皆さんが見ていただき感じていただいて、残りの0.1%が埋まると思っています」と締めました。
また、映画の点数については「99.9点です!」とのことですので、ぜひお正月にご家族で映画館へ行って、みなさんでそこを確かめていただきたいです。
監督:木村ひさし
出演:松本潤、香川照之、杉咲花、片桐仁、マギー、馬場園梓、馬場徹、映美くらら、池田貴史、岸井ゆきの/ 西島秀俊、道枝駿佑(なにわ男子 )、蒔田彩珠/ 榮倉奈々、木村文乃、青木崇高/ 高橋克実、石橋蓮司/ 奥田瑛二、笑福亭鶴瓶/ 岸部一徳…ほか
公式HP:https://movies.shochiku.co.jp/999movie/
文/山崎伸子
©2021『99.9-THE MOVIE』製作委員会