【保育経験41年・元園長先生が伝授!】ちょっとしたことで子どもを怒鳴ってしまう…そんな時の対処法は?

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

 

最近、疲れているのか、ちょっとしたことで子どもを怒鳴ってしまいます。イライラするこの気持ちをなんとか落ち着かせたいのですが、なにか対処方法があれば、教えてください。(岐阜県 A・Rさん)

乳幼児の子育ては、朝から晩まで手がかかり、お母さんは心身ともに大変です。母親としてこれほどまでに大変なのは、ほんの数年のことなのですが、ズルズルとその時間が続くような気がして、イライラしたり、落ち込んだりするものです。ましてや子どもが2、3人となるとなおさらです。そうした気持ちを持つのは、人間として当たり前のことだと思います。私自身も子育て中に、そういう感情に陥ったことがあります。だから、相談者の方の気持ちはとてもよくわかります。

子どもの前では「女優ママ」になりましょう

ですが、気持ちのイライラを子どもにストレートにぶつけるのには、ひとつもいいことがありません。乳幼児の場合、親の機嫌が悪いのはなぜなのか、その原因は理解できないので、しゅんとして、ひたすら耐えるだけ。そして、気持ちのコントロールができない親の姿に影響を受けて、大きくなったときに子ども自身も親と同様のふるまいをする人間になってしまう可能性があります。

大変だとは思いますが、子どもの前では「女優ママ」になって母親を演ずる努力をしてみてください。乳幼児を育てているお母さん方は、意識せずともみな女優さんで、子どもを褒めるときも叱るときも、幼い子どもに伝わるよう、ふだんから実は自然に演技をして、大げさに言葉かけや動作をしているんですよね。だから、その延長と考えて、お子さんが眠るまでは女優になって接していただきたいのです。

そうして、お子さんが眠ったあとに、自分の想いを誰かにぶつけましょう。いちばんいいのは旦那様ですが、気持ちの許せる人なら、実家のお母さんでもご友人でも、ご兄弟でも誰でも構いません。ひとは、自分の気持ちを誰かに聞いてもらうだけで、心が穏やかになります。相談をして解決策は見出せなくても、人との関わりのなかで癒されて、自分の心の整理ができるようになるものです。

我慢ができず子どもに当たったときは素直に謝りましょう

とはいえ、どんなに頑張っても、人間なら我慢ができずに子どもに当たってしまうこともあるでしょう。そんなときには、気持ちを切り替えて「言い方が悪かった。ごめんね」ときちんと謝り、自分の思いを伝えましょう。そして、そのうえで「一緒に遊ぼうか?」「何かおいしいものを食べる?」などの言葉掛けをしてください。家事や仕事を放り出して、子どもと一緒に昼寝をするのもいいと思います。

このように子どもとプラスになる関わりを持つことで、親子の絆も深まります。そして、そんなやりとりを重ねながら子どもが成長していくと、やがて親の気持ちや立場を感じとり、思いやってくれる場面も出てくるし、ときにはお母さんの心を支えてくれるような言葉掛けもしてくれるようになるんです。

長い人生においては、ずっと穏やかな日々が続くことはありません。どうか豊かな人間関係を築いて、困難を乗り越えていってください。そんなあなたの生きる姿からお子さんも学んで、人生を歩いていくのですから。

 

回答していただいたのは…

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2019年2月号

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