【発達凸凹のある息子とのくらし】不登校のお昼ごはん問題…いまでは小3息子が料理係に!

ホームスクール(家庭学習)を選んだ小3の長男、年長の次男、夫、の4人家族で暮らしています。普段は、Instagramで長男のことを中心に弟や夫がたまに登場する絵日記の発信をしています。 わが家の小学3年生の長男には自閉症スペクトラムとADHDの診断があるのですが、かなりユニークな人なので、そのおもしろさと関わり方への工夫などを忘れないよう綴っていきたいと思っています。

連載 第3回 不登校なくらしと昼食問題

こんにちは、ウチノコです。私は小1秋から不登校を選んだ息子と家庭での学びを意識しながらくらしています。不登校なくらしをしていると、悩ましいのが毎日の昼食!私一人なら食べたり食べなかったり、その日の気分で自由にできていた昼食ですが、育ち盛りではらぺこな長男が家にいるとなるとそうもいきません。だけど私はあまり料理が好きではないので、毎日昼食を考えて作ることは辛い!

いっそのこと学校に給食だけでも食べに行ってくれないだろうか?なんてことが頭をよぎる日もありましたが、そうもいかない現実・・・

「ああ、おひるごはんはめんどくさい!この先も毎日毎日昼食と向き合うなんて嫌だ!」

そして思い至ったのです。そうだ、長男になんとかしてもらおう!

長男への打診

直球で長男に提案

「お母さんは料理があまり好きではありません。毎日お昼ご飯を作ることは辛いです。だからお昼ご飯は長男くんにも作ってもらえませんか?」私は正直に長男に伝えました。

「うん、いいよ!」思いがけない長男からの快諾に私はびっくり!

だけどよく考えてみれば、私は夕方になると「夕飯何にしよう~」頭を抱えている事が多いので、長男は「自分が料理を作ってお母さんを助けてあげよう!」なんてことを思ってくれたのかもしれません。

いや、わが家は朝食は毎朝夫が作るので「おひるごはんは自分の番だ」なんてことを思ってくれたのかもしれません。

長男に子どもむけの料理本を

とにかく、長男の気が変わらないうちにさっそく子どもむけの料理本を買ってきて初めての昼食作りに挑戦です。

初心者は電子レンジ調理からということで、初レシピは冷凍うどんを使う釜玉うどんです!

本を読みながら、手順通りに進めてアッサリと完成。
失敗しようのないレシピでしたが本に載っているとおりに作れたこと。自分の力でおいしく作れたこと。そして私にとっても喜んでもらえたこと。この体験は長男にとって幸せな思い出になったようでした。

私は正直、長男はすぐに料理に飽きるだろうと思っていたのですが、その後も本を読みながらお昼ご飯を定期的に作ってくれるようになっていきました。

初めての料理は釜玉うどん

料理によって癒されていく心の傷

料理を始めたころは麺料理が多かったものの、だんだんと長男のレパートリーは増えていきました。やがて、包丁の使い方も覚え、マイ包丁が欲しい!と購入したり、フードプロセッサーやミキサーなどの調理家電の使い方も覚えていきました。最初は怖がっていたコンロを使う料理にも興味を示すようになり、できることの幅はどんどん広がっていきました。

自分の料理をみんなに食べてもらいたい!

料理に対して自信がついてくると、父や弟、祖父母にも自分の作ったものを食べて欲しい、喜んでほしいという気持ちが芽生えていきました。また、私が仕事をしているとコーヒーを入れてくれるなどの自発的な行動も増えていきました。

当時の長男は元気にふるまっていても、ふとした瞬間に不登校を選んだ自分はダメだと思う。と、口にすることがありました。

だけど周囲のみんながおいしいおいしいと笑顔で彼の作った料理を食べてくれることが少しずつ長男の落ち込んだ心を癒し、自分にもできることがあると自信を取り戻すきっかけになっているようでした。

家族のよろこぶ顔がうれしくて

小学校入学前に通っていた療育教室で「長男くんは頑張ってほしいときにご褒美をわざわざ作らなくても、誰かに喜んでもらえること、役に立てたと思うことがご褒美になる子ですね。」と話していただいたことがあります。家族のよろこぶ顔を見てはにかむ長男を見ていると、あの言葉はこういう意味だったのかと改めて実感しています。

得意料理はチャーハン

料理から広がる世界

その後も長男の料理への興味は持続し、お菓子が大好きな弟のためにお菓子作りに挑戦したいと言うようになりました。

お菓子作りを通して算数を学ぶ

お菓子作りとなるとグラムやリットルなどの単位や2倍、3倍と分量を計算する必要も出てきます。最初は戸惑いもみられましたが何度も作っていくうちにスムーズに計算できるようになっていきました。

机に座って学ぶ算数では嫌になってしまう事も実践形式だと粘り強く頑張ることができるのだなーと、長男に合った学び方を考えるヒントになりました。

材料も自分で購入!行動がアクティブに

 また、不登校当初は外出を嫌がる時期があったものの、料理の材料が欲しいことが外出のきっかけにもなりました。

「ひとりでおつかいしてみたい!」と言い出して店の外で親がハラハラ見守る中、無事おつかいを成功させた経験もきっかけはお菓子の材料だったように思います。

ステンドグラスクッキーがお気に入り

新しい世界を自分で広げようとする姿勢が見えた

更に、これまで興味を示すことのなかった料理番組をときどき視聴して「これなら俺にも作れるなぁ」なんて生意気なことを言っていることもあります。

最近では子ども向けの料理本では物足りないらしく、料理レシピのアプリを自分のタブレットに入れて使うようになりました。最近のレシピアプリには作業動画がついているので、説明文だけではわからない動作を視覚的に確認できることから随分と気に入っている様子です。失敗してしまったときは、どうしてだろう?と動画を見直して原因を探ろうとする姿も見られるようになりました。

終わった後の片づけは、ちょっと苦手

このように料理を通して学べることは多岐にわたり、料理は長男をどんどん成長させてくれているのですが・・・ちょっと困ることもあります。それはキッチンの後片付け!

料理を堪能した長男が去っていったキッチンはたくさんの洗い物にこぼれた材料、床が粉まみれに・・・なんてことも。だけど元気をなくしていた長男が活動を楽しんでいるのだから、水を差すのはもったいない気がして私は目をつむってきました。(食洗器がなければ発狂したかもしれませんが・・・)

料理を通して段取り力が徐々についてきた

だけど料理歴もそろそろ1年半、手慣れてきたことからそろそろ片付けの教え時かな?と最近は少しずつ後片付けにとりくんでもらう機会を増やしています。もともと片付けが苦手な長男なので、少ししょっぱい顔をしていますが、それでも片付けに意識を向けてくれることも増えてきました。料理を通して片付けや段取りなども学んでいけたら、将来の役に立つんじゃないのかな?なんてことを想像してニヤニヤしている私です。

完全防備で玉ねぎに立ち向かう

楽しい嬉しいのその先に

現在、週に3日くらい昼食を作ってくれる長男。お母さんがラクしたいから!と託した昼食作りでしたが、今では自分の意思で楽しくとりくんでいる様子です。長男は料理をしているあいだはとってもご機嫌で、作りながら鼻歌を歌っていたり、イライラするとおもむろに料理をはじめて気分転換を図る日もあり、料理が長男にとって楽しい活動になっていることを私も嬉しく感じています。

料理をつくるのは楽しい、食べてもらうのは嬉しいという気持ちがあるからこそ、料理が学びに繋がり長男の世界を広げることにも繋がっているのだと感じています。

 また、長男にとって料理をすることは自己表現でもあるように私は感じています。長男には色々な感覚過敏があって小さなころから困ることも多かったのですが、味覚もまぁまぁ敏感な彼の味付けはおいしいんです。
今日のおひるごはんも楽しみです。

文・イラスト・構成/ウチノコ

構成/HugKum編集部

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