今年の冬は、12月から一気に寒くなる予報!寒さ対策に役立つ天気予報の見方を「気象予報士ママ」が解説!

季節が進むとともに朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。どんな上着を着て出かけようか、着る物にも悩む季節ですね。気温とともに湿度も下がり空気が乾燥してくるため、体調管理にも注意が必要です。また、今年の冬は寒くなる予想も出ています。どんな日に冷え込むの?天気予報で聞く「放射冷却」ってなに?気象予報士がご紹介します。

今年の冬は寒い!

気象庁から発表されている長期予報によると、「ラニーニャ現象」が今後も続く可能性が高いことなどから12月と来年1月は寒気が流れ込みやすくなり、東日本と西日本では平均気温が「平年並みか低い」と予想しています。 また、日本海側では雪の量が多くなる可能性も高く、太平洋側では空気が乾燥する日も多くなりそうです。風邪やインフルエンザなどに気を付けて、日ごろから手洗いうがいの徹底など対策しておくことが大切ですね。

最低気温は何時ごろ出るの?

寒さを確認するために、天気予報で最低気温と最高気温をチェックしている方も多いと思います。 日中の最高気温は午後2時頃に出ることが多くなっています。一方一日のうちで一番低い気温は午前3時から午前9時までの間に観測されることが多いです。

天気予報で「明日朝の予想最低気温」と伝えられている時は午前0時から午前9時までの間で最低となる気温の予想。実際に最低気温が出る時刻は、晴れている日だと日の出前後になります。たとえば12月ですと東京の日の出の時刻は630分から7時前。7時前後に出かけるという方は、通勤通学の時間帯に一番冷え込むということになります。

朝晩の冷え込みは「放射冷却」に注意

なぜ日の出前後に1番気温が下がるかというと、夜間に放射冷却が起こっているからです。 放射冷却とは、地表面から空に熱が放出されて冷えること。この放射冷却現象が強く起こる時というのは条件があります。

放射冷却

雲がないとき

雲は地球の布団のような役割を果たしていて、地面から放出された熱をいったん雲が吸収し、その一部分を再び地表面に向けて放出しています。つまり、曇っているときには逃げていく熱をとどめてくれるので、それほど放射冷却は強まりません。一方、雲がなく晴れている時には熱をとどめてくれる布団がないので地表の熱はどんどん上空へと逃げていき、冷え込みやすくなります。 夜間に晴れている日は注意です。

空気が乾燥しているとき

空気中に水蒸気があると、水蒸気が雲と同じように熱を跳ね返す形になるので気温の低下が妨げられますが、空気が乾燥していて水蒸気がないときには冷え込みが強まります。

 風がないとき

風が吹いているときには、地表付近の冷たい空気と上空の暖かい空気が混ざるので、熱を逃しにくくなります。

つまり、「夜に乾燥していて晴れた風のない日の、日の出前後の時間帯」が一番放射冷却が強まり気温が下がるということです。

天気予報は風速もチェック

天気予報を見る時には、気温だけではなく風速も確認していただきたいと思います。冬は全国的に北よりの風が吹きますが、この北風は1m/s服ごとに体感温度が1℃下がると言われています。つまり気温が10℃でも、風に向かって歩きにくくなるような風速10m/sの風が吹いていると体感温度は0℃と極寒になっていまうのです。ちなみに自転車通勤・通学をされている方は、自転車の平均時速15km/hを秒速に直すと4m/s、すなわち体感温度が4℃ほど低くなるのでしっかり防寒が必要ということになりますね。特に風が強い日は風を防ぐ上着などを着て対策してくださいね。

西高東低の気圧配置は等圧線に注目!

これからの季節、天気予報を見ていると「西高東低の気圧配置」「冬型の気圧配置」という言葉をよく耳にすると思います。西に高気圧、東に低気圧が存在し、等圧線が南北に伸びている気圧配置です。2月頃にかけてこの冬型の気圧配置になることが多く、この気圧配置の時はまさに冬らしい天気になります。日本海側は雪や雨などが断続的に降ってぐずつき、太平洋側は晴れて空気が乾燥する状態です。そして西高東低の時は全国的に寒さに要注意。北風が強まり強い寒気が日本列島に流れ込みます。

(気象ホームページより:2021年12月13日)

特に天気図で注目してほしいのは等圧線の混み具合。間隔が狭いところでは風が強く、広いところでは風が弱くなります。日本列島に何本もの等圧線がかかっているような時は北風が強く、冬の嵐となり大雪・暴風・暴風雪・高波などの被害が出るようなこともあります。

寒さ対策は3つの首をあたためて

特に冷え性の方は冷え込む日はつらいですよね。寒さから効率よく体を守るためには、太い血管が通っている3つの首、「首」「手首」「足首」を冷たい空気から守るようにしてみてください。マフラーや手袋、レッグウォーマー、室内ではルームソックスなどを活用するといいですね。

 寒さが日に日に厳しくなってくる季節。体調を崩さないように天気予報をチェックしながら生活習慣も整えて、あたたかくしてお過ごしください。

文・構成/酒井千佳

酒井千佳
フリーキャスター、気象予報士、保育士。
京都大学 工学部建築学科卒業。
北陸放送アナウンサー、テレビ大阪アナウンサーを経て2012年よりフリーキャスターに。
NHK「おはよう日本」、フジテレビ「Live news it」、読売テレビ「ミヤネ屋」などで気象キャスターを務める。
現在は株式会社トウキト代表として陶芸の普及に努めているほか、2歳からの空の教室「そらり」を主宰、子どもの防災教育に携わっている。

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