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特別展「毒」は見どころ満載!大人も子どもも楽しめること間違いなし!
国立科学博物館では、2022年11月1日~2023年2月19日の期間 特別展「毒」を開催しています。
国立科学博物館で、毒にまつわる展示をするなんて、なんだか斬新な気がしますよね。そうなんです、「毒」をテーマにした展示は国立科学博物館として初の試みなんだとか。
そしてこの展示のすごいところは、「毒」というテーマのもとに、国立科学博物館の動物学や植物学、地学、人類学、理工学などのあらゆる分野のスペシャリストが集結し、協力して作り上げたところだそうです。これまで、各分野に特化した展示は行われてきましたが、いろんな分野が一度に同じ展示に集まることは稀だそうです。
「毒」と一言で表していても、その中には生物の持つ毒や人間が作り出した毒など、多岐にわたるからこそ今回のような大規模な展示が完成したのですね。毒っておそろしいものに思えて、実は私たちの生活とも密接な関係にあるのです。
そんな 特別展「毒」に、今回生き物が大好きな我が家の3兄弟が行ってきました。国立科学博物館の研究員であり、今回の展示にも携わっていらっしゃる井手竜也先生のご解説のもと、会場の隅から隅まで楽しんできましたので、その様子をレポートします!
ご同行いただいた井手竜也先生
井手先生は、国立科学博物館 動物研究部 陸生無脊椎動物研究グループの研究員として、主に昆虫の研究をされています。
今回の展示でも昆虫は多く登場しており、その部分の監修をされました。その中でも、半年間かけて作り上げたというオオスズメバチの超巨大立体模型は圧巻です。
特別展 「毒」の内容をちょっとだけご紹介します!
この特別展では動物や植物のもつ毒だけでなく、鉱物や人工毒といった、自然界あらゆるところに潜む毒を徹底的に掘り下げています。昆虫や動物のコーナーもあれば、きのこや鉱物が並んでいるコーナーと、バラエティに富んだ内容になっています。
子どもたちは早速入り口から入ってすぐのところにある、とてつもなく大きなオオスズメバチやハブの模型に、ものすごくテンションが上がっていました!
展示の最初に出迎えてくれたのは巨大なオオスズメバチの拡大模型。ここまで精密かつ大きい模型はここでしか見られない貴重なものです。産毛や、細かい部分の色、羽根のたわみまで徹底的に再現したそうで、とてもリアル。
私たちの身近にいるイラガの幼虫。このとげの中に毒が入っていて、刺した後はそのままトゲの先端がポキッと折れるのだそうです。痛そう!
動物や昆虫の模型や剥製が次々に展示されているので、子どもたちは興奮してかじりつくように見ていました。
それぞれ毒に関する解説もしっかりと書かれているので見応えがある内容です。私も知らないことが多く、とても勉強になりました。きのこ、またジャガイモの芽に含まれるソラニンなどは身近な毒です。展示を見て改めて気をつけようと身が引き締まりました!
イグノーベル賞を受賞「シュミット指数」は体当たりの研究
「シュミット指数」の展示を食い入るように見つめる子どもたち。「シュミット指数」とは、どのハチに刺されるのが最も痛いのか、実際に一人の学者があらゆるハチに刺されて研究し、まとめたものです。危険度とハチの標本、痛みの様子がわかりやすく展示されていて、とても面白かったです。こちらの研究は、「イグノーベル賞」を受賞したそうです。
※イグノーベル賞とは「人々を笑わせ考えさせた研究」に与えられる賞。
食べられるきのこと毒きのこ?あなたはどっちかわかる?
食べられるきのこと毒きのこを並べた展示。あまりのそっくり具合にびっくり!
展示には見るだけでなく、面白い体験型のものもありました。こちらは機械に手をかざすとプシュッとマンゴーのいい香りが出てくるというもの。「すごい!ふしぎ〜」と大盛り上がりでした。未熟なマンゴーは毒がありマンゴ―の甘い香りがありません。熟すと毒がなくなり甘い香りになるそうです。ふしぎですね。
「毒」を楽しく学ぶための工夫がたくさん!
「毒」というテーマで展示を行うにあたって、ちょっと怖い内容ばかりになりそうですが、そこにはいろんな工夫が凝らされて楽しく学べる雰囲気になっています。
まず会場のデザインがピンクや黄色を使った、おしゃれでポップな雰囲気になっていて、なんだかテンションが上がります。それから、色んなクリエイターとのコラボも見どころです。
秘密結社鷹の爪のアニメーション
会場に入口にある「秘密結社鷹の爪」のアニメーションが面白くて、息子たちは画面にしばらく見入っていました。展示の導入として、子どもたちにとってとても分かりやすいアニメーションでした。こちらはぜひ会場でチェックしてみてくださいね!
東大発知識集団QuizKnockからの挑戦状も!
伊沢拓司さん率いるQuizKnockからは、展示の内容に関するクイズの挑戦状が!クイズ形式で毒を学ぶことができるので、お子さんは盛り上がること間違いなしです。解答は出口にあるので、終わったら答え合わせしてみましょう。
グッズも充実!かわいいものから、知識をつけてくれるものまで豊富です。
特別展「毒」はオリジナルグッズにもかなり力が入っています!ここでしか買えないかわいいベニテングタケのぬいぐるみや、ハンドタオル、ポーチ、ノートのような実用的なものもたくさんあります。また、オリジナルグッズではありませんが、今回の展示に関連した書籍も多く置いてあったので、もっと深く知りたいなと思った方はここで購入することが出来ますね。
特別展「毒」の公式図録がかっこいい!
今回の展示で毒にさらに興味を持った方には是非手にして頂きたいのが、特別展「毒」の公式図録です。全172ページの大ボリュームで、かっこいいデザインのハードカバーがとても素敵なこちら。展示内容がさらに深掘りして解説されており、内容の復習としても知識の発展としてももってこいの1冊です。
図鑑のようにびっしりと解説があるものの、自分たちの目で実際に展示を見てきたものばかりなので、すんなりと内容が頭に入ってくるようでした。特にお気に入りは“生活のなかの毒”というページだそうで、理由を聞くと「こんなに身の回りに毒が潜んでいることを知らなかったのでびっくりしたから」とのことでした。
子どもたちも今回の展示はとても刺激的だったようで、その後得意げに自分の得た知識を話す姿が多々見られました。実際に博物館などに足を運んで見たり聞いたりしたことは、本で読むだけよりも数倍頭と心に残る気がします。とてもいい経験ができたと思います。
国立科学博物館の研究員である井手先生に、インタビューをしました。
今回私たちにご同行いただき解説をしてくださった井手先生に、研究員のお仕事についてのお話や、子どもたちに向けて伝えたいメッセージをお聞きしてきました。
いつくらいから将来の夢をもったのですか?
「今はこうしてお仕事として虫の研究をしていますが、実は小さい頃は虫が怖かったんです。テントウムシを見て泣いているくらいでした。でも、虫ってとても身近に触れることのできる生き物ですよね。例えばライオンやゾウのような動物は動物園に行かないと見ることが出来ないけれど、虫は身近に沢山いていつでも見ることができる。そんなところから、少しづつ虫に興味を持ったのだと思います。一番のきっかけは、高校生の時に生物部に入ったことですね。」
今のお仕事で楽しいところは?
「虫を入り口に色々な分野へ興味の幅を広げることが出来るところでしょうか。虫って100万種類もいるんですよ。これだけの種類があれば、興味の種は尽きません。奥深くて、面白いですよね。」
ズバリ今回の展示の見どころは?
「この展示は「毒」をテーマにして、色んなジャンルのスペシャリストが監修を行っています。ひとつの展示であらゆる学問の内容が見られるというのは、とても面白いと思います。自分の担当した部分の見どころといえば、やはりオオスズメバチやイラガの幼虫の巨大模型ですね。実際に制作してくれる方と半年間かけて打ち合わせを続け、完成させました。足のトゲの数や口の部分など、見えないだろうと思われる部分のディティールまでこだわって伝えていきました。このような苦労もあってか、他ではまず見ることのできない精密で超巨大なかっこいい模型を完成させることが出来ましたので、是非よく観察して、展示されている実物標本と見比べて楽しんでいただきたいです。」
子どもたちに向けてメッセージをお願いします!
「子どものうちから自分の好きな分野で何か気になったことがあったら調べる、ということをするといいと思います。そこから世界が広がっていって、色んな分野へ繋がっていくでしょう!こういった展示会などで入り口となる好きなことを見つけてみるといいですよ。」
大人も子どもも楽しめる、特別展「毒」は2023年2月19日まで展示されています。ただ面白いだけではなく、学ぶこともたくさんのこちらの展示は、親子でのお出かけにぴったり!あらゆる分野の知識が集結した濃い内容のものが、工夫されてとても面白く展示されていますよ。見終わった後は毒博士になっているかも?!皆さんも是非足を運んでみて下さいね!
QuizKnock伊沢拓司さんが語る特別展「毒」の魅力はこちら
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撮影/黒石あみ 取材・文/小島有里 構成/HugKum編集部