6月は「梅シロップ作り」に親子でトライ! 日本ならではの伝統「梅しごと」をしてみよう

ママの気持ちがラクになる方法で、行事食や季節の楽しみ方を案内している(社)日本キッズ食育協会・キッズ食育マスタートレーナーの石井千賀子です。今回は親子でできる「梅しごと」の「梅シロップ作り」をご紹介します。

「梅しごと」とは?

梅が旬を迎える6月頃に、梅を使って保存食を作る、日本人の暮らしのたのしみを「梅しごと」といいます。
「梅しごと」と言えば、梅干し、梅シロップ、梅酒、梅ジャムなどが挙げられます。

梅の歴史

梅はもともと中国原産の花木です。古来、日本に伝わり、花の美しさ、珍しさで多くの人たちに愛され、かつ、梅の実にある様々な効能のため、広く利用されてきました。
戦国時代では、兵士が梅を摂ることで疲れがとれたり、日持ちがして軽くてかさばらない「兵糧食」として研究もされていたようです。
今では、梅や梅肉エキスの健康効果に関する研究も進み、日本人なら知らない人はいない常備食となっていますね。

梅の実がなり、熟すタイミングは年に一度だけ

梅の旬の時期を逃さずに「梅しごと」をすると、一年中、梅を楽しむことができるのです。6月を過ぎると、青果店やスーパーでも、たくさんの梅を見る機会があるかと思います。

梅には、疲労回復効果、食欲を促す、抗酸化作用などの効果があると言われています。特に疲労回復、食欲増進は、たくさん遊び、学ぶ子どもたちの身体にとって、うれしい効能ですよね。ですが、梅干しは子どもにとって塩味が強く、苦手なお子さんもいるかと思いますし、漬けて干すという工程は少しハードルが高いと感じるかもしれません。

今回は、子どもと一緒にできて、親しみやすい梅シロップ作りをご紹介します。

梅シロップは、水や炭酸水で割って飲んだり、ヨーグルトにかけて食べることができます。実は私自身、自分で作るまで「梅シロップ」の味が得意ではありませんでした。ですが、子どもたちと一緒に作ってみると不思議ととても美味しく感じ、子どもたちも初めての梅シロップを「美味しい!」と飲んでくれたのでとてもビックリしたのです。

子どもの心と体を刺激する「梅シロップ」

梅シロップを子どもと一緒に作ることで、子どもの手先の感覚が豊かになるきっかけ、好奇心をくすぐるポイントもたくさんあります。
作り方をご紹介しますので、ぜひお子さんと取り組んでみてください。

梅シロップ

材料

★用意するもの

500mlガラス瓶

《下準備》瓶を煮沸消毒する。

・梅 100g(青梅10個程度)
・氷砂糖100g

作り方

① 梅のへたを爪楊枝などでとる。

② 梅を洗って、ペーパータオルなどで水気をとる。

③ ②と氷砂糖を交互にびんにいれる。

④ 1日に1度かきまぜ、2週間以上漬ける。

⑤ 1か月程度たった段階で、瓶の中の梅を取り除く。

「自分で作った」というスペシャルなエッセンスも

氷を入れたコップに、梅シロップをスプーン2杯程度入れ、そこに水や炭酸水を加えて割って飲みます。梅雨のじめじめとした季節や夏のカンカンと照り付ける暑い季節に、冷たい梅ジュースは爽やかで、すーっと体に馴染む感覚が。

汗だくで学校から帰ってきた子どもたちも、

「しみる~!これ最高だよね!」

と美味しそうに飲んでいました。それはきっと、ただのジュースではなく「自分で作った」というスペシャルなエッセンスもあるからなのだと感じます。そろそろ「梅しごと」のシーズン。今年も作るぞ!と我が家のイベントとして、子どもたちはとても楽しみにしています。

子どものお手伝いポイント

・梅のへたを爪楊枝でとってみよう

ぽろっと取れたときは気持ちよささえ感じることができます。
ぽろっと取れたときは気持ちよさを感じることができます。

梅のへたの部分は、砂糖につけている間にカビが生えやすい部分です。爪楊枝の先端近くを持ち、少しひっかけるだけで、ヘタを取ることができます。

楽しみながら、集中力や力加減も学ぶことができるお手伝いです。

ですが、注意が必要なのは、お手伝いをお願いする「量」と「時間」です。幼児期の子どもの集中力は約10分間です。私自身、幼児の集中力が10分間だと知ってとても驚きました。「やりたいって言い始めたんだから、最後までやって!」とお手伝いのたびに言っていた自分を反省した経験があります。子どもの発達を考えたうえで、一つ一つの梅のへた取りに取り組む姿を見ると、一生懸命な眼差しや、ヘタが取れたときの笑顔がとても愛おしく感じられるのではないでしょうか。

・梅を水につけてみよう!何が見えるかな?

下準備として、梅をよく洗う作業のお手伝いをお願いしてみましょう。水につけた瞬間……あれ?ガラスのような、虹色のような膜に梅が覆われます!

「わぁ!キラキラにかこまれてる!」

「スーパーボールみたい!」

などと歓声が上がることでしょう。

この正体は梅の表面にある微細な「毛」により、空気の層ができて生まれる膜です。

洗う前の梅をよく観察するきっかけにもなりますね。
洗う前の梅をよく観察するきっかけにもなりますね。

子どもは水遊びが大好きです。

膜をたくさん触ると、少しずつ膜がなくなっていくことや、浮かぶ梅もあればすぐ沈む梅もあります。

楽しみながらお子さんと一緒に沢山の発見を楽しんでみて♪

・砂糖が溶けていく様子を観察してみよう

氷砂糖が少しずつ溶けていく様子も、お子さんには楽しみの一つです。氷砂糖が溶けていくだけではなく、同時に梅の水分が抜けて、しわしわになっていく様子も見られます。

「どうしてだろうね」「しわしわだね」「おもしろいね」「触るとどんなだろうね?」好奇心を刺激する声掛けをしてみてくださいね。

行事食ができないときはスーパーで梅の色の変化を見ても

公園などに梅の木があれば、実がなっているところを見ればよいのですが、近所で見かけることが少ない地域もあるかもしれません。

5月下旬ごろにスーパーに並ぶ梅は青梅といって、緑の梅が多いですが、6月半ばを過ぎると少しずつ黄色い梅が多くなっていきます。追熟することで梅の実が黄色くなるからです。

買い物に出かけたときに「前までは緑の梅だったよね、今は黄色になってきたね!」そんな会話ができるだけでも食育です。

また、普段何気なく買うジャムを、「梅ジャム」にしてみるということも、ママができる食育です。梅の実自体が赤いわけではないことなど、大人が当たり前に感じることも、子どもにとっては初体験です。初めての感動を思い出しながら、この時期ならではの「梅」を感じてくださいね。

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この記事を書いたのは

石井千賀子|キッズ食育マスタートレーナー
東京都大田区在住。2児(9歳、7歳)の母。
出産後、薬剤師として医療に携わる中で、子どもたちの心身の不調が増えていることに気づく。また、自身の子どもの喘息・アトピー性皮膚炎など、子どもの健康に不安を感じることが増えた。興味関心の幅が広い幼児期に「食選力」を身につけ、自分の身体、そして将来、大事な人の身体も大切にできる大人になってほしい。その想いで、青空キッチン、食育イベントを大田区を中心に開催している。また、「食」から広がる世界は無限大であり、「食」を通し、子どもの探究心に火をつけ学ぶ意欲のある子どもを育てることに注力している。

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