産後の尿漏れ、気になってませんか?一度の出産で約10%が経験!加齢によって悪化することも

産後何年も経っているのに、子どもとかけっこをしたり、くしゃみや咳をしたりすると尿漏れすることはありませんか? 尿漏れは、何もせずに様子を見ているだけでは治らないそうです。鳥取大学医学部附属病院 泌尿器科 本田正史先生に受診の目安や治療などについて聞きました。

産後何年も続く尿漏れは「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」

産後何年も続く尿漏れは「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」が疑われます。また両方が合併していることもあります。

「腹圧性尿失禁」は、重い荷物を持ち上げたり、走ったりジャンプをしたり、咳やくしゃみをしたときなど、お腹に力が入ったときに尿が漏れるのが特徴です。

一方「切迫性尿失禁」は、急にトイレに行きたくなり、我慢できずに尿漏れしてしまうのが特徴です。トイレに行ったばかりなのに、急に用を足したくなることもあります。

出産3回以上で尿漏れするママは24%というデータも

ママ世代の尿漏れは、出産回数とも関係しています。

出産1回で尿漏れする人 9.7%

出産2回で尿漏れする人 16.3%

出産3回以上で尿漏れする人 24% 

というデータもあります。

尿漏れが気になるときは、骨盤底筋群を鍛える体操を継続

産後何年も続く尿漏れの対処法として有効なのは、骨盤底筋群を鍛える体操です。

骨盤底筋群とは、骨盤の底にある筋肉の総称です。骨盤底筋群は子宮、膣、膀胱、尿道、直腸といった臓器をハンモックのように支えていますが、出産したり、年齢を重ねることで筋力が低下して、尿漏れを起こすことがあります。

産後、助産師さんなどに骨盤底筋群を鍛える体操を教えてもらったママもいるでしょうが、尿漏れが気になるときは続けてください。

体操のポイントは正しく行い、毎日続けること

肛門に力を入れてキュっと締めるなど、体操の種類はいくつかありますが、正しく行うことがポイントです。我流で行わず、専門家が教える動画などを見ながら、毎日、続けましょう。イラストで解説されたパンフレットなどは体の動きがわかりにくいので、動画を見ながら行うのがおすすめです。

受診は泌尿器科へ。加齢によって悪化することもあります。早めの受診をおすすめします

尿漏れが気になるときは、泌尿器科を受診しましょう。ママ世代だと女性専用の泌尿器科のほうが受診しやすいと思います。

受診の目安は、次の2点です。

1 日常生活において尿漏れによって困ることがある・不快感がある

2 尿漏れパッドを1日3回以上替える

 

切迫性尿失禁と診断された場合は、内服薬が処方されます

急に用を足したくなって我慢ができない、切迫性尿失禁と診断された場合は、内服薬が処方されます。処方薬を服用すると、早い人だと1ヵ月ぐらいで尿漏れが改善されます。

腹圧性尿失禁と診断された場合は、まずは処方薬を服用したり、骨盤底筋群を鍛える体操をして経過観察します。症状が改善されないときは、一般的には尿道を吊り上げる尿道スリング手術が提案されます。手術時間は3040分ほどですが、数日の入院が必要です。

尿漏れは放っておいて治るものではないですし、加齢に伴い悪化することもあります。そのため気になるときは、早めに泌尿器科を受診してください。

あなたにはこの記事もおすすめ

初潮は小4。自身の経験を元に生理にイノベーションを起こす信近エリさんの吸水ショーツ開発秘話
世界中の吸水ショーツを集めて徹底研究し、納得のいく物作りを! 信近エリ 1985年福岡県生まれ。2004年からシンガ...

記事監修

本田正史(ほんだ・まさし)先生

鳥取大学医学部附属病院 泌尿器科准教授。専門は排尿障害。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構 がん治療認定医ほか。

取材・構成/麻生珠恵

編集部おすすめ

関連記事