目次
世界中の吸水ショーツを集めて徹底研究し、納得のいく物作りを!
信近エリ
1985年福岡県生まれ。2004年からシンガーソングライターとして活動し、ソニーミュージックやエイベックスから作品をリリース。その後、17年からは飲食店のクリエイティブディレクションや、 マーケティングコンサルなどを経験し、20年にネイトを立ち上げ、21年7月にフェムテックブランド「Rinē(リネ)」を起業し、販売をスタート。
吸水ショーツを試した瞬間、世界が変わった!
HugKum編集部(以下、HugKum):信近さんが吸水ショーツを作られたきっかけを教えてください。
信近エリさん(以下、信近):「私も初めは1ユーザーだったんですが、初めて使ったとき『なんて快適なんだ!』と感動したんです。生理は毎月くるものだし、こんなに快適なら、一番のお気に入りを見つけようと思い、ネットを駆使して世界中のいろんな国の吸水ショーツを取り寄せました。30種類くらいあったんですけど、それぞれにいいところと惜しいところがあって。
もっといいものを!と探し続けましたが、ある時『自分で作ったほうが早いな』と思ったんです。
そして、友人や周りの人たちにヒアリングをしてみると、『気に入るかどうかもわからないものに6~7000円は支払えない』という声も聞こえてきて。値段設定から逆算したら、かなり数量を積まないといい商品は作れないと気づいて……。なので、しっかり会社を立ち上げて、資金調達をして、理想の吸水ショーツを作ろうと決意しました」
フェムテック分野での投資家の方へのアプローチは難しかった
HugKum:資金調達もご自身でされたんですね!
信近:そうなんです。投資家の方々の前でプレゼンテーションをさせてもらったのですが、投資家の方は男性が多いので、まずは生理のことを知ってもらうことからだったんですが、吸水ショーツがいかに快適で、いかに最高か。それをどう伝えるかはかなり悩みました。
そこで、
『私の人生で生理以外のものに置き換えるとしたら、コンタクトレンズ。一生買い続けなければいけないと思っていたのに、レーシック手術をしたら、ある日突然不要に! なおかつ快適になった。これは人生のイノベーションです』
と説明したんです。すると、『あ、そういう感じ?』と、すんなり理解してくれました。
フェムテック業界は、女性ならではの目線で気づくことも多いので、男性に理解を得ることでさらに可能性も広がっていくと思っています。
既存のナプキンや、吸水ショーツを研究し、ニーズを掘り下げ!
HugKum:吸水ショーツを作る段階で苦労されたことはありますか?
信近:吸水量をどうやったら上げられるか、というのはかなり大きな課題でした。そこはやはり、約60年間、不動の生理用品として今も使われているナプキンの構造を研究しようと思い、さまざまなナプキンを試して研究したんです。肌が当たる真ん中部分を盛り上げてみたりとか、ナプキンの羽のように横漏れを防ぐにはどうしたらよいのかとか。
HugKum:ナプキンから得たことはありましたか?
信近:やっぱり吸水力を上げるには優れた素材が必須だと考え、圧倒的な吸水力を誇るハニカム構造の新開発吸水シートを使用することにしました。
フルタイプは最大110ml ( およそナプキン11枚分 )、レギュラータイプは最大60ml(およそナプキン6枚分)まで吸水することができ、履いたときの不快感がないように設計しています。
そして、横漏れを防止するために、サイドを防水仕様の生地で覆いました。吸水力にはかなり自信があります!
ナプキンを研究する中で気づいた母乳パッドの存在
HugKum:吸水ブラレットはショーツの開発の中で生まれたんですよね?
信近:ナプキンを研究する中で、母乳パットの存在を知り、使ったことのある友人にヒアリングをしました。すると、『つけていても漏れてしまう』『つけていると、母乳パッドの形にかぶれてしまう』なんて声があって。これは吸水ショーツと同じ原理だと思い、商品開発を始めました。
HugKum:吸水ブラレットと普通のブラレットの違いはどんなところですか?
信近:サイドにずらして授乳をする時に、生地が伸びてしまわないよう、普通のブラにはついていない、バインダーで周りを囲み、形に高さも出しました。高さがあることで、トップが出てしまうのを防ぐことができます。
ヒアリングをすればするほど、授乳は生理以上に個人差があることに気づきました。具体的には、授乳前後で胸の大きさが違うことや、授乳の頻度、出る母乳の量の違いなどです。
一日に何度も母乳パッドを交換する人もいるということなので、少ない人は吸水ブラだけ、多い人は母乳パッドと併用するなど、その人・その時に合わせた使い方をしてもらえればと思っています。
小学4年生で初潮。ナプキンをトイレに持って行くのが恥ずかしかった……
自身の体験を活かした商品は、大人ももちろん、初潮が来たお子さんにも使ってほしい!
HugKum:どんな方にRinēの商品を使って欲しいですか?
信近:会社のテーマでもあることなんですが、生理やPMSなど、女性特有のゆらぎのせいで、優秀な人がパフォーマンスを発揮できなくなるのはもったいないと思っているんです。仕事もそうですが、育児には休みがないじゃないですか。そんな日々頑張っている女性のみなさんに使って欲しいです。
HugKum:大人はもちろんですが、初潮を控えた子どもにも良さそうですね!
信近:そうなんです。私自身、初潮が小学4年生で、友達の中でも一番早くて。
ナプキンを持ってトイレに行くことが恥ずかしかったり、漏れて洋服についてしまうかもという不安感があったり、毎月ストレスを感じていました。
Rinēの吸水ショーツは、一日中はいたままでも大丈夫なくらいの吸水力なので、センシティブな時期の気持ちにも寄り添うことができると思います。一番小さいXSサイズがジュニアサイズになるので、ぜひ、お子さんにも使ってみてもらいたいです。
HugKum:なるほど! では、親子でおそろいにできそうですね。
信近:はい。あとは、抗菌防臭機能を備えた生地を使用していて、アンモニアに関する消臭も99%カットするので、尿漏れが気になる方にも最適です。なので、親子三世代で使っていただいたり、幅広い年齢層の女性におすすめしたい商品です。
HugKum:まずはママがお試しして、子どもや親に、というのがよさそうですね。
信近:世代を問わず、さまざまな女性に試していただき、ゆらぎのない日々を過ごせるよう、これからも足らない物を補っていけたらと思っています。
ライター本間がRinēの吸水ショーツを試してみました!
この取材をするにあたり、まずは吸水ショーツ未経験の私もお手頃価格(約1000円)のものを購入し、試してみました。結果は、控えめに言って最高(笑)。
吸水ショーツを試したら、良いものが欲しくなる!
初めはナプキンがいらないということだけでよかったのですが、使っているうちに「吸水量が足りていないかも」「吸水部分が分厚過ぎて乾かないし、かさばる」「着るボトムを選ぶ」など、使ったからこそ見えてくることも多々。
信近さんの言っていた「それぞれにいいところと悪いところがある」という言葉はこういうことなんだと実感したのです。
Rinēの吸水ショーツは普段の日と変わらない
そして、Rinēの吸水ショーツも早速お試し。一番驚いたのが「いつものショーツと何も変わらない」ということ。かさばるわけでもなく、ボトムを選ぶわけでもない。しかも、生理二日目も余裕で過ごせる安心感! ナプキンを切らさないように買い、洗面所やトイレに置き、なくなったら補充するという行為からも解放されそうです。
こんな素晴らしい吸水ショーツを作ってくれてありがとう!!!信近さん!!!
認知度は高くなっているものの、未だユーザー数は多くないと言われている吸水ショーツ。毎月の生理が今までよりもラクになること必至。未経験の方は、ぜひ、お試しあれ。
取材・文/本間綾
カメラ/黒石あみ
構成/HugKum編集部