【映画ライターが観た】宮崎駿監督作『君たちはどう生きるか』は隅々までびっくり仰天の快作!子育て世代に観てほしい

夏休み映画の決定版と言っても過言ではない『君たちはどう生きるか』。宮崎駿監督ファンでなくても、多くの方々が公開を待ち望んでいたことだと思います。しかも、鈴木敏夫プロデューサーが名言したとおり、映画の概略を含め、場面写真などの前情報も皆無。公式サイトですらないという異例な作品でしたが、本日、朝一番に観に行って、ようやくその全貌を把握できました。

巨匠最後の監督作は、熱量高めの冒険ファンタジー!

いやあ、やっぱり宮崎駿監督作は決して期待を裏切らない!『君たちはどう生きるか』は隅々までびっくり仰天の快作でした。これが引退宣言した82歳の監督作だなんて信じがたいくらい、みずみずしくて圧倒的なパワーを放つ冒険ファンタジーとなっていましたが、一切、前情報がなかった分、観ている途中で、情報過多になりすぎて、ちょっとパニクったくらいです(苦笑)。

というか、実はこれ、いろんな情報を入れないで観に行ったほうがいいかなと思っています。なので、今回は、ネタバレを極力避けつつ、Hugkumで子育て中のママパパにとっても注目ポイントや見どころを少しだけご紹介します。

※ここから先は、解禁されたキャスト情報も含め、ネタバレありなのでご注意ください。

主人公に山時聡真、菅田将暉、柴咲コウほか豪華声優キャストが参加

前情報としてあったのは、鳥のビジュアル1点と、宮崎監督が少年時代に読んで感銘を受けたという吉野源三郎の同名小説「君たちはどう生きるか」からタイトルを取ったことくらいでしょうか。本日映画を観て、ようやく時代設定が太平洋戦争中の1944年ということが判明しました。

主人公は、戦時下に生きる少年・牧眞人(まき・まひと)で、声を演じるのは、俳優の山時聡真。子役出身で、朝ドラ「エール」をはじめ映画やドラマに多数出演している子役出身の注目株です。

脇を固めるのが、菅田将暉、柴咲コウ、あいみょん、木村佳乃、木村拓哉、竹下景子、風吹ジュン、阿川佐和子、大竹しのぶといった豪華キャストたち。とはいえ、最後のエンドクレジットを見るまで、まったく気づかない人もいて、そういうサプライズなキャスティングもナイスです。また、ネットで予想されていたとおり、主題歌は米津玄師の「地球儀」でしたが、きっとこの夏ヘビロテで聴くことになりそうな予感。

少年と2人の母親についてのストーリーも描かれる

主軸となるストーリーは、少年がいろいろな体験をして成長していくという冒険譚です。宮崎アニメの過去作を思わせるオマージュがふんだんに盛り込まれているし、いつもながらいろんな造形のキャラクターが登場するという心躍るファンタジーとなっているので、まさにファミリーで観れば、大いに盛り上がれそう。『風の谷のナウシカ』(84)が虫の世界を描いているとすれば、今回はいろいろな鳥が登場します。メインビジュアルのアオサギに、インコ、ペリカンなど、鳥まみれ。きっとお子さんは大喜びするのではないかと。

Hugkum的には、少年・眞人と2人の母親が織りなす親子のエピソードに注目していただきたい。眞人は心から慕っていた母親を亡くすという悲劇を体験していて、その後、後妻となった新しい母親と交流していくことに。

彼女は眞人の亡き母とそっくりで、どうやら眞人と父親との間に第一子を妊娠していますが、母を亡くした悲しみを抱える眞人は、そこをすんなり受け入れることができないようです。

そんな思春期の繊細な年頃である眞人の心の揺れがなんともリアルに描かれていて、子育て中のママパパからすると、共感するところも多そう。そんな眞人が、冒険を経て、どう心を変化させていくのでしょうか。

ただ、本作では、そこをありがちな親子関係の美談とせず、予測不能なファンタジーに落とし込むことで、見たことがないような構図のドラマが繰り広げられていきます。一筋縄ではいかない宮崎アニメ。それぞれに登場人物のキャラクターも濃いし、決して勧善懲悪の物語になっていないところが逆にリアル。まさに宮崎監督の真骨頂といえそうです。

これ以上は詳細をお伝えしませんが、最後に1つだけ。宮崎監督はいつの時代も、子どもたちの豊かな未来を願い、映画を作ってきました。そこは今回もまったくブレてないと痛感しました。

ちなみに、「君たちはどう生きるか」は映画の原作ではありません。劇中では絶妙な小道具として登場しますが、映画は完全なオリジナルストーリーとなっています。ただ、小説は1937年に発行されたものですが、この映画を観終わったあと、「君たちはどう生きるか」というテーマを突き付けられたような気分になるんです。折しも、ロシア・ウクライナ戦争や世界的なパンデミックが起こるなど、もはや現実が想像を超えてきていますよね。そんななか、子どもたちは、どうやって生きていけばいいのか、そこに対するヒントをもらえるような気がします。

宮崎監督は、それを主人公の眞人に託しています。決してわかりやすい物語ではなく、噛めば噛むほど味わい深い物語となっている本作ですが、未来は他人に与えられるものではなく、自分の手で切り開けるようにと、子どもにいろんな可能性を求めているんだと思います。そういう巨匠の願いも伝わってくるからこそ、本作をぜひ家族で観ていただきたい。夏休みにぜひ映画館へお出かけください。

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『君たちはどう生きるか』は7月14日(金)より公開中
原作・脚本・監督:宮崎駿 音楽:久石譲 主題歌:米津玄師
声の出演:山時聡真、菅田将暉、柴咲コウ、あいみょん、木村佳乃、木村拓哉、竹下景子、風吹ジュン、阿川佐和子、大竹しのぶ…ほか
文/山崎伸子

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