自分と同じ基準ではもう遅い! 子どもの熱中症は大人よりも早く起きてしまいます
先日、複数の親子連れが参加される外遊びの会で、未就学児のお子さんだけが熱中症になり、病院に搬送された例に遭遇しました。その親御さんはもちろん暑さ対策もしていました。残念ながら自分の辛さを正確に表現できなかったり、水分の必要性を判断できない幼児のケアは本当に難しいのが実情です。
サントリー食品インターナショナルは、気象専門会社のウェザーマップと共同検証実験を行い、その結果子どもの身長の高さで計測した気温が大人と比較して+7℃程度になるというデータを公表しました。
この検証実験では、大人の胸の高さ(150cm)では気温31.1℃なのに対し、子どもの胸の高さ(80cm)では気温38.2℃!なんとその気温差は7℃程度にもなっています。大人が「今日の暑さは厳しいな」と思っているのが、子どもはさらに7℃暑いなんて…。衝撃的な数値です。
この結果から、大人よりも背が低い子どもにおいては熱中症の危険度が高まることが推測されます。
この結果に対し、ご自身も幼い子どもを持つ熱中症予防管理者・指導員の
熱中症対策のポイントは、水分補給の工夫と場所選び
では、どのように対策すれば良いのでしょうか?
多胡さんのおすすめポイントは次の3つ。
(1)移動中も日陰ファースト! 海やプールにも、実はリスクが。
熱中症のリスクがある場所は、外遊びだけとは限りません。コンクリートやアスファルトなどのフラットな地面は照り返しが強く、ビルやマンションなど側面からも照り返しは起きています。移動中もできるだけ日陰を選ぶ。そして実は、屋外プールや海での遊びも盲点です。直射日光を浴びているだけでなく、プールサイドや水面からも照り返しがあります。水中では発汗の感覚がありませんが、確実に汗をかいているので、熱中症対策は重要です。
(2)目安は30分。「遊びと水分補給をセット」の習慣化を
暑い日の熱中症対策の基本は、「長時間日なたにいない」「汗で失われている水分と塩分の摂取」です。特に子どもは遊びに熱中しがちで、突然遊びを中断されることを嫌がります。遊びと、30分おきの日陰での休憩と水分・塩分補給をセットにして子どもに習慣づけてあげれば、熱中症対策が自然と身に付いてくると思います。
またコロナが落ち着きを見せ、子どもがお友達と遊ぶ機会も増えたと思います。より遊びに夢中になり水分補給を面倒くさがることもあるかもしれません。例えば、水分補給に適したドリンクを何種類か紙カップに入れたものを並べておいて、子どもたちに好きなカップを選んでもらう。その中に入っている飲料は何かを当てるといったクイズをやるなど、答えを考えながら飲めるようなゲーム性やイベント性を持たせてみる。遊びも水分補給も「みんなで楽しく」が今年の対策の肝になると思っています。
(3)真夏の活動には凍らせた飲料を!
暑い日には身体冷却と水分補給の両方で活躍する凍らせた飲料を持ち歩くのもいいですね。
「熱中症かどうかのサインの例には、立ちくらみやめまい、筋肉のこむら返りや手足のしびれなどがあります。そんなときは、なによりもクールファースト。涼しい環境に移動させ、脱衣と冷却、水分・塩分補給を行いましょう。この段階で、意識がない、自力で水が飲めない場合は、ただちに医療機関を受診してください」(多胡さん)
サントリー食品インターナショナルでは、「GREEN DA・KA・RA」ブランドの熱中症対策啓発活動の一環として、大人に比べ、地面からの距離が近く照り返しの影響を受けやすい子ども特有の暑熱環境を「こども気温」と名称。同ブランドのTV-CMにも出演する尾形貴弘さん(お笑いトリオ・パンサー)を起用した「こども気温」啓発動画も制作し、サントリー公式YouTubeチャンネルでも発信しています。
自分の体調不良の状態をうまく訴えることができない子どもに対しては、大人がその様子をしっかり観察することが大事。まだまだ暑い日は続くので、これまでの対策に加えてこども気温をぜひ意識してみましょう。
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文/北本祐子