「神無月」と「神在月」の違いは? 出雲に神々が集まる理由と、開催される神事一覧。2023年の日程もチェック!

「神社に行くなら神無月を避けたほうがよい」とされているのをご存じでしょうか。一方で、出雲大社には多くの観光客が集まるその理由とは? 神無月と神在月が示す時期や違い、よくある疑問をまとめて解説します。関連行事も確認し、神無月と神在月への理解を深めましょう。

神無月と神在月の違いと意味は?

神無月と神在月。両者はどちらも同じ時期を指しますが、ある地方に限り「神在月」と呼びます。暦上の意味と、神在月と呼ぶ地方について解説します。

いずれも旧暦の10月を指す

神無月(かんなづき)神在月(かみありづき)は、いずれも旧暦の10月を指した言葉です。

旧暦とは月の満ち欠けに太陽の動きを取り入れた暦で、1873年(明治6年)に現在の太陽暦(グレゴリオ暦)が採用になるまで使われていました。旧暦と太陽暦には1年で約11日のずれがあるため、旧暦が指す時期は年によって異なります。

1月を「睦月(むつき)」というように、旧暦で使われていた「和風月名(わふうげつめい)」を記載しているカレンダーを見たことがある人もいるかもしれません。神無月は和風月名の一つで「神の月」を意味するといわれています。

一方で、旧暦の10月は、日本全国の神々が出雲に集められる時期です。全国的には神がいなくなる月という意味で「神無月」と呼ぶという説も存在します。

神在月は出雲地方の呼び方

一説によると、旧暦10月の神無月になると、島根県にある出雲大社には全国各地から神々が集うといいます。この説から、出雲地方に限っては神無月ではなく、神々の存在を意味する「神在月」という表現を用いるのが一般的です。

出雲大社には「縁結びの神様」として名高い「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」が祀られています。従って全国の神々が出雲大社に集まる主な目的は、縁結びの相談ともいわれているのです。

参考:出雲大社と大国主大神 | 出雲大社

神在月(神無月)に出雲大社で開催される行事

神在月になると、出雲地方の各神社では全国各地の神々を迎える・送る行事が実施されます。ここでは出雲大社の主な行事内容と、2023年の開催予定日を紹介します。

神在月の出雲
神在月の出雲

神迎(かみむかえ)神事・神迎祭

神々を迎える神事で、毎年旧暦の10月10日、神在祭(かみありさい)の前夜に実施されます。2023年は11月22日(水)19時からの開催が予定されており、一般客の見学も可能です。

神迎神事が行われるのは、出雲大社から西へ約1kmに位置する「稲佐の浜」と呼ばれる海岸です。浜に御神火が焚かれ、約20~30分の神迎神事がスタートします。

神迎神事の終了後には、参拝者とともに「神迎の道」を通って出雲大社へ向かいます。出雲大社に到着すると、神楽殿にて「神迎祭」が実施される流れです。

一般客の見学が認められている一方、観光目的のイベントではないため座席はありません。斎場となる浜には、わらを編んでつくられる菰(こも)が敷かれますが、神様の通り道なので踏まないように注意しましょう。

神在祭(かみありさい)

全国から集まった神々は旧暦10月11~17日に「神議り(かむはかり)」という話し合いで、縁結びや翌年の収穫といった「神事(かみごと)」を決めるとされています。

神議りが行われるのは「上宮(かみのみや)」という出雲大社の摂社です。また、神々の宿泊場所となる出雲大社本殿両横の「十九社」でも、期間中に行事が開催されます。

これらの催しが「神在祭」で、静けさを保つために楽器などは使いません。期間中は家の建築も禁止されていることから、地元では「御忌祭(おいみさい)」とも呼ぶそうです。

神在祭は旧暦10月11日・15日・17日に合わせて、毎年開催されます。2023年の開催予定日は、11月23日(木・祝)・27日(月)・29日(水)です。神在祭への一般参加は不可ですが、出雲大社境内での参拝は認められています。

縁結大祭(えんむすびたいさい)

毎年、旧暦10月15日・17日の神在祭と併せて実施される祭典です。縁結大祭では、出雲大社に祀られた大国主大神を含む全国から集った神々に対し、世の人々の良縁を祈る言葉が伝えられます。

2023年は11月27日(月)・29日(水)に開催する予定で、事前に申請すれば一般客の参列も認められています。秋ごろに出雲大社の公式サイトに詳細が掲載されるようなので、気になる人はチェックしましょう。

神等去出祭(からさでさい)

神等去出祭は、神々をそれぞれの地域へ送る行事です。旧暦の10月17日にあたる日の16時ごろ、神々の霊を招き降ろすための「神籬(ひもろぎ)」が、十九社から拝殿へと移動します。1人の神官によるかけ声に合わせ、全国の神々は出雲大社を去るといわれています。

出雲大社では旧暦の10月26日に再度、神等去出祭を行うのが基本です。2回目の神等去出祭では、全国の神々が出雲を去ったことを大国主大神に報告します。

2023年の神等去出祭は1回目が11月29日(水)、2回目を12月8日(金)に予定されています。神等去出祭を含む神事には、一般には非公開のものも少なくありません。公開される神事の場合も私語・撮影などは控え、厳粛な雰囲気を壊さないよう配慮が大切です。

参考:令和5年出雲大社祭日表 | 出雲大社

神無月と神在月に関するQ&A

神無月と神在月には、全国各地にいる全ての神が出雲大社へ向かうのでしょうか。最後に、神無月の例外を紹介します。

神無月に出雲大社に行かない神はいる?

神無月になっても、全ての神々が出雲大社に集まるわけではないという説もあります。出雲大社に行かないとされるのは、以下のような神々です。

●天照大御神(あまてらすおおみかみ)
●戎神(えびすしん)
●竈神(かまどがみ)

太陽にも例えられる天照大御神は、伊勢神宮に祀られています。全国各地の神々をまとめる立場で、皇室の祖先ともいわれる神です。七福神に数えられる戎神や、かまどを護る竈神は、神無月で出雲に行く神々の留守を守っているようです。

神無月・神在月は神々が話し合いをしている

神無月と神在月は、いずれも旧暦の10月を表す言葉で、時期はその年によって異なります。

二つの呼び方がある理由は「旧暦10月には全国各地の神々が出雲大社に集まる」という説によるものです。神々がいない地域では「神無月」、神々が集まる出雲地方では「神在月」というように、神の存在によって呼び方が異なります。

縁結びを含めた話し合いのために神々が集まるといわれる出雲大社では、神在月に多くの関連行事が実施されます。一般客が参加できる神事もあるので、マナーを守って神在月の行事を見学しましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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