「時代祭」は2023年も開催予定。平安遷都から明治維新までを仮装行列で再現!【HugKumお祭りガイド】

平安神宮のお祭り「時代祭」は2023年も10月に開催予定です。緻密な時代考証が行われた仮装行列が見どころで、明治維新から平安遷都の時代までを遡ります。来訪に向けて、祭りの歴史や見どころ、有料観覧席の情報などをまとめました。
<画像:豊臣公参朝の様子を模した行列>

時代祭(じだいまつり)の概要と2023年の開催予定は?

平安神宮の大祭・時代祭(じだいまつり)とはどのような祭りなのでしょうか。2023年の開催日程もあわせて見ていきましょう。

平安神宮の大祭・時代祭

時代祭は京都・平安神宮の大祭で、毎年10月22日に開催されます。平安神宮は1895(明治28)年に、平安遷都1,100年を記念して創建されました。その記念祭での行列が時代祭の始まりです。

京都が1,000年以上の間、日本の首都として培ってきた伝統工芸の技を基に、時代ごとの歴史風俗を披露する行列が見どころです。明治維新から平安遷都の延暦時代までを順番に遡り、その時代の衣装をまとった2,000人の市民が街中を歩きます。

京都市左京区の平安神宮・應天門(重要文化財)
京都市左京区の平安神宮・應天門(重要文化財)

京都の復興と平安を祈る

時代祭が行われる10月22日は「京都の誕生日」といわれており、794(延暦13)年の平安遷都の際に桓武天皇が入京した日です。

時代祭が行われる平安神宮は、明治維新で都が東京へ移り、衰退してしまった京都の町おこし事業の集大成として創建されました。「平安」という言葉は平安京の名称であり、京都復興の思いを後世に伝えて平安を祈るという意味もあります。

1895年(明治28年)の第1回「時代祭」- 淡交社「写真集成・京都百年パノラマ館」より 
1895年(明治28年)の第1回「時代祭」- 淡交社「写真集成・京都百年パノラマ館」より Wikimedia Commons(PD)

行列の最後は桓武天皇と孝明天皇の鳳輦(ほうれん:神輿)が大極殿に入り、大極殿祭並還幸祭が行われます。大極殿とは、天皇が重要な儀式を執り行う朝堂院の主殿のことです。平安神宮の社殿が大極殿といわれるのは、平安京の朝堂院を8分の5サイズで再現したものだからです。

2023年も例年通り10月22日に開催

時代祭は、2023年も10月22日に開催されます。前後の日程も含めて、スケジュールは以下のようになります。

●10月15日(日)
13:30 時代祭宣状祭

●10月21日(土)
10:00 時代祭前日祭

●10月22日(日)
※雨天は翌日に延期 10月23日(月)も雨天の場合は中止(当日早朝に判断)
7:00 時代祭
8:00 神幸祭(しんこうさい)
10:30 行在所祭(あんざいしょさい)
12:00 行列進発
16:00 大極殿祭並還幸祭

●10月23日(月)
10:00 時代祭後日祭

時代祭祭事スケジュール

時代祭の見どころは歴史を模した「行列」

時代祭の見どころは、何といっても千年の歴史を表現した「行列」です。京都市民総出の平安講社の活動も含めて紹介します。

明治維新から平安遷都まで

時代祭の行列の先頭は、明治維新の時代を表す維新勤皇隊列と維新志士列です。その後には江戸時代・安土桃山時代・室町時代・吉野時代・鎌倉時代・藤原時代と続き、最後の時代は平安遷都が行われた延暦時代です。

行列には、各時代の有名な事件・人物が登場します。例えば豊公参朝列(ほうこうさんちょうれつ)は、豊臣秀吉が息子・秀頼を連れて朝廷に出仕したときの行列です。また、楠公上洛列(なんこうじょうらくれつ)は、楠木正成が醍醐天皇を迎えて入京する様子を表しています。

行列には歴史上の人物だけではなく、庶民や馬も登場するのが特徴です。室町洛中風俗列や中世婦人列などは、その時代の風俗が分かるので楽しめるでしょう。

豊公参朝列。檳榔毛唐庇車(びんろうげからひさしぐるま)という儀式用牛車で、屋根は蒲葵(びろう)の葉で葺かれている。
豊公参朝列。檳榔毛唐庇車(びんろうげからひさしぐるま)という儀式用牛車で、屋根は蒲葵(びろう)の葉で葺かれている。Photo by PlusMinus, Wikimedia Commons

最後は桓武天皇と孝明天皇の神輿

行列の最後は、平安神宮の御祭神である桓武天皇と孝明天皇を祀った鳳輦(ほうれん)と呼ばれる神輿です。桓武天皇は平安遷都を行った天皇、孝明天皇は江戸時代最後の天皇です。前の鳳輦に孝明天皇、後ろの鳳輦に桓武天皇が祀られています。

先行した各時代の行列は、全て両天皇のお供という位置づけです。時代祭の行列の意味は、両天皇が京の街を見回って、平安神宮へ帰って行くまでをお供するという意味を持っています。行列が平安神宮に到着すると、両天皇の鳳輦は大極殿へ奉安されます。

時代祭の鳳輦。東本殿の桓武天皇、西本殿の孝明天皇の二基がある。
時代祭の鳳輦。画像中、右が東本殿の桓武天皇、左が西本殿の孝明天皇の鳳輦。Photo by PlusMinus, Wikimedia Commons

綿密な時代考証と平安講社

時代祭は歴史上の人物や庶民が登場し、その時代の風俗を楽しめる祭りです。そのためには、一つひとつの衣装や小物にも緻密な時代考証が行われています。学者や見識者だけではなく、着付け・保管・クリーニングなど大勢の人々が支えています。

行列の担い手は、全市民が奉仕する平安講社です。全市が11社に分けられており、各講社は複数の旧学区から成っています。各講社が行列を担当し、配役は輪番制です。毎年担当する学区もあれば、10年に1度担当する学区もあります。

このように時代祭が京都市民の奉仕で成り立っていることは、平安神宮の成り立ちが「京の町の復興」であったことを思えば納得できるでしょう。

時代祭をより楽しむなら有料観覧席も

行列を見るには、有料の観覧席も用意されています。申し込んでみて席が確保できれば、旅行の日程を立てやすくなるはずです。

有料観覧席を取得するには

有料観覧席は以下の3カ所に設置されます。時間は、行列の先頭が通る予定時刻です。

●京都御苑…12:00頃
●御池通(烏丸御池)…12:50頃
●平安神宮道…14:20頃

料金は一般席が1枚あたり3,500〜4,500円で、単体または団体で購入が可能です。また、手数料や送料がかかる場合があります。購入方法など詳しい情報はリンクの公式サイトを確認しましょう。

令和5年「時代祭」有料観覧席のご案内

吉野時代の行列は、楠公上洛列の後、中世婦人列と続く。
吉野時代の行列は、楠公上洛列の後、中世婦人列と続く。 photo taken by Cookie4869, Wikimedia Commons

京都三大祭の1つ・時代祭を満喫しよう

京都三大祭の一つ、時代祭の仮装行列は明治維新から平安遷都まで遡る一大時代絵巻です。祭りを楽しむとともに、各時代のできごとや歴史上の人物・風俗を学べるよい機会になるでしょう。

時代祭は毎年10月22日に行列が行われます。平安京に遷都してから1,000年もの長きにわたって日本の首都であった、京都の魅力が詰め込まれています。有料観覧席も用意されているので、秋の旅行の日程に取り入れてみるのもよいでしょう。

時代祭を観覧して、今後の1,000年も平安な時代が続くことを祈ってみてはいかがでしょうか。

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構成・文/HugKum編集部

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