女子の大学進学率は、地域によって男子を上回る勢いを見せています。文部科学省の調査によると、50.14%の女子が大学に進学する時代。特に東京に暮らす女子の進学率は他の道府県を圧倒していて、男子の進学率すら超えています。では習い事に関してはどうなのでしょう? 今回は男女の習い事の違い、最近の女の子に人気の習い事に注目してみました!
女の子の習い事選び。人気の習い事とメリットは?
女の子の習い事と言えば、ピアノや習字など文科系の習い事が多いイメージがあります。平成も終わり令和が始まろうとしている現在、女子に人気の習い事と言えば、何になるのでしょうか?
女の子の習い事、一番人気はピアノなどの音楽
ベネッセ教育総合研究所が、幼児から高校生の子どもを持つ母親(16,000人近く)に行った調査『学校外教育活動に関する調査2017- 幼児から高校生のいる家庭を対象に-』があります。調査の中では、スポーツ活動・芸術活動で、女子に人気の習い事がランキングされています(スポーツ系の習い事については後述します)。まず芸術活動の習い事で女子に人気の内容は、
- 第1位・・・楽器の練習・レッスン(23.5%)
- 第2位・・・絵画/造形(4.1%)
- 第3位・・・音遊び/リズム遊び(音楽教室)(3.7%)
となっています。また、バンダイが行った『バンダイこどもアンケートレポート Vol.187』も参考になります。この中で、女子(3~12歳)を育てる保護者(750人)に聞いたわが子の習い事ランキングが発表されています。
- 第1位・・・習い事をしていない(27.3%)
- 第2位・・・ピアノ(23.7%)
- 第3位・・・水泳(20.4%)
- 第4位・・・英会話(15.1%)
- 第5位・・・書道(13.3%)
二つの調査結果のランキングからもわかる通り、ピアノに代表される音楽の習い事は、今でも女子に人気があると分かります。
末永雅子著『親が習い事に求めるもの―ピアノを習わせている親への調査に基づいて―』という論文があります。その中では、親が子どもにピアノを習わせる理由(動機)について書かれています。
これによると、子どもに将来、音楽の世界で専門性を生かした職業に就いてほしい、と考える親は少数派でした。むしろ「楽器演奏の楽しさを知ってほしい」「楽器を趣味に持つ豊かな人生を歩んでほしい」と願う親の方が多いそうです。
他には、「楽器の演奏を通じて自信や集中力、根気、忍耐力を身に付けてほしい」など、情操教育を期待している親も多いです。課題曲をクリアしたり発表会で弾ききったり、達成感を味わってほしいと考える親も目立ちます。学校の行事や授業などで活躍できる可能性がある点も、ピアノの習い事は魅力的ですよね。
女の子には水泳も人気!スポーツの習い事をさせるメリット
一方で運動系で女子に人気の習い事は何でしょうか? 先ほど見たベネッセ教育総合研究所の調査で、女子に人気の運動系の習い事を見てみましょう。
- 第1位・・・スイミング(18.1%)
- 第2位・・・ダンス(6.7%)
- 第3位・・・体操教室・運動遊び(5.9%)
スイミングは筆者も子どものころ習っていました。通っていたスイミング教室には女子も多かったです。学校の水泳の授業でとびきり速く、美しい平泳ぎを披露していた生徒は、女子でした。今も昔もスイミングは、女子に人気の習い事として定着しているようです。
第2位はダンスです。ランキングにはバレエという項目が別にあるので、バレエの習い事にはここには含まれていないことがわかります。バンダイの調査でも、女子に人気の習い事ランキング6位がダンス(9.6%)、7位がクラシックバレエ(6.4%)という結果でした。バンダイの調査では、
<「ダンススクールに通わせてみたいです。TV に出ているEXILE や少女時代などを見ながら一緒に踊っているからです」>(『バンダイこどもアンケートレポート Vol.187』より引用)
といった保護者の声も紹介されています。この場合のダンスとは、『Eダンスアカデミー』(NHK)で放送されているキッズダンスや、小学校の体育で必修化されたリズムダンス(ロック)などのイメージですね。
体を動かす習い事のメリットについて調べてみると、例えば、別府さおり・阿久根雅さんが書いた『幼児の習い事に関する研究 ―性差に着目した考察―』という論文も参考になります。体を動かす習い事を通じて、保護者はわが子に対し、
- 「各習い事に関する技術・正しいやり方が身に付いた、上手になった」(75.9%)
- 「友だちができた」(39.1%)
- 「体力が付いた」(33.3%)
- 「集中力が身に付いた」(24.7%)
などと実感しているそうです。
またベネッセ教育総合研究所『学校外教育活動に関する調査』(2009年版)でも、駒澤大学教授・片岡栄美さんの言葉が紹介されています。「スポーツの習い事は、体づくりをサポートし、スポーツそのものに対する関心を育てる意味がある」そうです。
一般的に言えば、やはり男子にはスポーツ、女子には芸術活動といった傾向が見られますが、子どもに体を動かす楽しさを十分に味わってほしいと思う親の考えは、男女問わず共通した願いのようです。
女の子の習い事はいつから始める?
スポーツではスイミング、芸術活動ではピアノが、女子の習い事として安定した人気を誇っていると分かりました。スポーツではダンス、芸術系では英会話など、時代の変化を受けた習い事も目立ってきています。では、子どもの成長にメリットがあると言われる習い事、いつから始めさせるべきなのでしょうか?
ベネッセ教育総合研究所の調査では、子どもの年齢別に、習い事をさせている家庭の割合がわかります。女子について言えば、3歳でスポーツの習い事をする子どもの割合は14.0%。芸術系は20.8%となっています。さすがに子どもが3歳の段階では、習い事をする子どもの方が少数派でした。
しかし、その数は子どもが4歳、5歳を迎えると、大きく変わってきます。同じ研究所の別の調査は、子どもが4歳になった段階で、何らかの習い事をさせている家庭が5割近くに。5歳児になると7割の家庭が習い事を始めさせています(男女共通)。
4歳〜5歳になると、子どもにも自立心が芽生え、子ども自身の好みも出てくる年頃です。何か習い事をスタートするタイミングとしては、良いのかもしれません。
女の子におすすめしたい習い事
さまざまな調査を見ると、習い事に関しては男の子、女の子と性別によって、子どもにさせる習い事を親が分けている印象が見て取れます。男の子はスポーツ系、女の子は芸術・文化系の習い事といった感じです。個人差はあると思いますが、調査結果を踏まえて、女子に人気の習い事をピックアップしてみました。
【1】ピアノ
昔も今も、女子に人気のある習い事はピアノです。この記事で紹介した複数の調査でも、ピアノが女子の習い事としてNo.1に。
末永雅子著『親が習い事に求めるもの―ピアノを習わせている親への調査に基づいて―』という論文も、一度この記事の中で紹介しました。その中では、「ピアノを習わせて良かったか?」との問いに、98%の保護者が「はい」と回答しています。良かったと感じる理由はさまざまですが、習っている本人はもちろん、親にとっても満足度の高い習い事のようです。
【2】バレエやキッズダンス
バレエやキッズダンスなど、体を動かす習い事も人気です。特に学校の体育で必修化されたダンスは、人気が高まっています。ダンスに関しては、
<自己の心身を解き放して,リズムやイメージの世界に没入してなりきって踊ることが楽しい運動であり,互いのよさを生かし合って仲間と交流して踊る楽しさや喜びを味わうことができる>(文部科学省『小学校体育(運動領域)まるわかりハンドブック』より引用)
など、教育にも大きな影響を持つとされています。ヒップホップやロックなどのダンスを習っていれば、学校の授業でも率先して踊れる子どもになるはず。女子が始めるスポーツ系の習い事として、有力な選択肢になっているようです。
【3】スイミング
女子のスポーツ系の習い事として、スイミングはどの時代も人気があることがわかりました。水泳も体育の授業に昔から組み込まれています。学校の授業で活かせる習い事は、体育の成績に反映されるため、「実益」も期待できるメリットがあります。また成長期の子どもにとって、関節や骨に負担をかけずに全身の筋肉がバランスよく鍛えられる水泳は、男女問わず小さいうちから習わせておきたいというご家庭が多いようです。
こちらのHugKum編集部が実施したアンケート結果からもわかる通り、水泳は学習系の習い事やピアノなどの芸術系の習い事と組み合わせて通っている子どもが多い傾向がありました。
【4】合気道や空手、柔道、剣道、弓道、なぎなたなど
学校の授業つながりで言えば、武道も女子の習い事として適しているかもしれません。文部科学省によると、武道を習うメリットは、武術の基本動作や技が身に付くだけではないと言います。勝敗を競う楽しさや喜び、武道の伝統的な考え方の理解、相手を尊重する気持ちなども育まれるのだとか。インターネット上では、中学校の体育で必修化されている武道の存在を知らずに、
「中学校の体育で女子にも武道があるの?」
と驚きの声をあげる保護者の存在も見受けられます。あらかじめ習い事として何らかの武道をたしなんでいれば、中学校の1年生、2年生で必修化される武道(柔道、剣道、相撲、地域によっては弓道やなぎなた)が何であっても、子どもが苦手意識を持たずに済むかもしれません。
「ちょっと女子に武道は……」
という家庭こそ、小学生の段階であえて習い事で武道を体験させ、中学校の体育に備えるという考え方もあるのかもしれません。
以上、女の子の習い事についてまとめてみました。個人差はあるものの、全体の傾向ははっきりとわかりました。人気の習い事を選ぶか、あえて別の習い事に挑戦してみるか、など悩む方も多いかもしれません。時間的にも予算的にも何を習うのかは子どもの興味やご家庭次第ですが、子どもの世界を広げてあげることにも繋がるので、無理のない範囲で機会を与えてあげたいですね。
文/坂本正敬
【参考】
※ 第5回 幼児の生活アンケート – ベネッセ教育総合研究所
※ 親が習い事に求めるもの―ピアノを習わせている親への調査に基づいて―
※ <バンダイこどもアンケートレポート Vol.187> – バンダイ
※ 学校外教育活動に関する調査2013 – ベネッセ教育総合研究所
※ 学校外教育活動に関する調査2017 – ベネッセ教育総合研究所
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