「VAMOS TOGETHER」とは
美保さんがラミレスさんと結婚したのは2015年。2人の間に生まれた長男・剣侍(けんじ)くんはダウン症として生まれました。
そんな剣侍くんの成長とともに、いろいろな経験をさせてあげたい!と思ったことが「VAMOS TOGETHER」の立ち上げにつながったそう。
誰もが参加できるようなイベントを開催したい
美保さん:いろいろな経験をさせてあげるべく、ダウン症の子を持つ親の会や関連するイベントに参加したり、協力させてもらう機会があったのですが、剣侍のように“ほんの少しの手助け”が必要な“スペシャルニーズ”の子や、障害を持っている人だけで開催しているものが多かったんです。
主人とも「素晴らしい笑顔や才能のある子たちのことをもっといろんな人にも知ってほしい」と話し合い、「VAMOS TOGETHER」を立ち上げることに。今は共生社会です。みんな違ってみんないいのだから、誰もが参加できるようなイベントなどの取り組みを始めました。
「VAMOS TOGETHER」は一緒に頑張っていこうよという意味
美保さん:「VAMOS TOGETHER」のVAMOSはラミレスさんの母国語であるスペイン語で“レッツゴー”の意味。英語で“一緒”を意味するTOGETHERを組み合わせ、“一緒に頑張っていこうよ”という活動です。
それぞれ生まれ育ったところが違ければ、性別も違っていい。障害のあるなしも違っていい。どんな子でも一緒に参加できることで、その後生まれた剣侍くんの弟たちも一緒にイベントに参加できるようになったそうです。
イベントはラミレスさんのアイデアを形に!
今までに野球教室やプログラミングのプログラム、横浜市に避難してきているウクライナの子どもたちとアートイベントを行ったことも。
イベントの内容は2人で意見を出し合うそうですが、特にラミレスさんが斬新なアイデアを出すことが多く、美保さんが驚くことも。
美保さん:彼には固定概念っていうものがないのかも(笑)。実現不可能に思えるアイデアも“やってみよう、やってみなきゃわかんないじゃん”って。そういうところに私も背中押されながらやってます。
今までに開催した野球教室「ラミちゃんカップ」も、ラミレスさんがビシバシ野球を教えると思いきや、“みんなで楽しくその日が終われればそれでいいんだよ。そこから学べるんだよ”と言い、みんなで練習し、和気あいあいとした雰囲気。
このとき行ったリレーでは、知的障害を持った子や聴覚障害の子も一緒に楽しみ、障害の有無に関係なく、みんなで応援し合う姿が素敵で印象に残っていると、美保さんが教えてくれました。
チアリーディングチームは大会にも出場
今年から始動した活動のひとつがチアリーディング。実は高校から大学までチアリーディングに没頭していたという美保さん。大変な競技だと十分すぎるくらいわかっていたからこそ、スタートするかどうか悩んだそう。
美保さん:チアって1人欠けると演技ができなかったり、16人をまとめるってすごく大変。でも人に元気を与えるものだし、いろいろなところに出て披露するスポーツだから、彼らのことを見てもらえるのはすごくいいなと思って。
現在は小1から中学生の子どもたちが参加。3、4回ぐらいイベント出ており、振りも覚えてフォーメーションチェンジもするんだそう。
美保さん:技を磨くことよりも、うちのチームの目標は自立。練習に参加する、しない、靴を脱ぐ、履く、練習の前にトイレを済ませる、どれも小さいことだけど彼らには必要で。それを手伝うんじゃなくて、彼自身が考えて行動できるように、自立できるようにチアを通じてサポートしてあげたい、やる意味がそこにあるかなと思います。
「子どもたちのご両親が、チアを見て喜んでくれる姿を見ると嬉しい」と言い、ほかにもマラソン大会に参加予定するなど、積極的に活動しています。
将来的には雇用までサポートしたい
“ほんの少しの手助け”が必要なだけの“スペシャルニーズ”の人たち。ですが、現状では、大人になり、働ける年齢になっても働ける場所は限られていて、美保さんは、いずれは彼らの仕事にもつなげるサポートをしたいと言います。
そう思ったきっかけの1つにひとりの男の子の話が。
美保さん:私の知ってる自閉症の男の子でピアニストの方がいて。ピアノがすごく上手なんですけど、ピアノから離れると本当に落ち着きがなくてちゃんと会話ができないんです。でも1回ピアノの前に座るとずっと弾くことができるという特性から、今はパソコン入力の仕事をしているんです。しかも私たちの倍の仕事量をこなせると重宝されている。得意なことを仕事に活かせるってすごく素敵だなって。彼らの特性を活かした仕事につなげてあげるなど、将来は雇用に就くまでをサポートしていきたいなと考えています。
アイデアマン・ラミレスさんにはもう1つアイデアが
さらに、夫婦には、ラミレスさん発案でもう1つ大きな夢が。
美保さん:彼が「スペシャルニーズの会社を設立したくない?」って。会社の代表も障害手帳を持っている人がする、どんなことが出来るのかはわからないけど、そういう会社が上場したら面白いし、みんなもっと彼らに注目し、見てくれると思うから。自分たちの子どももどんどん成長しているなか、彼らのいいところを汲み取って何かできればいいねっていう話は常にしていますね。
子どもたちの笑顔とお母さんたちのありがとうが原動力
どのエピソードも楽しそうに語る美保さん。活動は楽しいですか?と聞くと「楽しいですね。子どもたちの笑顔とか、お母さんたちのありがとうっていう言葉に救われるというか、私が元気になります」と教えてくれました。
ラミレスさんのアイデアと美保さんのパッションでますます活動の幅を広げていく「VAMOS TOGETHER」。どのイベントも楽しそうで、筆者もお話を聞きながらぜひ子どもと参加してみたい!と思いました。
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お話を伺ったのは…
ラミレス美保さん【公式】Instagram→@miho_ramirez
𝐂𝐫𝐨𝐬𝐬𝐅𝐢𝐭 𝐌𝐨𝐭𝐨𝐦𝐚𝐜𝐡𝐢 𝐁𝐚𝐲【公式】Instagram→@crossfitmotomachi
一般社団法人𝐕𝐚𝐦𝐨𝐬 𝐓𝐨𝐠𝐞𝐭𝐡𝐞𝐫【公式】Instagram→@vamostogether21
VAMOS CHEER【公式】Instagram→@cheer_vamos.together
ブログ 𝐀𝐦𝐞𝐛𝐚 𝐛𝐥𝐨𝐠
取材・文/長南真理恵 撮影/五十嵐美弥