ラミレス氏が激怒!長男出産後「ダウン症」と検索した妻・美保さんが今だから語る、夫に言われた言葉の意味

横浜DeNAベイスターズ元監督ラミレス氏の妻であり、4人の子どもたちのママであるラミレス美保さん。ダウン症として生まれた長男は現在は小学2年生になり4兄弟のお兄ちゃんとして頼もしい姿を見せるようになるも、ここに至るまでは不安や葛藤、悩んだことも多かったそう。そんな彼女を支え、変えたのは、夫であるラミレス氏の考え方や言葉。当時を振り返りながら、夫婦のやり取りを教えてくれました。

検索して出てきた「ダウン症」に動揺し主人に怒られた

今から8年前、美保さんは長男の剣侍(けんじ)くんを出産しました。出産直後、剣侍くんは心臓が弱いことがわかり、集中治療室がある他院に搬送されることに。ベビー搬送の際は、夫のラミレスさんが付き添ってくれたそう。

美保さん:主人と息子がいない間、携帯電話で「生まれた直後」「心臓」と調べたんです。するとダウン症と出てきました。お医者さんは検査の結果が出ないと何も言えないからと、その話はしなかったのですが、私が調べた限りではダウン症に違いないと……。我が子がダウン症? もうどうしよう、どうしようってなりました。

搬送先から戻ってきたラミレスさんにそのことを伝えると……。

長男、剣侍くん。名前の由来は、ジャイアンツ時代、矢野謙次さんをKenji!Kenji!と呼んでいたそうでその響きが好きだったところから、だそう!※写真はラミレス美保さんご提供

「不安になる気持ちは何に活かされるんだ?」とラミレスさんは激怒

美保さん:そんなことを調べるのはもちろんいいけど、今日、すごく大変な出産をして、大切な子どもが生まれてきて、そこに何の問題があった?って怒るんです。

そして、検索をして、不安になる気持ちは何に活かされるんだ?とも。今はとにかく子どもが安全に成長できることだけを祈ればいいんだから。こうだったら、どうしようっていうのは、実際になってから考えなさいとも言われました。

ただでさえ気持ちが不安定になりやすい産後。自分で検索した結果で頭にいっぱいになる美保さんを、ラミレスさんの厳しくも優しい言葉で支えました。

また、こういったラミレスさんの考え方は、現在にも美保さんにいい影響を与えていきます。

ラミレス氏の口グセ「Nothing we can do」に救われた

いつもポジティブなラミレスさんの口グセは「Nothing we can do」。これは「僕たちは今何もできない。なるようにしかならないよ」っていう意味とのこと。

ポジティブすぎる?ラミレス氏にいつも驚くという美保さん。※写真は、ラミレス美保さんのInstagramより引用
ポジティブすぎ! とラミレス氏にいつも驚くという美保さん。※写真は、ラミレス美保さんのInstagramより引用

心臓が弱い剣侍くんは、生後2か月で心臓の手術も経験。一度心臓を取り出す過程もある8時間の大手術でリスクもあり、麻酔から覚めない可能性があることを伝えられます。

息子の手術中に爆睡!?

美保さん:手術中病室で待っていると主人はいびきかいて寝てるんです。さすがに驚いて「考えらんないんだけど」って言うと、「なんで? Nothing we can do.今ここではなにもできないじゃん。体力をつけることのほうが大事だ」って。さすがに「なるほど」とは思えない、はぁ?とすら思ったのですが。まぁ、これは極端な話ですが、「私たちは医者でもないし、今ここで心配して何にもできない」っていう、彼はそういう考えの持ち主なんです。

なおも「麻酔から覚めなかったら、どうするの?」と不安な美保さんに「そんなこと考えて何になるの? そういう事態が起きてから考えればいいじゃん」と答えたそう。

そのときの剣侍くんの手術は成功し、術後も良好、運動制限もなく過ごせています。

4人兄弟となりにぎやかなラミレス一家。※写真はラミレス美保さんご提供
6人家族となり、にぎやかなラミレス一家。※写真はラミレス美保さんご提供

熱中症疑いも心配せず、ちょっぴりイラッとすることも

また、これは最近のこと。子どもが夜中に熱中症のような症状になったとき、あたふたして「どうする?どうする?」と問いかける美保さんの隣でラミレスさんはまたもや「Nothing we can do」。

「医者ではない親が今できることはある? あたふたしてもしょうがないよ」ということなのですが、さすがの美保さんもこのときばかりは落ち着き払った彼を見て、少しイラッしたそうです(笑)。

でも、たしかに実際に起こってもいないことを勝手に想像して心配し、悩んでしまうことはよくありますよね。

ラミレスさんの口グセ「Nothing we can do」は、美保さんの心配の気持ちをいつも軽くしてくれるようです。

剣侍くんがラミレス家に生まれたのは意味がある!

ほかにも、ラミレスさんの言葉やマインドで、美保さんが救われたことが。それは剣侍さんが生まれたこと

美保さん:長男が生まれたばかりのときは、率直にこれからどうしたらいいだろうって思ったんです。でも主人がずっと、私たちの元に剣侍がダウン症として生まれてきたことには必ず意味があるからって。

今、一般社団法人「VAMOS TOGETHER」を立ち上げ、ほんの少しの手助けが必要な“スペシャルニーズ”の子や、障害を持っている人と一緒に楽しめるイベントを開催しているラミレスさん夫妻。

12月4日VAMOS TOGETHER ART EVENT。※写真は、@vamostoghether21 【公式】サイトより引用。
12月4日VAMOS TOGETHER ART EVENT。※写真は、@vamostoghether21 【公式】サイトより引用。

これも剣侍くんがいなければやることがなかったと言い、「剣侍が生まれてきた意味ってこのことでもあるのかなって。いろんな人と出会って、いろんなイベントができて、 喜んでもらえる人たちがいる。これがやっぱり彼が生まれてきた意味なのかなって」と教えてくれましたと美保さん。

ネガティブな話を一度もしない、彼に会って私は変わった

 美保さんが「でもさ」とネガティブな話をしようとすると、「それを考えて、どんなことがあるの? その5分間で違うこと考えれば、違う意見が出てきたんじゃない?」と言われほど、一度もネガティブな話はをしないとというラミレスさん。

美保さんは「彼はそれを本当にずっと諦めずに私に教えてくれました。すると私もまあ、そうだよね。そんなこと考えても何も進まないし、 ま、いっかって考え方に変わったんです。「ま、いっか」っていうのは、適当な意味もあるけど、「ま、いっか別に考えてもしょうがないね、なるようにしかならないよね」って思えるいい言葉だなって思うんです。今考えると、剣侍が生まれたときの感情は不安というか、なんとも言えない複雑な感情でした。しかし、今、当時の自分にアドバイスするなら、ラミレスさんと同じ言葉「調べたってね、何にもいいことないんだから」と声をかけたい」と話す美保さんが印象的でした。

子育ては我が子がいくつになっても大変なこと、心配なことが尽きないもの。誰もが起こってもいないことを想像して、勝手に悩んでしまうことだってあります。

そんなときラミレス氏の口グセ「Nothing we can do」や「ま、いっか」の精神を思い出せば、美保さんのように子どもたちと向き合えるのかもしれません。

インタビューのつづきはこちら

「長男がダウン症だからこそ、できることがある」ラミレス夫婦設立の「VAMOS TOGETHER」でスペシャルニーズの子をサポート
「VAMOS TOGETHER」とは  美保さんがラミレスさんと結婚したのは2015年。2人の間に生まれた長男・剣侍(けんじ)くんはダウン...
ラミレス家の家庭円満の秘訣は?4児の子育てとジム経営、社会貢献活動もこなす妻・ラミレス美保さんのシンプルな決め事
トレーニングジム経営者でもあるラミレス美保さん 小学2年生から下は1歳まで、4人の子どもを育てるラミレス美保さん。家のことだけでなく、長男...

お話を伺ったのは…

ラミレス美保さん|𝐕𝐚𝐦𝐨𝐬 𝐓𝐨𝐠𝐞𝐭𝐡𝐞𝐫代表理事
4児(7歳/4歳/3歳/1歳)の母であり、一般社団法人𝐕𝐚𝐦𝐨𝐬 𝐓𝐨𝐠𝐞𝐭𝐡𝐞𝐫の代表理事、𝐂𝐫𝐨𝐬𝐬𝐅𝐢𝐭 𝐌𝐨𝐭𝐨𝐦𝐚𝐜𝐡𝐢 𝐁𝐚𝐲を経営している。
ラミレス美保さん【公式】Instagram→@miho_ramirez
𝐂𝐫𝐨𝐬𝐬𝐅𝐢𝐭 𝐌𝐨𝐭𝐨𝐦𝐚𝐜𝐡𝐢 𝐁𝐚𝐲【公式】Instagram→@crossfitmotomachi
一般社団法人𝐕𝐚𝐦𝐨𝐬 𝐓𝐨𝐠𝐞𝐭𝐡𝐞𝐫【公式】Instagram→@vamostogether21
VAMOS CHEER【公式】Instagram→@cheer_vamos.together
ブログ 𝐀𝐦𝐞𝐛𝐚 𝐛𝐥𝐨𝐠

取材・文/長南真理恵 撮影/五十嵐美弥

編集部おすすめ

関連記事