夫の不貞から父親なしの暮らしに。 3人の子どもがきちんと育つのか弱気になってしまいます【愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴半世紀あまり。常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

 

夫の不貞から父親なしの暮らし。父親不在で、子どもがきちんと育つのか、弱気になってしまいます

2年前に子どもの前で不貞宣言した夫。家庭内別居ののち、現在は家に帰らないため、ほぼ母子4人(娘と息子2人)で暮らしています。経済的な理由から離婚は先延ばしです。下の息子たちは小2の双子。ひとりでもできる限りの愛情を注ぎ育てています。男親のいない息子たちにさびしい思いをさせているのではないか? と、ふと不安になることがあります。気持ちの落としどころをどうしたらいいでしょうか。

親がひとりであろうとふたりであろうと、子どもは落ち着く家(居場所)があれば十分です

まず、確認です。子どもたちは現状がイヤだと言っているのでしょうか?  パパとママに仲良くしてほしいとか、さびしいと訴えていますか?

SOSのサインが出ているならともかく、そうでないなら、それほど気にする必要はありません。

子どもはきっとつらいはず、と勝手に不安になってもいいことはありません

子どもは今の状態を受け入れているのでしょう。いえ、受け入れざるをえないのが子どもです。ありがたいことです。

「子どもはきっとつらいはず」と、勝手に不安になってもいいことはありません。今は子どものことより、ご自分の心配をしましょう。

あなた自身の気持ちはどうですか?  自分の気持ちに向き合ってください。夫に心が残っているなら、そして、修復可能なら努力してみたらいかがですか?  それは無理だけれど、でも離婚することで経済的に自立できないなら、その現実をあなたがきちんと自覚しておきましょう。

夫に対する自分の気持ちと、子どもの父親への気持ちは切り離して考えましょう

夫に対する自分の気持ちは、子にかぶせないこと。そして、子どもの気持ちも勝手にあなたがかぶらない。

夫に対してイヤな気持ちがあっても、子どもが夫を憎むようなことはしむけない。だって、子どもにとってはたったひとりのお父さんだものね。憎むような人の子どもだなんて悲しいでしょう? 母親はどうしてもわが子と密着しているから、自分の感情を子どもにぶつけがちです。ママは子どもに話せば、すっきりするかもしれないけれど、受け止めきれないで胸にしまっている子も多い。

家庭不和ではないけれど、パパが単身赴任で、ママが何でも子どもに相談していた家庭がありました。そのうち子どもが自律神経失調症になってしまった例があります。いつの間にか子どもに頼りすぎていたのでしょう。

子どもにとっても、あなたにとっても、利害関係のない第三者や頼りになってくれる人が近くで見守っていてくれるとベストです。

夫婦関係って何とも不思議です。時間がたてば状況が変わり、今の夫婦の関係も変わってくるかもしれません。年をとって気が弱くなったら、元のさやにおさまったとか、離婚して夫婦じゃなくなったら、なぜか仲良くなったという話も聞きます。夫婦の数だけ形があるから、人生どうなるか、どれが正解か、先はどうなるか誰にもわかりません。

ここはシンプルに考えてみてはどう? イヤなら夫とは別れる、それができないなら、文句は言わずガス抜きしながら、経済的な自立をめざしてスッキリできる日を夢みてがんばる!

とりあえず、家が学校から帰ってきた子どもたちの、心が落ち着く場所になっていることが大切です。親がひとりであろうとふたりであろうと、落ち着く家(居場所)があれば十分です。子どもの生きる力はたいしたものですよ。

 

記事監修

柴田愛子|保育者・自主幼稚園りんごの木代表

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて36年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。

イラスト/海谷泰水

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