家の庭木にあんこうを吊るし、ズバリズバリと切りさばいていく光景を目にしたことがある、という方は、水揚げ量が多い地域でも、今では少ないかもしれませんね。手軽に購入できるあんこう鍋セットを使って、下ごしらえから完成までの工程を詳しくみていきましょう。
あんこう鍋の準備
あんこうが産卵を終える7月から8月までは禁漁期間です。この時期は肝も小さく、味もいまいち。ところが、産卵を迎えるために栄養を蓄えたあんこうは、肝が肥大化。その期間に当たる11月から2月が、一番おいしい季節とされています。
あんこう鍋のセットを購入したら、身を霜降り(湯引き)にして下ごしらえをしましょう。具材や割り下(スープ)も万全に揃えてくださいね。
あんこうの部位
頭と口が大きい、珍妙な姿のあんこうは、まな板にのりにくく、吊るし切りにすると痛快なほどよく切れる魚です。さばく時には、天上から下唇を吊り下げ、大量の水を口から注いで、重みによって安定させながら行うことも。
また、「あんこうの七つ道具」と呼ばれる各部位(皮、肉、卵巣、胃袋、エラ、ヒレ、肝)にさばいて調理するため、捨てるところがありません。それぞれ、味と歯ごたえが異なり、バラエティ豊かな味を楽しむことができます。
このことから、スーパーなどで購入する際には、できるだけ肝が多く、皮やヒレが多いものを選ぶのがポイントに。白身ばかりだと、あっさりした鍋になってしまいます。
準備する材料
準備する材料は、あんこう鍋用のセットの他、野菜などの具材、薬味、スープ用の材料です。以下にリストアップしました。
(2人分)
鍋用あんこう(あん肝つき) 2人前
白菜 6枚
長ネギ 1/2本
しいたけ 4個
エノキダケ 1/2株
水菜 1株
豆腐 1丁
かつお出汁 200㏄
淡口しょうゆ 大さじ1
【薬味】
柚子の皮 少量
あさつき 適量
【合わせ味噌】
(5~6人前)
米麹味噌(信州味噌) 1㎏
西京粒味噌 300g
みりん 大さじ1.5
酒 大さじ1.5
砂糖 100g
あんこう鍋の作り方
材料を揃えたら、冷凍素材を解凍し、スープを作り、それからいよいよ、あんこう鍋に仕上げていきます。
味噌ベースのスープで、野菜と共にグツグツと煮ていく工程をご覧ください。
冷凍あんこうの解凍
通販などで届いた商品の場合は、冷凍されていることが多いもの。味を落とさないように解凍して、おいしく仕上げましょう。
【1】冷凍あんこうを冷凍庫から冷蔵庫に移動させてください。下に容器をひいておくと、水が漏れても安心です。6時間~9時間程度で解凍完了です。
【2】小ぶりの鍋にお湯を沸かします。各部位を熱湯におとし、すぐに氷水に引き上げてください。
氷水から引き上げて、冷蔵庫で待機しておきます。
スープを作る
あんこう鍋セットを購入した場合は、添付のスープをお使いください。もしも、お家で作るなら、こちらをご参考に。
5~6人分くらいを一度に作り、密閉容器に入れて冷蔵庫で保存すると、冬の間にもう一度楽しめますよ。
【1】材料を鍋に入れて、火を付けます。中火で練っていきます。
【2】表面がプツプツと湧いてきたら、弱火にしてさらに練ってください。味噌がぽてっと重く、薄茶色になったら火から下ろします。加熱時間は10分程度。
【3】粗熱をとってから冷蔵庫で保存します。
【4】スープに仕立てる際は、出汁に合わせ味噌(50㏄)を泡だて器で溶きながら加え、しょうゆを加えてください。
【5】スープに裏ごししたあん肝を加え、よく混ぜます。
あんこう鍋に仕上げる
コラーゲンが豊富なあんこうの皮やアラは、煮るとゼラチン化して旨味が増幅します。じっくりと煮込んでスープを抽出すると、しみじみとした深い味わいを楽しめますよ。
逆に、あんこうの身の部分は脂肪が少ないため、煮すぎるとパサついてしまいます。スープに入れた後は、ネギに火がとおる程度の加熱だけで、すぐにお召し上がりください。
【1】白菜は白い部分と、葉の部分を分けます。白い部分は削ぎ切りに、葉の部分は5cm角にカットします。
長ネギは5cmのぶつ切りにし、横方向に細かく切れ目をいれておきます。
しいたけは石づきを切り落とし、傘に飾り包丁を入れます。
エノキタケは石づきを切り落とし、小房に分けます。
水菜は適当な長さのざく切りに。
【2】鍋に作ったスープに、あんこうのあら骨や、皮を入れて、煮てください。
お子さんがご一緒の場合食卓なら、煮出した後のあら骨類は取り出しておくといいでしょう。
【3】次に、火がとおりにくい野菜を入れて味を染みこませます。
【4】湯引き済みのあんこう、豆腐を加えます。水菜は最後に入れ、フタをして30秒程度の加熱にします。
【3】器に盛り付け、薬味をのせてお召し上がりください。
北茨城市の郷土料理
茨城県の最北端に位置する北茨木市は、古くから農業と漁業を中心に栄えてきた街です。漁港のひとつでもある平潟港では、底曳き網漁がさかんで、昭和30年代頃まで、毎日水揚げされる魚を主食とする生活が続いてきました。
近年はあんこうの水揚げ量が減っていることから、鍋を作る機会は減少傾向にあります。それでも、「どぶ汁」と呼ばれるあんこうを用いた汁物は、冬場になるとどこのご家庭でも、日常的に食べられてきた料理だったそうです。
【ふるさと納税】あんこう鍋セット(2人前)
茨城県北茨城市の特産品、あんこう鍋のセットは、ふるさと納税返礼品としても取り扱いがあります。野菜加え、お鍋で煮立ててお召し上がりください。味噌仕立ての濃厚スープが、絶品です。
あんこう鍋をぜひ自宅でも
ご家庭で作るあんこう鍋の作り方をみてきました。あんこう鍋は、ヒレや皮などから出るコラーゲンに栄養、旨味が詰まっています。しっかりと煮出してから味わってくださいね。逆に、白身はサッと熱を加える程度で十分です。部位によって加熱時間が異なる点には注意しながら、寒い日の温かい鍋に仕上げてくださいね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)