お正月に登場した鏡餅。「どうして鏡餅を飾るの?」「何でお餅を重ねているの?」「どうしてみかんをのせるの?」などと、ふと子どもたちが聞いてくるかもしれません。そんな、子どもが「興味を持った!」サインがあれば日本のお正月について伝えるチャンスです。
「昔から決まっているのよ」という回答も間違いではありませんが、子どもの“どうして”“なんで”の部分にもう少し情報が加えられると、日本の伝統や文化に対する理解がぐっと深くなります。もし子どもたちからの質問がなくても、こちらから「どうしてだと思う?」と考える機会を作ることで興味を持つきっかけを与えることができますよ。
鏡餅ってなに?
鏡餅とは、新年の神様“年神様”の依り代です。つまり神霊が取り付く対象が鏡餅であるということです。新年の神様である「年神様」をお迎えする場所、お正月の間お過ごしいただき、お見送りするための場所になります。そこで子どもたちには「今ここに神様がいらして、ゆっくりしてくれているよ」と伝えるのはいかがですか。
名前の由来
鏡餅の鏡はかつて銅鏡と呼ばれていた昔の鏡に由来しています。今は光っていませんが、昔は光っていて神様の行事に使われていました。
お正月のお餅が丸いのは、銅鏡が丸いことから神様の力が込められた丸い鏡と同じようにしたいと願いを込めて丸くしたものです。
形について
大小のお餅を二段に重ねて飾る鏡餅ですが、重ねる理由は陰と陽、月と太陽を表す意味もあるようですが、福徳が重なり円満に年を重ねるという意味も込められています。
通常の鏡餅は2段ですが、関西や西日本の一部では“三宝”といって3段の鏡餅を飾る地域があります。飾る場所は台所で、竈(かまど)の神様“荒神様”にお供えするものです。
「鏡餅は二段ではなく、三段で飾るところもある。〇か×か?」といった楽しく学べて知識も増えるようクイズを楽しんでもいいですね。
飾り
神様をお迎えする鏡餅の飾りには一つ一つ祈りが込められており、道具一つにも理由がありますが、今は住宅事情で床の間が無い、どこに飾っていいか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。鏡餅は“神様の宿るところ”ですから、神様にお越しいただきたいところを中心に考えるといいですね。
例えば家族が出入りし、お客様をお迎えする場所である玄関や、家族の集まるリビングでは神様が家族を見渡しやすいところが一般的ですが、年神様のパワーをいただくという意味で、受験などに向けて勉強を頑張るお兄さん・お姉さんの机の上もおすすめです。
鏡餅は日本人の想いが詰まったもの
鏡餅に使用されるお餅、その元になる稲やお米は日本人にとって、とても大切な意味を持つ食べ物です。“稲魂(いなだま)”という言葉があります。稲には神霊が宿ると信じられており、その恵みやパワーを口にすることで人にもパワーや生命力を与えてくださっているという考えです。
皆様も小さい時に耳にしたことはありませんか? “お米の一粒、一粒に神様が宿っているから大事にいただこうね“”お百姓さんが一生懸命作ってくださったお米を一粒でも残しては申し訳ないよ“ そういわれて最後の一粒まで大切に食べたこと。鏡餅は原料のお米にも、丸く形成された形にも日本人の願いや希望が込められているのですね。子どもに鏡餅について伝えるときは、いつもいただいているお米についても”大切に食べようね”と伝えてみませんか。
鏡開きで年神様の恵みをしっかりいただいて
鏡餅は飾ることで、年神様の力を分けていただくことができます。お正月が明けた、1月11日に行われる鏡開きでは、美味しいお餅と共に鏡餅に宿った年神様のパワーも一緒に美味しくいただきましょう。
お汁粉やぜんざいにするのが一般的ですが、おかきやお餅のピザなどをお子さんと一緒に作りながら、鏡餅に込められた想いを伝えられたらいいですね。そして年神様のパワーをしっかり受け取って、さらに心も体も大きくなる一年を迎えられますように。
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赤名 麻由子