「日本のお金の教育を変える人」大河内 薫さんが指南。今すぐできる!誰でもできる!親子で学べるお金教育のはじめ方

株式、債権、投資信託…さまざまな金融商品はありますが、学校でお金の教育を受けてこなかった親世代にとって、どこからどう子どもに教えていけば良いのか悩ましいですよね。雇用や報酬が多様化し、目まぐるしく変化している時代に、どうやって子どもにお金の教育を行っていけば良いのでしょうか。

今回は、家庭でできるお金の教育について、『にゃんこ大戦争でまなぶ!お金のヒミツ』ほか、子ども向けの金融教育についての本を多数監修している税理士の大河内 薫先生にお話を伺いました。

大河内 薫先生

子どもは親のように育ちます!一緒にお金について学ぼう

子どもは親の思い通りには育ちませんが、親のように育つとよく言われます。

親にお金の知識がないと言うことは、子どもたちは当然、お金の知識がない人に育つリスクが高まってしまうということです。

お金の知識が何もなくても、死ぬまでお金に困らずに生きていけたのは、80年代のバブル経済前の人たちだけの話です。当時の方々は終身雇用があって、年功序列、年金に加えて、満足できる退職金があるという状態でしたが、現在子育てまっ最中の親御さんたちはどうでしょうか。今は順風満帆に暮らせているけど、50年後どうなるのか…、さらに子どもたちのことを考えると70年後はどうなのか…。
本当にお金の知識がないと、老後に楽しく生きられない可能性が出てきてしまっています。だから、我々大人はお金について学んでいく必要があります。

子どもは親のように育ちます。ですから、親がお金について学んでいかないといけないのです。

やってはいけないことは、お金の話を「しない」こと!まずはお金の話をしよう

昔は、“子どもの前ではお金の話をしない”というスタイルのご家庭が大多数でしたが、子どもは家庭のルールを持って社会に出て行きます。まずは、家庭内でお金の話をどんどんしていく環境を作りましょう。

お金はよりよく生きるための道具の一つです。よりよい使い方を、家庭内でシェアしていくことで、子どもにお金の知識をつけることができます。お金のについて話すことを当たり前の環境にすることが、最初の一歩になると思います。

また、「いつから始めればいいですか?」という質問も多くありますが、いつがいいという時期はありません。夫婦でお金のことについて会話ができていれば、自然と赤ちゃんの頃から聞いていることになりますので、子どもがいる前でも積極的にお金の話はしていきましょう

おこづかいの渡し方だけでもお金の勉強になります

おこづかいの渡し方もぜひ子どもと話して決めてみて

例えば、おこづかいについてもさまざまな渡し方がありますよね。お手伝いをしたらそのつど渡す方法もあれば、月ごとにまとめて渡す方法、年俸制で前払いをして予算をもって1年間の使い方を考えていく方法、など…。こうした方法を子どもと一緒に話し合いながら決めていくのも、お金についての立派な勉強になります。

お金の失敗はなるべく早いうちに!

ところで、お金の失敗をしたことがない人っていると思いますか?多かれ少なかれ、誰もが何度かお金の失敗をしていると思います。なるべく早く、親が見守れるうちに失敗させてあげるのも大切な経験です。

例えば、自分がいらなくなったおもちゃを、フリマサイトで(親御さんのアカウントで)販売してみる。出品したけど売れないから価格を下げたら売れた! でも、よく考えたら送料や配送するときの箱代、手数料を引いたら自分の手元に残るお金がほとんどなかった…。こういう経験もお金の学びです。

なるべく早いうちにいろいろな失敗を経験することで、大人になってからの失敗を減らすことができると思います。

「家庭内起業」や「家庭内投資」もおすすめ。気負わずはじめて

私が最近よく耳にするお金の教育は、家庭の中で起業する方法です。

例えば、家の中でコーヒー屋さんを子どもに起業させます。当然、最初は資金がないので、借入金を考えなければなりません。その資金を親から借りてコーヒーマシーンや豆を買うところから子どもに経験させ、値付けなども考えさせていきます。

コーヒーが飲みたくなったら子どもにオーダーして代金を支払い、その中から返済をしながら利益を出す方法を考えていく。少し手間はかかりますが、お金の流れは家庭内で完結するので、赤字が出たとしても問題はありません。家族みんなでアイディアを出し合ってやってみたけどダメだった。それでも経験からしか学ぶことはできませんので、チャレンジした意味はあるのです。失敗は必ず生きてきます!

家庭内で起業するなら?と子どもと楽しく考えて

また、お金は財布に入れてとっておくだけでなく、投資という選択肢を与えてあげるのもいいと思います。実際に株式投資をする場合は証券口座を用意するなどハードルが高くなりますが、家庭内でルールを決めた投資なら気軽に学ぶことができます。家庭内でのルールとは、例えば「おこづかいを使わず親に預けておくと月末残高の1%が増える」のような感じです。そういう方法や可能性の存在に触れさせるのは良いことです。

ママパパもクイズ本やゲームで一緒に学ぼう!

お金の学び方はいろいろあります。あまり難しく考えずに、クイズやゲームで学んでいくという方法は親子で楽しみながらできるのでおすすめです。監修させていただいたこちらの本は、大人も知らないようなお金の知識がクイズ形式で学べます。

名探偵コナンの小学生のうちに知っておきたいお金と世の中103

1,540円(税込み/小学館)

本物のお金を動かすことだけで学べるわけではないので、こういう本や人生ゲーム、モノポリー、桃鉄のようなゲーム類なども取り入れてみるといいと思います。

自然と、各家庭ごとのお金の教育スタイルが確立していきます

おこづかいや本、ゲームなどでお金の話ができるようになっていくと、それをきっかけにどんどんご家庭ごとのスタイルが確立していくようになります。

もちろん、例に出した方法だけがお金の教育ではありません。スーパーで売っている野菜が昨日と今日で価格が違っていた。「なんでだろう?」と、一緒に考えてみる。それだけでもお金の教育になります。

昔と違って、今は親子の主従関係のようなものは少なくなっていますよね。フラットな親子関係の中であれば、なおさら家庭内のお金についてはオープンにしやすい状況です。お金の教育にも正解はありませんので、まずは学校であったことを話すように、食卓でお金のことについても話すのが当たり前という環境を作っていきましょう。

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お話を伺ったのは

大河内 薫さん

㈱ArtBiz CEO・税理士・お金の教育者。税理士事務所経営をしながら全国各地の学校でお金の授業をするなど、お金の教育の普及に尽力している。 音声メディアVoicyトップパーソナリティ。Xフォロワー10万人超、YouTubeチャンネル登録者30万人超。最新メディアやSNSでお金と税金の知識をカジュアルに発信。メンバー200人超 オンラインサロン「大河内薫マネリテ戦略室」運営。著書『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』(SANCTUARY BOOKS)は日本一売れている税金本で、27万部超のロングセラー。
監修に『にゃんこ大戦争でまなぶ!お金のヒミツ』(KADOKAWA)、『名探偵コナンの小学生のうちに知っておきたいお金と世の中103』(小学館)など。

文・構成/鬼石有紀

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