騒がしい教室が苦手な娘は毎日ヘトヘトの様子…。親としてどのようにサポートすればいいですか?【子どもの心相談医が回答】

月刊誌『小学一年生』(小学館発行)が、日常の子育てや発達・健康上の心配など、読者のママ・パパのお悩みを大募集。今回は、繊細な子のサポートについて、専門家の先生にアドバイスしてもらいました。

Q:繊細な心を持つ娘。親としてどのようにサポートすればいいですか?

娘は音に敏感で、繊細なところがあります。教室では元気な男の子の隣の席になってしまい、毎日へとへとになって帰ってきます。

家では「今日は◯◯くんがうるさくて嫌だった」「◯◯ちゃんに腕を引っ張られて怖かった」などと話しています。毎日がんばっているのだと思いますが、そのうち行きたくないと言い出すのではないかと心配しています。

親としてこの先どのようにサポートしていけばよいでしょう。(MIO さん)

A:子どもの話に耳を傾け、気持ちに共感する声かけを心がけましょう。

娘さんは、学校であったことをお母さんに細かくお話ししているようですね。それはお母さんを100%信頼していて、安心しきっている証です。きっと、しっかりと話を聞いてあげているのでしょう。これからも、お子さんが話しかけてきたら、「そうなんだ、それは嫌だったね」などと、お子さんの気持ちに寄り添い、しっかり聞いてあげてくださいね。

その際気をつけたいのは、相手の子の悪口を言わないことです。子どもがされて「嫌だった」と口にした部分を「それは嫌だったよね」と子どもの気持ちのみを共有すること。そして、「乱暴な子だね」などと、その子自身の悪口に当たるような言動は避けましょう。

子どもが困っているようでしたら、「何かお母さんにできることはあるかな」と尋ねましょう。お母さんを信頼している娘さんですから、きっと「あのね……」と話してくれると思います。「大丈夫だよ」と言われたら、「わかった。何かあったら言ってね」と伝えるだけにとどめておき、見守ることが大切です。

ひとつ気になるのは、クラスの子に「腕を引っ張られた」と話していることです。娘さんが痛かったり怖い思いをされているのであれば、学校に働きかけることが大切です。暴力に近いことなので、担任の先生に伝え対処してもらいましょう。

先生に伝える際は、「クラスの男の子に腕を引っ張られて、娘が痛い思いをしたようですので」などと、冷静に事実だけを伝えます。あとは先生にお任せしましょう。

この子のように、繊細な気質をもつ子どもは、親の理解とサポートがとても重要です。この子の場合は、大きな音やざわざわとした教室もひょっとしたら苦手に感じているかもしれませんね。学校でいろいろな音を必要以上に拾ってしまうため、ものすごく疲れて帰ってくるのだと思います。お家が子どもにとっていつも安心できる場所にしておきましょう。

まだ1年生ですから、場合によっては、怖かった体験や嫌だったことを何度も思い出して口にすることもあるでしょう。だからといって「また同じこと言ってるね」とか「もう大丈夫よ」と言うのはNG。先にも述べましたが、「うるさかった」と言うのであれば「そう、うるさかったんだね」と気持ちに寄り添う声かけを心がけてくださいね。

時間が許すのであれば、時々そっと学校に様子を見に行かれるといいのかなと思います。教室での様子がわかりますし、気になることがあれば、先生に具体的な相談をしやすくなりますよね。

それから、「学校に行きたくないと言いだしたらどうしよう」と心配されていますが、先回りの不安感は、子どもに必ず伝わります。わが子の力を信じて、見守りましょう。

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私がお答えしました

川上一恵先生 | かずえキッズクリニック院長・医学博士
診療の傍ら、地域の小学校、幼稚園、保育園の校医、園医も務める。日本小児科学会認定専門医。日本小児科医会「子どもの心相談医」。
『小学一年生』2024年8月号別冊『HugKum』
イラスト/ミツコ
構成/天辰陽子

1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。

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