これでもう騙されない。嘘を見破る方法いろいろ! 科学的根拠とともにご紹介〈ゆーまん博士の最新科学CatchUP〉

そんなことも科学的に証明できちゃうの?とびっくりするような研究報告があります。おもしろサイエンスに詳しい「ゆーまん博士」に、今回は日常生活に活用できちゃうかもしれない「嘘の見分け方」について聞いてみました!

【教えて!】嘘は見破ることができる?

人は誰でもウソをつきます。お父さんもお母さんもリカちゃんもウソをつきます。お母さんが隠しておいたお菓子を。こっそり食べちゃったリカちゃんのウソはかわいいですけどね。

小説やドラマでは、真実は一つと探偵が犯人のウソを見破ります。では実際にウソを見破ることはできるのでしょうか?  今回はウソを見破れるかどうかについて考えてみます。

【ゆーまん博士が説明】視線の泳ぐ方向を見るべし!

心理学に「アイ・アクセシング・キュー」という、目の動きと心の動きを関連付けた研究があります。この研究結果によれば、目の動きで相手が何を思い描いているのかがわかるといいます。

視線が右上と左上を向く時は情景をイメージしていて、左右に動く時は音を、左下を向く時は自問自答している時で右下を向く時は手触りや匂いを思い出している時だそうです。

質問をされて右上を見る時は、情景を想像したり未来のことを考えています。左上を見る時は過去の経験を思い出しています。「昨日のお昼ごはんは何を食べましたか?」と聞かれれば、過去を思い出すので、無意識に目は左上を見ます。「来週の結婚式にはどんな服を着ていきますか?」と聞かれると、自分がドレスを着ている姿を想像して視線は右上を向きます。

そこで「ウソ」です。ウソは想像ですよね?  そのためにウソをつく時は無意識に視線は右側を向きます。

情景のウソ、たとえば車の事故が目の前で起きて遅刻したといったウソをつく時は右上を向き、変な電話がかかってきて、と電話の内容をでっち上げる場合は水平方向に右を向き、その時に自分はとにかく早く行かなきゃいけないと思っていたと内面のウソをつく時は右下を向く。つまり質問されて、右側に視線が泳いだらウソをついていることになるというのです。

視線が右側に動くと嘘?

アイ・アクセシング・キューはあくまで統計なので、例外も多く、あてにならないという学者も多いそうです。特に脳神経学者には否定的な意見が多く、実際に脳の血流を調べると、ウソをつく時は脳の側坐核という部位が活性化するとともに、脳全体の血流が増加します。そして本当のことを思い出して話す時は脳のひとつの場所だけピンポイントで血流が増えるといった研究結果もあります。ウソをつく時には脳の右も左も関係ないわけです。

イスラエル・テルアビブ大学の研究チームは、AIに膨大な顔のデータを読み込ませ、表情を作る時の筋肉の動きからウソをついているかどうかを判別するプログラムを作りました。どんな人でもウソをつく時に0.03~0.06秒間だけ顔の筋肉が動くといい、それをAIが判別するのです。人間の目にはわからない微妙で一瞬の動きですが、AIはその動きをキャッチします。AIにはウソが通じないわけですね。

またウソをつく時に鼻を触る癖の人がいますが、スペインの大学の研究によれば、ウソをつくと鼻の体温は約1.2度低下し、額の温度は反対に約1.5度上昇するそうです。では相手の鼻に触って、冷たくなっていたらウソをついているということ?  おそらく鼻を指で触ったぐらいではわからず、温度を視覚化するサーモグラフィを使わないと判別できないでしょう。

結局、普通の人には他人のウソを見抜くことはできないということになるようです。

※「どうして正直者と嘘つきがいるのか? -脳活動からその原因を解明―」(Nobuhito Abe (Kyoto University), Joshua D. Greene (Harvard University)  Journal of Neuroscience)

ゆーまん博士のワンポイント

●ウソをつくと右側に目を向けることが多いかも?

●ウソをつくと鼻が少し冷たくなる

●結局、ウソを見抜けるのはAIだけ

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構成・文/川口友万 漫画/まめこ

 

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