日本は世界有数のAED保有国
日本で医療従事者ではない一般市民がAED(自動体外式除細動器)を使えるようになって、2024年7月1日で20周年を迎えました。
AEDは Automated External Defibrillator の略で、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった人の心臓に電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器です。
この20年で、公共施設や企業など、人が多く集まる場所に「当たり前に設置」されるようになり、国内の設置台数は、およそ 70万台。日本は世界でも有数のAED保有国です。
躊躇せず1分1秒でも早く
これまでに、約8千人が一般市民によるAEDの使用で救われているものの、実際にAEDを使うとなると躊躇する人も多いそう。しかし、電気ショックの成功率は1分ごとに約7~10%低下するので、素早い救命措置が重要です。
日本では、救急車の到着までの平均時間は10.3分なので、救急車が到着する前に、傷病者の近くにいる人たちがAEDを使用した電気ショックと胸骨圧迫をできるだけ早く行うことが大切です。
厚生労働省の呼びかけで2004年7月以降、救命の現場にいあわせた市民による使用が奨励されてからは、全国の学校・幼稚園・認定こども園等に向けても、AEDの設置について通達がなされ、AEDの理解を深めるための学校講習なども奨励されています。
そのため、子どもたちにとっては学びの場で見ているAEDですが、2004年以前に学校機関を卒業してしまったパパママ世代はなじみがない、という現実も。いざというとき、設置されているAEDが手元に届いても、何をどうすればいいかわからない人が多いという実情があります。
ですが、実際のAEDの使い方は決して難しくありません。AEDのふたを開けると音声案内が流れます。その音声や図解に従って傷病者の指定位置にパッドを貼れば、電気ショックが必要かどうかをAEDが自動で診断してくれるので、専門知識がなくても安心して使用できるのです。
『幼稚園』から、AEDを忠実に再現した組み立て付録が登場!
これまで様々な企業とのコラボ付録で話題の『幼稚園』ですが、10・11月号(2024年8月30日発売)では、医療機器メーカーの「日本光電」とのコラボ付録「おやこで! AEDたいけんセット」が登場。日本光電製の「普及タイプAED」をほぼ同じサイズで再現した組み立て工作です。
レバーを引くとふたがパカッと開くギミックや、内部のボタンなどのデザインは、本物に合わせて忠実に再現しており、AEDとはどのような器械なのかがよく分かります。
最大のポイントは、本物のAEDで使用されているガイダンスを元に製作した「音声」が流れるところ。
「パッドから青いシートをはがして図のように右胸と左わき腹にはってください」「体から離れてください。点滅ボタンをしっかりと押してください」など、AEDを使うときの手順が、音声で流れます。電極パッドを体のポスターに置いたり、心臓マッサージの疑似体験をしたりして練習することができます。
本誌には、救命の流れを紹介した漫画や、AEDの中を紹介する特集も!
いざという時に躊躇なくAEDを使えるようにするには、子どもの頃からAEDを知り、触れることが大切。自分たちでできる救命活動について関心を持ち、「当たり前に設置」されているAEDを「当たり前に使う」ものにしていきたいですね。
『幼稚園』10・11月号
テレビや絵本のキャラクターといっしょに、思いきり遊んで学べる 『幼稚園』。心も体も頭もいままで以上に成長する4・5・6歳。あれもやりたい、これも知りたい、大きくふくらむ好奇心や感じる心を育てていく企画が満載の子ども向け雑誌です。
文・構成/青木小豆 撮影/平田貴章 モデル/永谷咲笑さん親子
参考文献:
・AHA心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン2000|令和5年版 救急・救助の現況
・文部科学省|自動体外式除細動器(AED)の適切な管理等について
・厚生労働省|AEDを点検しましょう!