スウェーデン人の夫との子育ては、子どもたちも「自分で決める」エッセイスト桒原さやかさんの新連載『北欧パパと日本で子育て』がはじまります!【vol.1】

こんにちは。ライター・エッセイストの桒原さやかです。この連載ではスウェーデン人夫と日本で子育てしている日々のこと、子育てしながら気がついたことや考えたこと、またそれを私がどう捉えているのかというところまで書いていけたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。

北欧と日本は似ている? 似ていない?

日本と北欧は似ているところが多いとよく聞きます。確かにシャイで控えめな性格の人が多く、ちょっと真面目なところもあったりして、感覚が近いように感じます。そんなこともあってかスウェーデン人の夫といっしょに暮らしていても、えぇー!と驚くことは、実はそんなに多くありません。でも、「あれ……なんか変だな」「何かが違う……」とじわじわ後になってから気づくことが多いのです。

スウェーデン人の夫と、2人の子どもたち

決めきってくれない、スウェーデン人の夫

たとえば、ふたりでショッピングをしていたとします。お互いの意見が合わずに買わないという決断になったとき、夫は必ずこんなことを言うのです。

「本当にいいの? 自分がいいと思うようにしたらいいよ」と。

少し突き放されたような感じもするし、予防線を張られているような気もして、毎回ちょっとムッとします。でも改めて「自分はどうしたいんだっけ?」とぐるっと心の中で一周してみると、「自分が決めた」という意識がポンッとそこに生まれるのです。

大事なのは「自分で決めること」

この意識があるとないとでは、大きく違います。 

「買えばよかった……」とあとから後悔しても、自分が決めたという意識が小さくともあれば、これは自分の責任だからしょうがないと、わりとすんなり受け止められる。それに失敗してもいいから今度は欲しいと感じたモノは買おうと、自分なりに反省点を見つけられることもあります。つまり、自分でどうにか対処しようとするのです。

でも「夫に決められた」という意識がどこかにあると、「あのとき買わせてくれなかった」という渦巻いたイヤな気持ちがむくむくと膨らんでいき、イライラの矛先が夫に向かってしまうのです(ここまで書いていて、自分の小ささに恥ずかしくなりますが……苦笑)。

北欧の人たちがご機嫌に過ごすヒントとは?

今年の夏、夫の実家である南スウェーデンに帰省したときの一枚

北欧のことを知っていくうちにわかってきたのは、「自分で決める」ということをあらゆる面で彼らが大事にしているということ。それは人生に関わるような大きな決断から、日常のほんとうに些細なことまで、自分で考えて、自分で決める。とてもシンプルなことですが、これが北欧の人たちの毎日をご機嫌にしてくれるヒントのようなのです。

これを知ってからは、意識をして「自分はどうしたいのか?」「自分は何がいいと思っている?」と心の中で問いかけるようになりました。

夫の実家の近くには池がたくさんあり、散歩するだけで気持ちいい

子どもだって「自分で決める」

スウェーデン人の夫と子育てをしているなかで、あれ……と気がついたことがあります。それは食べ物から、遊び、自分で身に付けるものまで、子どものことも夫は勝手に決めたりしないのです。

たとえば洋服を選んでいるとします。ぜったいにこっちがいいと親が思う服があったとしても、子どもたちに「どれが好き?」と聞くのです。そして、子どもに自分で選んでもらう。

その日手に取ったのは、真ん中にキャラクターがドンと描かれたTシャツでした。

あぁー、違う方がよかったな……と思う気持ちも正直あるものの、「見て見て!かっこいいでしょう?」とキラキラした目で自慢している子どもたちを見ているとやっぱり嬉しくなります。それに実際に自分で選んだものは、私たち親が選んだものよりも、はるかに大事に、楽しそうに使ってくれることが多いのです。

松本クラフトフェアで1時間かけて自分で選んだ、フェルトのルリビタキ。今も大事にしている娘の宝物

小さなときから始まる、言語化の練習

夫は、子どものころに泣いていたとき、「なんで泣いているの?」「あなたはどうしたいの?」ということを聞かれたそうです。そして言葉にできるまで時間がかかっても、いつも親は辛抱強く待ってくれていたと言います。親になってはじめて「待つこと」にどれだけ根気がいるのかわかりましたが、それくらい「言葉にすること」を大事にしているということなのかもしれません。

自分で考えて、決める。それを言葉にする。

この練習を北欧ではこんなにも小さなときから始めているんだなぁと感じます。その大切さを実感した今となっては、私も意識をして子どもたちに聞くようになりました。

「どこに行きたい?」
「何をして遊びたい?」 

今日も自分たちで決めた遊びをしながら、子どもたちは元気いっぱい走り回っています。

裏庭で竹と遊んでいる子どもたち

ここまで読んでいただきありがとうございました!次回もどうぞよろしくお願い致します。

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プロフィール

桒原さやか|ライター・エッセイスト

イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。

Instagram @kuwabarasayaka
note 桒原さやか(くわばらさやか)/スウェーデン人夫と子育て奮闘中。

 文・構成・写真/桒原さやか

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