沖縄の天ぷらは、ぽってりとした分厚い衣が特徴です。本土の天ぷらとは異なる特徴を持つ揚げ物で、衣にあらかじめ味をつけたり、魚や海藻などの具材を盛り込んだりして親しまれています。豊富な具材のバリエーションをみながら、独自の食べ方をご覧ください。お子さんのおやつにもぴったりですよ。
沖縄天ぷらの基本情報
沖縄天ぷらは「うちなー天ぷら」とも呼ばれ、地元の人々に愛されているソウルフードです。
歴史と文化的背景
沖縄天ぷらのルーツには諸説あり、そのひとつは刺身屋から生まれたという説です。その日に穫れたかつおやまぐろなど、傷みやすい生魚を無駄にしないために考案され、長持ちさせるために油で揚げる調理法が採用されました。
また琉球文化において、天ぷらは祝い事や法事などの席で重箱に詰められ、揚げ豆腐や昆布の煮しめと共にふるまわれてきたそうです。現代では家庭料理として日常的に親しまれており、おやつとしても人気があります。
特徴と本土との違い
沖縄では天ぷらは単品で食べることが多く、本土のような天丼や天そばとして食べることは少ないようです。
また一般的な天ぷらとは異なり、洋食のフリッターのような見た目が特徴。衣が厚く固めで食べ応えがあり、揚げ方によってザクッとした食感から、モチッとした食感までさまざまです。
特別な天ぷら「カタハランブー」
沖縄のお正月や結納などで、縁起物として作られる特別な天ぷらがあります。それが、衣だけを揚げた塩味の天ぷら「カタハランブー」です。
カタハランブーは別名で「白アンダーギー」とも呼ばれており、男性を象徴する食べ物です。対をなすのは女性を象徴するサーターアンダギー。結納などのお祝いの席には欠かせない天ぷらなんだそうです。

片方が膨らみ、もう片方が薄くなる特徴から「片腹が重たい」という意味があるそうですが、油で揚げる際に自然とこの形になります。薄くパリパリに仕上がった部分が、特においしいと評判です。
沖縄天ぷらの衣
沖縄天ぷらの衣は、一般的な天ぷらよりも厚めに作られる特徴があります。その独特な衣について詳しくみていきましょう。
厚めでしっかりした衣
通常の天ぷらの衣は、サクサクした食感です。これは、氷水を使用して小麦粉のグルテンの働きを抑えることでカラリとした衣に仕上げています。
一方、沖縄天ぷらの特徴である厚い衣は、水道水をそのまま使用します。沖縄の水道水はアルカリ性の硬水で、温暖な気候により水温が高めです。これによってグルテンの働きが活発になり、粘りのある衣が生まれます。さらに、卵やベーキングパウダーを加えることで、衣にしっかりとした厚みが出ます。
味付け
沖縄天ぷらは生地にあらかじめ塩が加えられているため、そのままでもおいしく食べられます。また、衣を溶く水の代わりに卵や出汁を使用することもあります。
うむくじ天ぷら
沖縄では身近な食材であるさつまいもを天ぷらの衣にも活用します。その代表的な例が伝統的なお菓子「うむくじ天ぷら(うむくじアンダーギー)」です。「うむくじ」とは「芋くず」のことで、さつまいもから取り出したでんぷんを指します。
作り方をご覧ください。
・うむくじ天ぷらの作り方
うむくじ天ぷらはモチモチした食感と素朴な甘さが特徴のお菓子です。作り方はシンプルで、おやつにぴったり。うむくじの入手が難しい場合は、片栗粉で代用できます。
【1】片栗粉(または、うむくじ)200gを水(少量)で溶きます。
【2】 潰したさつまいも400gを加えてよく混ぜ合わせます。
本来は紅芋を使用しますが、沖縄県外への持ち出しが禁止されているため、他地域ではさつまいもを代用します。
【3】お好みで塩味にしてネギを加えたり、黒砂糖を入れたりして味付けします。
【4】生地を棒状や小判型に成形して、フライパンで揚げます。膨らんできたら取り出し、熱いうちにお召し上がりください。
沖縄天ぷらの作り方
沖縄天ぷらは夕食のおかずとして楽しまれるだけでなく、近所の天ぷら屋さんで手軽に買えることから、おやつとしても親しまれています。
沖縄天ぷらの具材
具材は「芯」と呼ばれ、沖縄で日常的に手に入る食材が用いられます。定番のイカやエビのほか、特に人気が高いのは白身魚です。その他にもゴーヤや紅芋などの野菜、あおさや、もずくなどの海藻類も揚げます。
沖縄天ぷらのレシピ
こちらのレシピでは卵やベーキングパウダーを入れることで、ぽってりとした衣に仕上げます。
・材料
白身魚 150g
さつまいも(ゴーヤ、人参などでも) 1/2本
もずく(塩抜き) 100g
【天ぷら衣】
卵 1個
水 50〜60cc
薄力粉 80g
塩 小さじ1/2
ベーキングパウダー 小さじ1/2
揚げ油 適量
・作り方
【1】魚は食べやすい大きさに切り、塩をふって冷蔵庫で15分ほど休ませます。
さつまいもなどの野菜は薄切りにして塩をふり揉み込んでください。
もずくは水洗いしてからペーパータオルで水分をよく拭き取ります。全体に薄く薄力粉(分量外)をまぶしておきます。
【2】ボウルに卵と水を入れてよく混ぜます。粉類をふるい入れてください。箸で持ち上げると、もったりとする固さになります。
【3】白身魚、さつまいもの水気を拭き取り、【2】の衣にくぐらせます。
【4】170℃〜180℃に熱した油で揚げます。衣から出る泡が少なくなり、持ち上げるとカサカサした音が聞こえるくらいになったら、引き上げて油を切ります。
【5】最後に余った衣の中にもずくを入れ、よくからませます。
もずくを油で揚げる際はあまり動かさないようにして、途中で返して両面を揚げてください。
沖縄天ぷらの美味しい食べ方
衣に塩味が含まれているため、そのままでもおいしく食べられますが、沖縄流に食べるならウスターソースをかけます。その他にもお好みで、醤油や七味唐辛子を使用して楽しんでください。
もずくの天ぷらには、小口切りにした人参やネギなどを加えると彩りがよくなります。
通販で楽しむ沖縄天ぷら
本場の味が通販でお取り寄せできます。普段作る天ぷらとは一味違う、沖縄の味をお楽しみください。
【冷凍便】魚屋さんの天ぷらセット
まぐろやもずく、天ぷら粉がセットになっており、お家で手軽に沖縄天ぷらが楽しめます。
うむくじ天ぷら 25g×40個入り
凍ったまま油で揚げれば、本格的なうむくじ天ぷらが食べられます。紅芋入りの色が美しく、お子さんのおやつにも最適です。
お家で楽しむ沖縄天ぷら
沖縄の天ぷらは衣に特徴があるほか、沖縄ならではの具材を豊富に用い、地元で親しまれているメニューです。縁起物の天ぷらや、うむくじと呼ばれるさつまいものでんぷんで作るお菓子など、揚げ物料理の種類も豊富です。
現地で味わうだけでなく、お家で作ることも難しくありません。ぜひ沖縄の味を再現してみてください。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)