大阪の味「かすうどん」って? “天かすうどん” とは別モノ! 自宅レシピとアレンジの楽しみを追求してみた

大阪の「かすうどん」は、地域に根付いた郷土料理として親しまれています。牛の小腸を油で揚げた「油かす」を具材として使用し、独特の味わいが人気の秘密です。この記事では油かすの魅力と、ご家族でかすうどんを楽しむ方法を詳しくみていきます。

南河内地方発祥の「かすうどん」は、外がカリカリ、中がプルプルの食感を特徴とする油かすを使った料理です。牛の小腸からとれる油かすは栄養価も高く、独特の香ばしさと食感で多くの人々に愛されています。その特徴や歴史、かすうどんの魅力と作り方、さらには入手方法や活用法まで詳しくご覧ください。

かすうどんとは

かすうどんは、大阪府南河内地方発祥の郷土料理です。

かすうどんの「かす」って何?

「かす」とは天かすや酒粕ではありません。「油かす」のことを指します。これは、牛の小腸(ホルモン)にたっぷりと付いている脂を取り除いた後の食材です。油で揚げることで水分と余分な脂を飛ばすことから、「油かす」という名前がついています。

大阪では身近な食材として広く親しまれており、お好み焼きやたこ焼き、鍋料理やスープなど、独特の風味を活かして様々な料理に使われています。

油かすとは、牛の小腸から油を取り除いたもの。
油かすとは、牛の小腸から油を取り除いたもの。

脂肪を取り除いた油かすは収縮し、独特の食感が生まれます。高タンパク、低脂肪で、コラーゲンも豊富に含まれています。

油かすは生の小腸と違って保存が効くため、冷蔵庫のない時代は特に重宝されてきました。 現代では保存と流通技術の発達により、テッチャンやシマ腸などのホルモンが焼肉やモツ鍋として人気を集め、それが油かすへの注目度を高めるきっかけとなりました。

かすうどんの特徴

かすうどんには関西風の柔らかいうどんを使用し、昆布と鰹の関西風出汁で仕上げます。これに油かすの旨味、コク、甘みが加わることによって、深みのある独特の風味が楽しめます。

細かく刻まれた油かすから脂が溶けだして、旨味が出ます。
細かく刻まれた油かすから脂が溶けだして、旨味が出ます。

かすうどんの歴史

油かすはもともと、食用油脂を取った後の副産物でしたが、保存が効き、安価で豊富にあったことから庶民の味として親しまれてきました。きつねうどんの具材として使われるなど、身近な食材として定着していきました。

1995年、大阪府藤井寺市の「加寿屋(KASUYA)」が、かすうどんの販売を始めたことで人気に火が付き、その後、河内地方で提供する店が次々と増えていきました。

かすうどんが支持される理由は、ラーメンほどの脂っこさがなく、胃にやさしい点が挙げられます。柔らかいうどんと油かすの食感が絶妙にマッチし、飲んだ後のシメとしても人気があります。

多くの居酒屋がメニューに取り入れたことで広まり、今では郷土のご当地うどんとして定着しています。

お家で作るかすうどん

油かすは高タンパクで低脂肪の食材で、コラーゲンも豊富です。取り寄せることもできるので、ご家庭でも手軽に楽しめます。

かすうどんを作るポイント

お家でかすうどんを作る際には、刻んだ油かすをつゆに入れ、熱々にしてから食べるのがポイントです。油かすは煮込むことで旨味が溶け出し、格別な味わいになります。たっぷりのネギと、とろろ昆布を添えれば、本場大阪の味が楽しめます。

一方で麺に特別なこだわりは必要ありません。スーパーで手に入る柔らかめの麺を使用してください。

油かすの入手

油かすは関西圏の精肉店やスーパーで購入できます。また、全国向けに通販も行われていますので、以下をご参考ください。

・油かす (1000g) 業務用 冷凍

カリカリになるまで油で揚げてあり、冷凍保存が可能です。1000gの業務用ですが、使いたい分だけ取り出して使用できます。煮込み料理に加えると豊かな旨味を楽しめます。

あぶらかす 60g×5パックフリーズドライ

 

かすうどんの元祖「加寿屋」が販売する商品です。あらかじめスライスした油かすをフリーズドライにしており、常温でストックできます。少量パックなので使いやすいサイズです。

かすうどんのレシピ

一人分のうどんに入れる油かすの量は40~50gが目安です。多すぎると脂っこさが気になるので、量は控え目にすることをお勧めします。

とろろ昆布を入れると旨味が増し、とろみも出るので相性抜群です。

・材料

(1人前)

油かす 40g
うどん 1玉
うどんつゆ(市販) 1人前
薬味ネギ 適量
とろろ昆布 適量

・作り方

【1】油かすを2㎜程度の薄切りにします。

【2】うどんつゆを温め、うどん玉を入れて茹でます。途中で油かすを加えてください。油かすの白い脂が溶け、スープが熱々になったら火を止めます。

【3】器に移し、薬味ネギ、とろろ昆布を添えて完成です。

・アレンジ

かすうどんは、基本のシンプルな味わいを楽しむほか、お好みでトッピングを工夫できます。

甘いお揚げをのせたきつねうどんや、玉子を落とした月見うどんなど、お子様の好みに合わせてアレンジしてみましょう。

油かすカレーうどんも大人気のメニューです。
油かすカレーうどんも大人気のメニューです。

大人向けのアレンジとしては、柚子胡椒を少量加えるとより深い味わいになります。また、残った出汁でお茶漬けや、おじやを作るのもおいしいですよ。

油かすの活用法

一般的なホルモンは鮮度を落とさず、臭み消しに気をつかう調理が必要ですが、油かすはそういった手間はなく、煩わしさを感じずに様々な料理に活用できます。薄切りにしてスープに加えるだけで、旨味が全体に広がり、長期保存も可能なためとても便利です。

・使い道の例

お好み焼きの具材として
もつ鍋の具材として
炒め物や煮物の具材として
カレーの具材として

様々な料理にご活用ください。

扱いやすくて旨味が強い油かす

かすうどんは、子どもからご年配の方まで幅広い世代が楽しめるメニューです。 油かすは通販で手軽に入手でき、ご家庭でも簡単に調理できます。ホルモンの一種ですが扱いが簡単で、薄く刻んでスープに加えるだけで豊かな旨味を楽しめます。ぜひ、大阪伝統のかすうどんをご家庭でお試しください。

構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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