【赤ちゃんの眠りの真実】昼寝をした方が寝付きがよくなる? 夜泣きの原因は疲れすぎ?「睡眠環境《5つのポイント》さえ整えれば、子どもは必ず寝るように」プロが伝授

「(自分は)もっと寝たいのに、赤ちゃんがたっぷり寝てくれない」「突然死が怖い」「夜泣きで毎晩起こされる」など、乳幼児の睡眠について、ママパパの悩みは多岐にわたります。これらの悩みは、毎日続くからこそ疲弊してしまいますよね。解決策はあるのでしょうか?
乳幼児の睡眠を研究し「BABY SLEEP SCHOOL TOKYO」を運営する、乳幼児睡眠コンサルタントの吉岡ゆうこさんに、赤ちゃんを育てるHugラボ2名とともにお話を伺いました。

赤ちゃんの睡眠環境を整える!5つのポイント

まず初めにお伝えしたいのが、どんなお子さんでも上手に眠れるようになる、ということです。「うちの子はなかなか寝てくれない性格だから…」と諦めないでください。必ずみんな上手に眠れるようになります。

まずは環境を整えることから始めてみましょう。

①寝床を整える。大人と同じベッドは避けて

夜間授乳の都合や突然死が心配だと、ついつい大人と同じベッドに寝かせたくなってしまいますが、実は赤ちゃんにとっては大人と別のベッドにする方が眠りやすいということがわかっています。

赤ちゃんが転落してしまったり、大人の下敷きになってしまう危険性を回避させるためにも、ベッドは別にしてあげてください。かわいいぬいぐるみを置いたり、ベビーベッドの柵をカバーしたくなるかと思いますが、それらの必要もありません。

大人とは別に寝かすのが◎。ベビーベッドはシンプルに。

赤ちゃん用の枕も危険を招く原因になることもありますので、ベビーベッドには基本的に物を置かないようにしてください。

②室温は20度前後に

乳幼児の突然死は、体温が高くなりすぎると発症するリスクが上がると言われてます*。大人の感覚だとお布団をたくさんかけてあげたくなりますが、乳幼児にとっては呼吸の妨げとなり、危険な状態になることも。お布団をかける代わりに、着るお布団(おくるみやスリーピングバッグ)を着用したり、お部屋の温度を管理してあげてください。適温は20度前後です。

*米国小児科学会の論文:https://publications.aap.org/pediatrics/article/150/1/e2022057990/188304/Sleep-Related-Infant-Deaths-Updated-2022

③着せすぎない。おくるみを活用すると◎

体温が乳幼児の突然死と関係していることから、服装の確認もしておきましょう。お洋服を着せすぎないようにしてください。

また、おくるみでキュッと包んであげると、モロー反射を防ぐことができます。そうするとお腹にいたときの姿勢を再現でき、赤ちゃんが安心して眠れるようになるので、ぜひ活用してみてください。寝返りをしそうになったら腕を出し、体だけに巻いてあげても大丈夫です。ただし、ゴロゴロと動くようになったら、おくるみが顔にかかってきてしまう恐れがあるため、使用を控えてください。

伸縮性バツグンの「くるまるおくるみ」。大きくて伸びる生地だからこそキュッと巻いてあげることが可能となり、赤ちゃんが動いても大丈夫

包み方のポイントは、腕と手はしっかり、脚は股関節脱臼を防ぐためM字にして比較的ゆるめにしてあげること。また、スワドルなどチャックを閉めて着せるだけの便利なアイテムもありますよ。必ず安全な寝床で使用してくださいね。

④ホワイトノイズを利用する

テレビの砂嵐や換気扇のような音は赤ちゃんがママのお腹の中で聴いていた音に似ていることから、赤ちゃんが安心して眠れると言われています。

ホワイトノイズマシンという商品も販売していますので、上手に利用してみましょう。

ママのお腹の中にいた時に聴いていたとされる音などで、安眠をサポート

⑤寝室の光をシャットアウトする。お昼寝の時も暗く

生後3~4ヶ月以降は睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されますので、夜はもちろん、お昼寝の時もできるだけ真っ暗の状態にしてあげてください。窓の光を遮断する、便利な遮光シートなども販売しています。必要に応じて使ってみてはいかがでしょうか。

遮光シートや遮光カーテンをうまく使って

以上、5つのポイントを踏まえて子どもが寝る環境を整えることからスタートします。これらの条件がそろえば、徐々にお悩みを解決しやすくなりますので、まずは確認してみてください。

夜泣きは疲れすぎが原因!?お昼寝で解決

Q:下の子が2時間おきに夜泣きをしています。(Risaさん 5歳・0歳10か月の姉弟)

授乳するとまたすぐ寝るので、お腹が空いてるわけではなく口寂しくて泣くのかな?と思っているのですが、どうなのでしょうか。

おくるみなど吉岡さんおすすめのアイテムを手に取るRisaさん

A:夜泣きは疲れすぎていることが主な原因です。

お昼寝を工夫してみてください。昼寝の時間は、活動時間によって決まっていきます。例えば、10ヶ月のお子さんの場合は、活動時間が3時間程度。朝起きた時間が7時だとすると、10時と15時前後にそれぞれ1〜2時間くらいお昼寝をするのが目安です。

表面は月齢ごとのフォトカード、裏面は月齢に応じたねんねのヒントとコツが書かれている「マンスリーカード」。出産祝いにもおすすめ。

また、夜泣きはどれくらいの程度なのかも観察してみてください。すぐに泣き止むようでしたら、寝言泣きも考えられます。睡眠サイクルが安定し、お昼寝がしっかりできてくると夜泣きも解決していきますよ。

寝る前のルーティンでセルフセトル(自立ねんね)を促す

Q:兄弟で睡眠の仕方が真反対です。(展子さん 2歳・0歳2か月の兄弟)

長男は新生児の時から本当に寝ず、微かな物音でも起き、抱っこでしか寝てくれない日々でした。今も添い寝しないと寝てくれず、夜中の12時ぐらいまでハイテンションで起きていることも多いので困っています。

次男は逆によくまとまって寝る子で、昼間は寝過ぎかと思うくらい寝るのですが、夜は連続で3時間ほど起きていることもあり、昼夜逆転生活。まだ2か月だし、昼間に寝てるのを起こすのもなぁと思ってるのですが…。

なんとか早寝早起きを心がけたいのですが、なかなか難しくて悩んでいます。

2歳のお兄ちゃんと、ベビーカーでお昼寝中の0歳の弟くん。2人の睡眠サイクルの違いが悩み

A:寝る前のルーティンをお子さんと相談しながら決めていきましょう。

展子さんの上のお子さん(2歳)は、お話も上手でなんでも理解している様子が伺えます。寝る前は、ついつい動画を観せてしまうというご家庭もあるかもしれませんが、寝る前のブルーライトは睡眠に影響するとも言われています。できるだけ、動画よりも絵本を読む習慣をつけてあげてください。

そしてここが意外と盲点なのですが、お昼寝の際も、夜と同じルーティンを繰り返してください。

吉岡さんおすすめ、寝る前に読んであげたい絵本2冊

夜になかなか寝付けない理由は、お昼寝に原因があることが多いです。なかなか寝付けないお子さんは、お昼寝をすると余計に眠れなくなってしまうと思いがちですが、お昼寝をすることで適切な時間に寝ることができるようになります

下のお子さんの睡眠が整うと、上のお子さんと1対1の時間がたっぷり作れて、上のお子さんの睡眠も整っていきやすいです。

生後2ヶ月の赤ちゃんは昼夜の区別をつけるために、まず朝8時までに日光浴をすることから始めましょう。あとは、安全な睡眠環境を用意して活動時間を意識した生活リズムをつけ、寝る前のルーティンを行なっていけば、セルフセトル(自分一人で寝ることができる自立ねんね)への土台が出来上がります。

セルフセトルで育児負担が減ります!

「環境をきちんと整えてあげれば、必ず寝るようになります」と吉岡さん

環境を整えてあげると、赤ちゃんの頃からセルフセトル(自分一人で寝ることができる自立ねんね)ができるようになります。抱っこや授乳じゃないと寝ない…ママじゃないと寝かしつけができない…ということもなくなるので、育児の負担が減り、お父さん、お母さんの笑顔が増えることにも繋がります。

乳幼児の睡眠習慣は、小学生以降の睡眠にも影響すると言われてますので、ぜひ赤ちゃんのうちから良い睡眠習慣をつけてあげてください。睡眠環境は気づいたその日からいつでも改善できます。遅いということはありません。

お話を伺ったのは

よしおかゆうこ(吉岡祐子)/乳幼児睡眠コンサルタント

(株)BABY SLEEP SCHOOL 代表取締役。2014年にオーストラリアで長女を出産し、ネントレに出会い毎日が変わった経験が、睡眠コンサルタントとしての活動の原点となる。2018年に出産した次女は、生後すぐから良い睡眠習慣をつけ、現在に至るまで、2人の子どもを「寝かしつけゼロ」で育てている。ワンオペ育児の方や働くママにも、時間的・精神的にゆとりのある毎日を提供することを目標として、姉と助産師のコンサルタント3人で睡眠知識の普及に取り組み、たくさんの親子を寝不足から救っている。

現在は乳幼児ママ向けのオンラインサロン運営や雑誌・WEB、講演、オリジナル商品の「くるまるおくるみ」やマンスリーカードの制作、企業とコラボした睡眠アイテム開発等、幅広く活動中。

■HP「BABY SLEEP SCHOOL TOKYO」は>>こちら
生後すぐ~6歳までのお子様を対象として、オンラインコミュニティの運営や個別コンサルテーションを実施し、睡眠改善のアドバイスを提供。インスタグラムではねんねのヒントを発信中。
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■「くるまるおくるみ」と「マンスリーカード」については>>こちら

文・構成/鬼石有紀 撮影/HugKum編集部

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