「立て板に水」とは?
読み方と意味
まずは読み方と意味を確認しておきましょう。この言葉は『立て板に水』と書いて「たていたにみず」と読みます。立てた板を流れる水のように、よどみなく、すらすらと話すことのたとえです。
「立て板に水」の由来・語源
『立て板に水』の由来は、板を立てて上から水を流した時の様子からです。板はつるりとした平面なので、どこにも引っかからず、水はスムーズに下に流れます。
すらすらと話しているときも、立てた板の上から水を流しているときのように、引っかかることがありません。そのため、よどみなく話している様子を「立て板に水」と表現します。
使い方を例文でチェック!
では、『立て板に水』の使い方を例文でチェックしていきましょう。
1:この政治家の演説は、立て板に水のようだ。
よどみない『立て板に水』のようなスピーチは、思わず聴衆も聞き入ってしまいます。
2:帰国子女の彼女は、英語も立て板に水のように話す。
外国語も母国語のようにすらすらとに話す様子は『立て板に水』と表現できます。
3:アイドル好きの友人にコンサートの楽しみ方を聞くと、立て板に水のように解説をしてくれた。
普段は無口な人でも、好きなものや詳しいことについてはまさに『立て板に水』のようにすらすらと話してしまえるものです。
類語や言い換え表現は?
では、『立て板に水』を別の言葉で言い換えたい場合、どのような表現を使うことができるのでしょう。『立て板に水』に似た表現を探してみました。
1:流暢に(りゅうちょうに)
話す様子が滑らかであり、言いよどんだりしないさまを意味する「流暢に」。『立て板に水』に似た表現です。
2:弁が立つ(べんがたつ)
話し方が巧みであること、自己主張がはっきりしていることなどを意味する「弁が立つ」。『立て板に水』と同じくすらすらと話す様子を表す言葉です。
3:口達者(くちだっしゃ)
物言いが巧みで、よくしゃべることや、また、そういう人を表す「口達者」。こちらも『立て板に水』に似た言葉です。
4.蘇張の弁(そちょうのべん)
中国、戦国時代のすぐれた遊説家である蘇秦(そしん)と張儀(ちょうぎ)。その2人のような弁舌のすぐれた人を指す「蘇張の弁」も『立て板に水』と似た表現と言えそうです。
対義語は?
『立て板に水』の反対の意味を表す言葉にはどんなものがあるのか考えてみました。
1:横板に雨垂れ(よこいたにあまだれ)
「横板」とは木目を横にした板のこと。「立て板」とは逆に、雨垂れがかかると木目に引っかかってスムーズに流れないことから、詰まりながら話す例えとして使われます。『立て板に水』の対義語として使われている言葉です。
2:たどたどしい
未熟であったり機能が十分でなかったりするため、危なっかしくおぼつかない様子の「たどたどしい」。すらすら進む『立て板に水』とは反対の意味と言えそうです。
3:ぎこちない
動作や話し方などが滑らかでない様子を表す「ぎこちない」。こちらもスムーズな『立て板に水』とは反対の状態を表す言葉です。
英語表現は?
では、『立て板に水』は英語ではどのように言い表すことができるのでしょうか。最後に『立て板に水』の英語表現をご紹介します。
1:Flowing eloquence
「流れるような弁舌」という意味の言葉で、まさに『立て板に水』の英語表現と言えそうです。
2:Speak glibly
”glibly”は口の達者な状態、ペラペラという意味の単語。”Speak”と一緒に使うと、『立て板に水』という意味になります。
3:Talk with ease and flow
ease は「容易さ、気楽さ」、flow は「流れ」という単語です。合わせると「楽で流れるように」という意味になり、”talk with ease and flow”で『立て板に水』に近い表現になります。
4:Speak fluently like a flowing river.
直訳すると「川の流れのように流ちょうに話す」となります。『立て板に水』と同じく、スムーズに話す様子を水の流れに例えた表現です。
「立て板に水」の意味と由来を知って、正しく使ってみましょう。
水を使って流ちょうな様子を表す、『立て板に水』。スピーチを聞く時などに思い出してみてください。
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構成・文/kidamaiko