【算数センスの磨き方:4~5歳編】「手で隠したのは何個だろう?」「6と8はどちらが大きい?」算数がたのしくなる親の声かけとは

『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』の著者で、タブレット教材 RISU Japan 代表・今木智隆さんの執筆によるシリーズ記事。今回は4~5歳期の算数センスの育て方についてです。

算数センスの磨き方について、年齢別に具体的な学びの方法をお伝えしています。今回は4~5歳編です。4~5歳の子どもは、数の概念を少しずつ理解し始める時期です。この時期の算数理解の発達段階と学習の進め方について詳しく見ていきましょう。

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4~5歳の算数理解の発達段階

4~5歳の算数理解とはどの程度なのでしょうか。4~5歳になると「計数」「合成・分解」「順序」といった数の仕組みの理解が進みます。それぞれの項目を確認していきましょう。

計数(数える力)

計数とは、具体物を使い「1つ、2つ、3つ」と数える力のことです。数を順番に言うだけの数唱とは意味が異なります。

計数で間違えやすいポイントは、1対1対応ができていないために同じ物を2回数えたり、数え忘れて飛ばしてしまったりすることです。数えた数字より実際にある具体物の数が多かったり少なかったりして一致しないことがあります。

数の合成・分解(数の構成を理解する力)

4~5歳になると「2と3を合わせると5」「5を3と2に分ける」など、数の構成を理解する力がついてきます。

この時期に指やブロックを使って、数を合成したり分解したりする遊びをたくさんしておくとよいでしょう。のちに足し算や引き算を理解するための基礎作りにもつながります。

数の順序(大小関係・並び)

数の順序についても3歳の頃に比べ理解が深まります。「5の次は6」「3より5が大きい」など、数の並びや大小の関係を理解していきます。子どもに「3の次は?」とクイズを出して遊ぶことで、学びを深めながら子どもがどの程度まで理解しているかチェックすることができます。

4~5歳の算数力を伸ばす学習法

では、これらの発達段階に合わせて効果的に算数力を伸ばす学習方法をご紹介します。

計数を身につける遊び

計数がきちんとできるようになるために、積み木やおはじきを数えることから始めてみましょう。たとえばおはじきをいくつあるかを数えるときには、ただ指差しで数えるだけでなく、左から右に置き場所を移動させながら1つずつ数えることで、数え忘れや同じものを2度数える間違いをなくすことができます。

お買い物ごっこをしながら「野菜を5個ください」と言って正しく数えられるか確認したり、ミニカーを1台ずつ数えながら駐車場のように並べてみたりなど、遊びに計数を取り入れながら、理解できる数を増やしていきましょう。

数の合成・分解を学ぶ方法

計数できる数を増やしていくと同時に、数の合成・分解についても考える機会を作ります。

たとえば、ブロックを積んで遊びながら「2個と3個で何個になる?」などと声を掛けたりします。反対に、最初におはじきが5個あるのを見せ、いくつか手で隠し、見えているものの数を数えさせ、「手で隠したのは何個だろう?」と考えさせることもできます。

5は「2と3」「1と4」の合成であるとわかると、より数の理解が進み、足し算や引き算の基礎となります。慣れてきたら6の合成や7の合成にもチャレンジさせましょう。

数の順序を理解する方法

数の順序について学ぶには、「数字パズル」や「数列クイズ」などの問題を出し合って遊ぶ方法がおすすめです。「1→2→3→次は?」などと数の並びを確認したり、「6と8はどちらが大きいでしょう?」と大小関係を確認したりします。

また、日常生活のなかでも階段を数えながら登るなどの方法で数の順序を意識することができます。カレンダーや絵本のページ数など、数が順序ただしく並んでいるものを数えていくのもおすすめです。

数の順序は、計数と同様に算数学習の基盤となる概念ですので丁寧に取り組みましょう。

算数を好きになるための親の関わり方

子どもが算数を好きになるためには「数えるのが楽しい!」と感じられる環境を作ることが大切です。親の関わり方として、早く好きになってもらいたいからと知識を押し付けるようになると、子どもは楽しくなくなってしまい逆効果となります。

楽しく学びを進めるためには、間違いを指摘しすぎないことも大切です。最初から「間違っているよ」と言わず「どうしてそう思ったの?」と子ども自身に考えさせる問いかけをしましょう。

学習の機会を提供するときは、勉強という形にこだわらず、日常生活や遊びの中で数を意識させる声掛けが重要です。子どもが自然に学べるよう工夫していきましょう。以下の記事には我が家での実践例を載せています。身近な場所に算数のヒントはたくさんありますので参考にしてください。

「子どもを算数好きに育てるには」について詳しく知りたい方は、下の記事をご覧ください。

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まとめ

今回は4~5歳の時期について算数力を磨く方法をお伝えしました。

4~5歳は、「計数」「数の合成・分解」「順序」の3つを学び始める時期になります。これらの力は、足し算や引き算の基礎となる考え方でもあるので、しっかり理解して次のステップに進みたいところです。遊びを通じて数の概念を深め、算数を好きになる環境を整えましょう。

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記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。HugKumでの過去の記事はこちら≫

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『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』

文響社より2023年7月6日刊行

構成/HugKum編集部 協力/RISU

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