【算数センスの磨き方:2~3歳編】「まずは3まででOK」「体をつかって数える」算数のプロが指南する、おすすめの数字遊び

『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』の著者で、タブレット教材 RISU Japan 代表・今木智隆さんの執筆によるシリーズ記事。今回は2~3歳の時期の算数センスの育て方についてです。

「子どもには算数が得意になってほしい!」「小さい頃から算数が好きになれば、後々の勉強も苦労しないのでは?」このような考えから、子どもが小さいうちに算数の基礎を教えて、楽しみながら算数センスを磨きたいと考えている方も多いでのはないでしょうか。

今回は、23歳の子どもが無理なく算数に取り組むためのヒントをご紹介します。

 23歳の算数の発達段階はどの程度?

算数の学習に取り組む前に、23歳の子どもが理解している算数の発達段階とはどの程度かを確認してみましょう。

数量の理解:3までの数をなんとなく認識している程度
数唱:20以下をリズムで言えることがある
計数:5までの物を数えられるが、順番が前後することもある

23歳の子どもは、日常の中で「3までの数」をなんとなく認識できる程度です。

この段階で無理に足し算や引き算を教えても、うまくいきません。子どもが理解できず、親も子も苦しくなってしまうからです。個人差はありますが、「まずは3まで」と意識すると、無理なく学びを進められます。

数の読み上げは、20くらいまでリズムで覚えて言える子もいます。ただし、これは呪文のようにただ言葉を暗記しているだけ。

リズム記憶のため、毎回「7」を飛ばしてしまう子や、「…56778…」と同じ数字を2回言ってしまう子もいます。こうした間違いは、数と量の対応が分かるようになれば自然に直ります。焦って厳しく指摘する必要はありません。

物を順番に数える「計数」では、5つくらいまで数えられるようになります。ただし、「3の次に5」といったように、数字が前後してしまうこともよくあります。

5まで数えることも難しいと理解しておくと、数唱(数字を順番に言うこと)がリズム暗記になりがちな理由も納得できるでしょう。

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 23歳におすすめの算数の取り組み

23歳の子に算数を教えるにはどのようなことから始めるのがよいでしょうか。

この時期の子どもは計数の基礎が発達するため、「物を数える取り組み」をたくさんすることが有効です。計数とは、物を11つ数える動作のことで、数量の理解に欠かせないものです。

11対応を意識した計数遊び

23歳では、まだ数字と物の数が完全に一致しないため、11対応(数える物1つにつき1つの数字をあてる)を意識した計数遊びをたくさんおこないましょう。

たとえば積み木やブロックを1つずつ移動させながら数えたり、おままごとのなかでぬいぐるみに食べ物を1つずつあげるなどの方法で、11対応を学ぶことができます。

生活の中でも数を意識する

普段の生活の中でも、数を意識できる場面がたくさんあります。

たとえば、家族の人数分のおやつをお皿に1つずつ配りながら数えたり、家族の席にコップや箸を並べるお手伝いをさせたりする方法があります。

一緒に買い物をするときにも、1人に1つ何かを買うことがあれば「これはパパの分、これはママの分、これは○○ちゃんの分……」と声掛けをしながらカゴに入れれば、11対応を意識することができます。

体を使って数える

体を使いながら数える方法もおすすめです。

たとえば、ボール遊びをしながらボールを投げた回数をカウントしたり、階段を1段ずつ上りながら「いち、に、さん」と数えたりします。

お風呂から上がるときに歌のように10を数えているご家庭も多いと思いますが、指の動きも加え「いち、に、さん」と視覚要素も意識して数えると、11対応を意識することができ効果的です。

このように様々な場面で11対応を教えながら、まずは3個までの数をしっかり計数できることを目指します。そのうえで、理解が進んだら45個と少しずつ数を増やしていくように進めましょう。

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理解を判断するポイントは数と量の一致

23歳児の算数理解を判断するポイントは、「数」と「数量」が頭の中で一致していることです。

この時期は、歌のようにリズムで数を覚えやすいため、数と数量が一致していないことがよくあります。例えば、「いーち、にい、さーん」と覚えると、20くらいまでスラスラ言える子もいます。しかし、これは暗記しているだけで、数の意味を理解しているわけではありません。

そのため、20まで言えることだけを見て「うちの子は算数が得意かも!」と判断するのは、少し早いと言えます。

効果的な学習法としては、積み木など具体物を使って、数と物の数を一致させる方法がおすすめです。たとえば「1個と2個を合わせると3個になる」といった体験を通じて、数の順序や関係を理解できます。

この時期に「しっかり理解できる数」は、3歳児で「3まで」が一般的です。2より3が大きいことはわかりますが、「35ではどちらが大きい?」と聞くと、間違えてしまうこともあります。

算数の発達には個人差がありますが、3歳後半で「3個の数を正しく理解できているか?」を1つの目安にするとよいでしょう。

遊びを通じて無理なく算数を学ぼう

今回は、23歳児に効果的な算数の取り組み方についてご紹介しました。

親が早く教えなければと気持ちが焦ってしまうと、数字の押し付けになったり、発達段階としてまだ難しいことを無理に教えてしまったりして、上手くできないことになおさら焦ることにもなりかねません。

この時期はまず3までをしっかり理解し数えられるようになることを目標に、遊びの中で工夫をしながら楽しく学習していきましょう。

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記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。HugKumでの過去の記事はこちら≫

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『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』

文響社より2023年7月6日刊行

構成/HugKum編集部 協力/RISU

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