算数のプロ・今木智隆さん、子どもを算数好きに育てるにはどうしたら?「日常の中で算数の土台づくり、我が家はこうしてます」

算数が得意な子どもを育てるにはどうしたらいいの? 親ができることは? そんな声にアドバイスをしてくれたのは、タブレットを利用した小学生の算数教材で、のべ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を実践するRISU Japan代表の今木智隆さん。
自らの子育て体験を交えた、究極のアドバイスを紹介します!

まずは子どもの性格、得手不得手を見極めよう

今木「やみくもに練習問題をやらせても、算数の力は伸びません。まずは、子どもの性格や得手不得手を親が見極めることが大切です」

莫大なデータをもとに効率的な算数指導の教材、方法論を編み出す一方、現役の子育てパパとして小1の息子さんの成長を見守っている今木さんは、そう提言します。

今木「たとえば、性格的にコツコツ勉強するのは得意だけど、集中力が長く持たない子もいれば、興味あることにはとことんのめり込むけれど、ふだんはボーっとしている子もいますよね。算数の分野でも、立体感覚に優れていて図形問題は解けるけど、計算問題を嫌がる子もいれば、逆に百ます計算は苦にならないけど、図形が苦手な子もいます。ですから、親がこうありたい、こう育てたいと考える前に、自分の子がどういうタイプなのか、何が好きで何が苦手なのかを客観視して、そこから考えることが必要だと思います」

今木親子のご家庭での様子。算数教材開発のプロも、おうちでは小1男児のパパ。

子どもの興味のある分野や好きなことに沿って、できれば親子一緒に遊びながら学ぶことが大事だという今木さん。今木さん自身も、「電車が好き」という息子さんの興味に沿って、いろいろな角度から算数に馴染ませる声掛けをしたそうです。

「電車で出かけると、必ず駅の階段を上り下りしますよね。そのとき、『1段、2段、3段…』と一緒に声を出して数えました。また、電車に乗っているとき、外を見ながら、『時速90㎞だから、車より速いね』と言ったことも。そのほかにも、ふだんから子どもが自然に数字に慣れるように声掛けしてきました」

ちなみに、単位についても、ふだんから親が口にすることが大切だとか。階段なら1段2段、電車なら1両2両、券売機なら1台2台など、耳で自然に覚えるのも、子どもにとっては学びになるのです。

立体は積み木やブロック遊びで学ぶ

「立体問題に対するセンスは、実際に積み木やブロックなどで遊んだ経験が大きいと思います。ろくに立体的な遊びをせずに、いきなり2次元の図(紙に描かれた図)の問題に取り組んでも、全体のつくりを頭の中にイメージできないから『分からない、難しい』となってしまうのです」

と今木さん。確かに、積み木やブロックを一から組み立てていけば、土台にもパーツがあることが実感できます。また、全体的なデザインを考えるうちに、物体を上から見たり横から見たりする場合もあるでしょう。そういう経験が、やがて取り組む図形の問題へのハードルを低くしてくれるのです。

遊びの中から感覚的に身につく「立体」。

「段ボールやティッシュ、お菓子の箱などを潰して再度組み立てる遊びも、立体を理解することにつながります」

こうした遊びは、家庭でこそたっぷり味わえるもの。幼児期~小学生は「遊び=学び」の時期です。机の前に座らせてドリルや問題集を解く前に、手を動かして体を動かして、親子で一緒に遊びながら学んでいくのがおすすめです。

現金を使うなど、暮らしの中で自然に学ばせる

「私は、子どもと出かけるときは、現金を使います。電車の切符を買うときも、私一人なら便利な交通カードを使いますが、子どもと一緒のときは必ず現金を使います。それも、わざと少ない金額を渡します」

子どもから「お金が足りないよ」と言われたら、「いくら足りないの?」と聞き返すのが今木さんのやり方。自然に計算をする流れになります。

また、分数を教えるならピザがおすすめ。たとえば、家族の3人の場合、「3つに分けたうちの1個だから、1/3だよ」と言えば、子どもも納得しやすいはず。また、中~高学年なら、「1/2と1/3のピザ、どっちが食べたい?」と聞いてみる手もあります。

そのほか、ペットボトルや牛乳パックを見て「この牛乳は1Ⅼだね」「このペットボトルは500mlだよ」など声をかければ、それが学びにつながります。

小さな子どもには難しそうなマイナスの概念も、話の流れの中で理解できるようになるとか。

「自転車で保育園の送り迎えをするとき、クイズタイムにして問題を出しました。『5-3は?』『5-4は?』『5-5は?』…と段階を経てクイズ問題を出すのがおすすめです。その流れなら、きっと『5-6』も理解できるでしょう」

日々の暮らしの中で子どもに声をかけ、少しずついろいろな経験をすること。それが、今も昔も学びの王道なのかもしれません。

子どもの成績を上げたいなら客観的な分析と対策を

成績に関する悩みを聞いてきた今木さんによると、親が最も気を付けるべきポイントは、客観視による対策だとか。

子どもをコントロールしようと思っても、親の思い通りにはいきません。そもそも、大人だって、他人に指示されたくはないでしょ? 子どももそうだと思います。もちろん、子どもが育っていく中で親に影響されることはありますが、親が子どもをコントロールするかどうかは別ものです」

子どもは親の所有物ではないと言いきる今木さん。自身の子どもにも、自由にやりたいことをやって、やがて自立してほしいと願っているそうです。

「今、息子は電車から将棋に興味が移ったので、将棋の相手をしています。でも、息子が『将棋はもう止めた』というのなら、それはそれでいいと思っています」

忙しい時代の子どもたち。できるだけ好きなことに時間を費やせるように、効率的な勉強が大切だと語ります。

「算数であれ、ほかの教科の勉強であれ、なるべく少ない労力で、なるべく多くのリターンを得るために、子どもが今、何ができて何ができてないか把握すること大切です」

インタビュー取材に答える今木さん。「子どもと向き合う」という言葉にも疑問。「親にできることは、べったり長時間寄り添うことばかりではないはず」。

成績を上げるヒントは、テストにあると今木さんは言います。同じ80点でも、計算のスピードが遅くて慌ててミスをした結果なのか、文章題がよく理解できていないのか。あるいは、図形問題を苦手としているのか。それを分析したうえで、今後の学習について考えることが必要だと言います。

「子どもに『頑張れ、頑張れ』と励ますより、親は客観的に子どもの状態を把握することが大切だと思います。宿題やテストを見れば、子どもの得手不得手がわかります。そのうえで、得手な部分を伸ばすのか、不得手な部分を補うのか、親はその部分を見極めてサポートすべきでしょう」

日常の中で「土台づくり」を

子どもに確かな学力をつけさせたい。そう願う親は多いもの。でも、焦りは禁物です。子どもはゆっくりと育っていくものだからです。やがて、子どもが自ら「学びたい」と思えるように、今は日常生活の中で「土台づくり」に注視しませんか?

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お話を伺ったのは…

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。

〈タブレット教材「RISU算数」とは〉

「RISU算数」はひとりひとりの学習データを分析し、最適な問題を出題するタブレット教材。タイミングの良い復習や、つまずいた際には動画での解説の配信を行うことにより、苦手を克服し得意を伸ばします。

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文響社より2023年7月6日刊行

取材・文/ひだいますみ 構成/HugKum編集部 

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