コロナ禍での休校に対する私立学校の対応の早さや設備の充実に注目が集まり、近年日本では小学校受験・中学受験など受験の前倒しが進んでいます。
こうした流れで早期教育や幼児教育に取り組むご家庭が珍しくなくなってくると、「うちも子どものために何かしらの早期教育に取り組んだほうがいいのだろうか」と、不安になるご家庭も多いのではないでしょうか。
しかし、早期教育にはさまざまな解釈や意見・賛否両論があるがゆえに、どうすればいいのか悩んでいる方も多いのが現状です。そこで今回は早期教育について解説し、親として気をつけたいポイントについてお伝えします。
早期教育と幼児教育の違いとは?
幼児期の教育には「幼児教育」と「早期教育」の2つがあります。どちらも小さい頃から行う教育という点が共通しており、同じようなものと捉えられることがありますが、実際の内容は異なります。
まず幼児教育とは、幼児期の年齢に応じた生きるために必要な能力、つまり社会性や主体性を身につけさせる教育を指します。幼稚園や保育園だけでなく、家庭内や地域社会など全てが幼児教育の場として扱われます。
いっぽう早期教育とは、「特定の知識や技術の習得をすること」を目的として、一般的な対象年齢よりも早く行われる教育のことです。楽器演奏や絵画などの芸術系、スイミング・体操などの運動系、英会話などの語学系などが挙げられます。
オリンピック選手が幼少期から特定のスポーツに打ち込んできた、有名ピアニストが3歳から毎日何時間もレッスンに明け暮れていた、1歳から文字の読み書きや計算、英会話を習いはじめた、といった例が分かりやすいかと思います。また右脳開発や知能の向上を目的とした「〇〇式」や「〇〇メソッド」などの習い事や教室などを指す場合もあります。
早期教育に期待できること
早期教育を行うと、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか? 子どもの健全な成長を促せるよう、今一度確認しておきましょう。
①得意なことを把握して環境を整えることができる
新しい分野を経験させることで幼児期の子どもの世界が広がるのが早期教育の魅力です。そしていろいろなことを経験し挑戦することで、子どもの得意・不得意を親が把握しやすくなります。
シンプルなことですが、早く学びはじめればそのぶん経験することが多くなるので、潜在的な才能が開花することもあるでしょう。そうすれば子どもが得意なことを伸ばす環境を幼いうちから整えられ、ぐんぐん才能を引き出すことができます。
②成功体験から自信がつく
子どもにとって新しいことへの挑戦は、ときにはうまくいかないこともあるでしょう。そんなとき、試行錯誤を繰り返して壁を乗り越えることで、幼いながらに「自分でできた!」という成功体験を得られます。そして自信がつくとさらに意欲が湧き、できることがどんどん増えていく…という好循環が生まれるのです。
自信がつくと自己肯定感も高まります。自己肯定感が高ければ多少失敗したときにも自分を否定せず、「次はどうしたらうまくいくだろう?」と前向きに考え挑戦し続けることができます。
③基礎学力が身につく
数ある早期教育のなかでも、身近なものが文字の読み書きや計算です。
ひらがなとカタカナ、数の数え方や計算など基礎的な学力が身についていると、小学校入学後もスムーズに学習に入ることができます。新しい環境が始まった子どもにとっても、勉強が分かると心に余裕を持つことができるので、人間関係を築いたりいろいろなことにチャレンジしたりすることができるでしょう。
また、文字や数字に幼い頃から触れていると絵本や図鑑にも親しみやすくなり、そこからさらに興味や関心が広がっていくことも期待できます。
早期教育で注意したいポイント
算数専用タブレットのRISUは未就学児から先取り学習が可能なため、早期教育の教材と思われることも多いのですが、実は先取り学習というのは「目的」ではなく「結果」。RISUを有効活用してくださっているおうちの方に話を伺うと、始めたきっかけは「子どもが数や計算に興味を持ったから」とおっしゃる方がとても多いのです。実際にRISUを始めてからも「使うタイミングや頻度は子どもにまかせています」と話される方がほとんど。
つまり、まずはお子さん自身の興味があって、それを良いタイミングでおうちの方が引き出してくださっているのです。
また、小学校高学年になってから「中学受験をしたい」と言いだしたお子さんのために、受験算数の導入まで網羅的に学習できるツールとしてRISUを活用されるご家庭も多いのですが、こうしたお子さんは「この学校に行きたい」という目標が明確にあるため、勉強へのモチベーションが高く、RISUのカリキュラムもあっという間に全範囲終わらせてしまいます。そして一般的な受験準備期間よりもかなりの短期間で、見事に志望校へ合格してしまうことも珍しくありません。
さまざまなご家庭の学びのあり方を見てみると、早期教育が良いか悪いかということではなく、その子にとって最適な学習の時期をおうちの方がしっかりと見極めることが大切だと感じます。
そこで、早期教育を取り入れる場合に気をつけたいポイントをご説明します。
①親の都合を押し付けない
まず、早期教育をさせたいのはどうしてでしょうか? 「得意分野を見つけてあげたい」「小学校入学後にスムーズに学習できるようにしてあげたい」などの理由が一般的かと思います。
しかし、無意識的にでも「他の子たちはもう習い事をしているから」「すでに勉強ができている子がいるから」といった、周囲との比較や焦りが理由になっている場合は要注意です。
子どものなかには競争がモチベーションになる子もいますが、かえって逆効果になってしまう子もいます。特におうちの方自身がほかの子と比較して焦ってしまう、完璧を求めてしまう、というようであれば早期教育はおすすめできません。
また、幼少期の学習や習い事は、おうちの方のサポートが特に重要になります。その結果、子ども以上に大人が結果にこだわってしまうことも。大人が熱心になるあまり子どもがプレッシャーを感じてしまうと、楽しい気持ちが失われ成長の芽を摘んでしまうことにもなるのです。
②インプットに偏りすぎないようにする
子どもがグッと成長するタイミングをご存じでしょうか? それは、得た知識やスキルを親や周りの人に教えたり見せたりするときです。
「今日はこんなことを習ったんだよ!」とおうちの方にキラキラと目を輝かせて教えてくれる時こそ、実はとても重要な成長のチャンスなのです。
しかし幼少期の脳はとても柔軟で物事をぐんぐん吸収していくので、大人はつい知識や情報を与えすぎてしまいがちです。与えてあげることは大切ですが、インプットに偏ると子どもが受け身態勢になって主体性が一向に身につかず、その結果子どものやる気がなくなってしまうこともあります。
新しい物事を学ぶのは本来子どもにとって楽しいこと。その楽しい気持ちに寄り添って、お子さんが生き生きとアウトプットできるよう、おうちの方は心がけてみてください。
③ゆとりのあるスケジュール
子どもの可能性を広げたいという思いから、さまざまな早期教育を受けさせようとお考えの方も多いでしょう。しかし毎日のように習い事に追われてしまうと、心身の疲労が蓄積し、かえってストレスになってしまうことも。遊びやゆったりと過ごす時間も、子どもの健全な成長には欠かせません。
また、早期教育を行うには送迎や宿題など、親のサポートが必須です。しかし親自身が過度のストレスを感じてしまっては、子どもは楽しく学ぶことができません。したがって親自身の時間や気持ち、体力にもゆとりのあるスケジュール管理を心がけましょう。
主役は子ども!子どもの興味を引き出す学びを
学びの主役は子どもです。子ども自身がどんなことに興味があり、どんな才能が開花するかは早期教育だけで決まるものではありません。あくまでも子どもが成長するための選択肢のひとつなのです。
大切なことは、目の前のわが子がどう成長していっているのかという過程にこそあります。「どんな経験をしたのか」「どんなことを考えたのか」ということをお子さんと共有しながら、おうちの方は温かく見守っていけるといいですね。
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記事執筆
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構成/HugKum編集部