日本の相対的貧困率は15.7%
みなさんは、「貧困」という言葉を聞いたことがありますか? 貧困とは、お金が少なくて生活が苦しい状態のこと。また、その国の水準の中で比較したとき、貧しい人の割合を「相対的貧困率」と言います。
例えば、日本で一般的な家庭が月に20万円で暮らせるとしたら、その半分の10万円以下の収入しかない、といった人が「相対的貧困」に当てはまります。これは、周りと比べて貧しいと感じる状態です。
2025年4月時点のデータでは、日本の相対的貧困率は15.7%と言われています。これは、日本の約6人に1人が貧しい生活をしているということです。実はこの数字、先進国グループ「G7」の中でとても高いのです。
G7には日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダの7つの国が入っていますが、日本はアメリカに次いで2番目に高い貧困率です。

理由1 給料が変わりにくいことや、非正規雇用が多い
では、なぜ日本でこんなに貧困率が高いのでしょうか。1つ目の理由は、給料があまり増えないことです。日本では、昔に比べて物価(物の値段)が上がっているのに、給料がほとんど変わらない人が多いのです。お父さんやお母さんが働いているのに、お金が足りなくて生活が苦しくなる家庭が出てきます。
特に、アルバイトやパートのような非正規雇用の仕事をしている人が増えていて、そういった仕事だと給料が安定しないこともあります。日本では非正規雇用で働く人は全体の約4割にもなります。
理由2 ひとり親家庭が増えている
2つ目の理由は、ひとり親家庭が増えていることです。お父さんかお母さんだけで子育てをしている家庭では、1人でお金を稼ぐ必要があるので大変です。例えば、お母さんだけが子どもを育てている場合、仕事と子育てを両立するのが難しくて、フルタイムで働けないこともあります。
その結果、お金が足りなくなって貧困になってしまうのです。ひとり親家庭の半分以上が相対的貧困に当てはまるとも言われています。
理由3 お年寄りの貧困

3つ目の理由は、お年寄りの貧困です。日本にはお年寄りがたくさんいて、年金だけで暮らしている人もいますが、年金が少ないため生活が苦しいお年寄りも多いのが実態です。
特に、女性のお年寄りは昔、働いていなかった人もいて、もらえる年金が少ないことがあります。70代後半の女性の4人に1人が貧困だと言われています。
理由4 国のサポート不足
最後に、国のサポートが足りないという問題もあります。G7の他の国では、貧しい人を助けるために税金を使ってお金を配ったり、子育てをサポートしたりしています。しかし、日本ではそういった支援が少ないと言われています。
例えば、子どもがいる家庭にお金をあげる児童手当がありますが、金額が少なかったり、条件が厳しかったりして、みんなが助けてもらえないこともあるのです。
まとめ
このように、お給料が上がらないこと、ひとり親家庭やお年寄りの大変さ、国のサポートが少ないことが重なって、日本の相対的貧困率は15.7%と高くなっているのが現状です。
G7の中で高いのは、日本がこれらの問題をまだ解決できていないからです。しかし、政府やみんなが協力すれば、もっと暮らしやすい国にできるかもしれません。みなさんも大きくなったら、困っている人を助けるアイデアを考えてみてくださいね。
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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教鞭に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。